%#!platex -kanji=%k %#DVIPDF dvipdfmx -p b5 \documentclass[a5j,10pt]{jsarticle} \renewcommand{\baselinestretch}{1.06} \author{広瀬雄二\thanks{東北公益文科大学 yuuji@koeki-u.ac.jp}} \setlength{\textheight}{18cm} \addtolength{\topmargin}{-1cm} % 紙上端1インチからのマージン \addtolength{\oddsidemargin}{0cm} \addtolength{\evensidemargin}{0cm} \addtolength{\textwidth}{1zw} \setlength{\itemsep}{0.5ex} \title{} \usepackage{url} % required for `\url' (yatex added) \pagestyle{empty} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} % required for `\includegraphics' (yatex added) \usepackage{eclbkbox} % required for `\breakbox' (yatex added) \usepackage{okumacro} % required for `\ruby' (yatex added) \usepackage{subfigure} % required for `\subfigure' (yatex added) \begin{document} %\thispagestyle{empty} \begin{center} {\LARGE 地域文化ストーリーマップシステムの構築} \end{center} \begin{flushright} {\large 東北公益文科大学公益学部\\広瀬雄二} \end{flushright} % \vspace*{1em} % %\begin{abstract} % % 和文要旨 %\end{abstract} %\renewcommand{\abstractname}{\textbf{Abstract}} %\begin{abstract} % % ABSTRACT in English %\end{abstract} %%\end{titlepage} \begin{description} \item[キーワード:] デジタルアーカイブ, 地域文化 \item[Keywords:] Digital Archiving System, Folklore Preservation \end{description} \section{はじめに} 大都市部を除いた日本の各地域の人口減少が加速する流れは止まらず, 小中学校の統廃合は進み,地域に伝わる文化を伝承する担い手不足も進 んでいる。東北公益文科大学(以下本学)は2001年開学当時より地域を舞 台とした研究を重ね,地域の資産との関りを深めてきた。こうした実績 を基に平成29(2017)年度に採択の文部科学省私立大学研究ブランディン グ事業では,「日本遺産を誇る山形県庄内地方を基盤とした地域文化と IT技術の融合による伝承環境研究の展開」をテーマに,以下の4つの柱 での研究を推進した。 \begin{enumerate} \item 地域資源の掘り起こしと分析・活用研究 社会学,福祉,観光など本学全コースの観点でのこれまでの地 域との関りから資源を再発見する. \item モーションキャプチャ等ITを活用した地域の民俗芸能のアーカイブ化 演者の協力を得た上で,地域農村部に現在まで伝わる能などの 舞をモーションキャプチャ装置を用い3次元データに取得し,CG 再生可能な形で保存する. \item 民俗芸能の伝承環境構築とその展開 文化の伝承に主眼を当て,伝承状況の現状を分析し,次世代に 伝えるための技法について新しい方式を開発する. \item 地域資源を活用する人材育成に関する研究 上記等で必要とされる情報技術を持つ未来の世代に対するICT人 材を育成する. \end{enumerate} この中の地域に眠る歴史的文化的資源を伝え残すための取り組みとして われわれは,対象物に対する状況や思いを反映させて情報提供する仕組 みを構築した。 \section{地域文化ストーリーマップ} Googleマップなどに代表されるWeb地図は生活に浸透し,近年では地図 の上に重ねて様々な地点情報を提供するサービスが生活を支えるように なってきた。こうしたWeb地図は地域に密接した地点の情報を地理的な 位置とともに表現するのにも有用で,筆者らも2015年度に開始した委託 研究事業「酒田市公開版地理情報システムの調査研究等の委託」におい て,市内各所に点在する地理的な特徴物,景観,保安情報,生活関連情 報などを分類し,さかたまっぷ \footnote{\url{https://sakatamap.geocloud.jp/webgis/}}上に展開す る研究活動を進めてきた。 % ★★★★★★OSM\cite{osm}が 本稿では,さかたまっぷの活動で得た知見をもとに,各地域に存在する 文化的資産の魅力をWebを通じて発信するためのオープンプラットフォー ムを構築する取り組みについて述べる。このプラットフォームを通じて 発信するものはたんなる情報提示にとどまらず,一つの事象に対する地 域住民の思いを反映し,なおかつ情報受信者の前提知識や地理的な位置 などに応じて提供するものを適切に切り替える機構を備えるものとする。 \subsection{提供情報変動の必要性} 前述のさかたまっぷでのコンテンツ作成活動の中でわれわれは,Web地 図での情報提供は「1地点=1情報」という固定的なものではなく,情報 の受け取り手の状況によって提供する情報を変える,つまり動的なもの として設計することが重要だとの認識を得た。大別すると以下の2点に なる。 \begin{enumerate} \item \underline{あいまいさの重要性} さかたまっぷでは小中学校の通学路に潜む危険箇所情報を「通 学路安全マップ」として学校ごとに分類されたレイヤで提供し ている。危険な箇所は学区にかかわらず危険であるため,当初 危険箇所のみを集積し,のちに学区による自動レイヤ分類を施 せばよいと考えたが,居住地が複雑な事情等により左右される ことから学区を明確に定義できないケースがあり,あいまいな 境界をあいまいなまま処理しなければならないことが明らかに なった。 \item \underline{情報受信者による切り替え}\label{receiver} Web地図上に載せる地点情報には住所を付加することがある。し かしながら,住所は区画整理等により変動するものであり,え てして住民に通りのよい地名は旧称で,現行名ではかえって伝 わりにくいことがある。とはいえ,地区外の人間には正式地名 でしか伝わらない。結果的に地元民には通称,その地への転入 を予定している人には正式名のほうが伝わりやすい。 この例に限らず,受け手の持っている前提知識に応じ適切な情 報を用意した方がよいケースはいくらでもある。そのために別 のデータベースを用意するのでは構築コストがかさむため,デー タに入れた閲覧者の前提知識などの状態を示す属性に応じた提 示情報切り替えが必要である。 \end{enumerate} \subsection{情報の受け手の知識} 先述さかたまっぷで得られた知見を応用し本学佐藤らは,除雪事故防止 等を目的とした水路マップを構築した\cite{suiromap}。この活動を通 じ,一つの地点に対する情報は,視点・観点の違いによって幾通りにも なる可能性があり,それらを同時に発信して行くことが重要であること が分かった。 \begin{enumerate} \setcounter{enumi}{\ref{receiver}} \item \underline{異なる視点での情報切り替え}\label{view} たとえば転落事故防止のために水路の位置を記録するWeb地図を 作る場合でも,水路の元来の目的である「農作物を育てる大切 な水資源」という価値の伝承を損なうことがないようにという 情報提供者の強い思いがあることが分かった。 このため,1つの水路に対して,複数の視点(テーマ)での情報提 示を見据えた地点データ作成が求められた。 したがって,1地点に関する情報を格納する場所(リポジトリ)に は,複数のテーマに対応した複数のデータを登録でき,生成す るマップに応じて適した情報を取り出せる機構が必要である。 \end{enumerate} また,ある地点を訪問する観光者に提示する場合を考えた場合などでは, 特定箇所に対して提供する情報を場面場面で変動させることも望ましい。 \begin{enumerate} \setcounter{enumi}{\ref{view}} \item \underline{情報受信者の現況に応じた情報切り替え} \label{dynamic-view} たとえば特定の観光資源などを示す地点情報があった場合、そ の地点に辿り着く前の人に現地の情報を提供するのは有用だが, 既に到着して立ち去る立場の人にそれは既に不要な情報であり, あえて提示するなら次の訪問に活かせるような別の情報などが 相応しい。 \end{enumerate} \subsection{提供情報変動機構の設計} 前項1から\ref{dynamic-view}の観点をまとめると,ある地点に付加す べき情報は,その提供者の観点と,閲覧者の持っている知識や居場所な どの属性のマトリクスによって区分けできる~(図~\ref{storymapmatrix})。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[bb=59 119 763 553,clip,width=0.9\columnwidth]{omoi-table.pdf} \caption{提供情報のマトリクス} \label{storymapmatrix} \end{figure} 特定地点に付随する情報は限りなくあるが,その中からどれを選択する かは発信する立場の情報提供者がどういう意図・テーマで紹介するかに よって定まる部分である。また,意図・テーマとは独立して,提供され る情報が閲覧者の役に立つかは,閲覧者が参照時に持っている知識に適 合した情報粒度・種別となっているかに依る。提供者の意図に関る部分 は、聞き書きなどを通じ情報を引き出すときの人的なアプローチによっ て収集されるものであり、それらのうちどれをいつ引き出すかは、収集 された情報を格納するリポジトリの設計と、閲覧者の状況に応じて適切 な情報を抽出する機構を合わせた技術的なアプローチが必要となるが、 本稿では、技術的なアプローチについて考察を進める。 本研究では、閲覧者に提示する情報をそれらの性質に応じて3つに分類 した。 \begin{enumerate}\def\theenumi{\Alph{enumi}} \item \textbf{スタティック}\label{static} ある地点の名称、通称、住所など、時期の変化に関らず変動し ないもの。 \item \textbf{セミダイナミック}\label{semidynamic} 四季を意識させる季節ごとの写真や、提供者が考えるテーマな どにより、複数ある情報群からコンテンツ生成時に選ばれ確定 する性質のもの。 \item \textbf{フルダイナミック}\label{fulldynamic} 同じ地点に対する同じテーマの情報であっても、それを見る人 の位置や何度目に見たかなど、閲覧時に動的に変わる状況によっ てさらに変動する性質のもの。 \end{enumerate} 上記分類\ref{static}に関しては,一般的なデータベースへの格納とな んら変わるところがない。\ref{semidynamic}と\ref{fulldynamic}につ いて,リポジトリ内での表現形式を考える。 \section{ストーリマップ展開リポジトリの設計} これまでの考察をもとに,情報発信者である地域住民の意図を反映し, 情報受信者である閲覧者の状況に応じた情報提示の可能なストーリーマッ プシステムのエンジンとなるリポジトリを設計した。 \subsection{セミダイナミック・フルダイナミックの表現} 特定地点に対する情報を格納するリポジトリはリレーショナルデータベー ス(RDB)を選択した。セミダイナミック情報は,ある地点に複数の情報 を付加できる書式であれば表現できるため,一意に地点を示すIDとなる カラムに属性と属性値を結び付けるよう表\ref{tables}に示すテーブル 群で関係を表した。 \begin{table}[t] \caption{地点情報を構成するテーブル構成} \label{tables}\small \begin{tabular}[t]{|l|l|} \multicolumn{2}{l}{TABLE:mapitem}\\ \hline \textbf{カラム} & \textbf{意味}\\\hline \underline{ename} & 地点を一意に示すID \\ \hline name & 一般名称 \\ \hline addr & 住所 \\ \hline lat & 緯度 \\ \hline lon & 経度 \\ \hline \end{tabular} \begin{tabular}[t]{|l|l|} \multicolumn{2}{l}{TABLE:maptype}\\ \hline \textbf{カラム} & \textbf{意味}\\\hline \underline{ename} & 地点を一意に示すID \\ \hline maptype & テーマに応じた種別名 \\ \hline \end{tabular} \begin{tabular}[t]{|l|l|} \multicolumn{2}{l}{TABLE:attribute}\\ \hline \textbf{カラム} & \textbf{意味}\\\hline \underline{ename} & 地点を一意に示すID \\ \hline attr & 属性名 \\ \hline value & 属性値 \\ \hline \end{tabular} \begin{tabular}[t]{|l|l|} \multicolumn{2}{l}{TABLE:object}\\ \hline \textbf{カラム} & \textbf{意味}\\\hline \underline{ename} & 地点を一意に示すID \\ \hline object & 地点に付随するオブジェクトの種類 \\ \hline jsonval & オブジェクトのJSON表記 \\ \hline \end{tabular} \end{table} テーブル maptype には,1つの地点に対して複数の種別を登録でき,そ れに応じた情報を格納できるため,たとえばある遊水路「X」に対して 「水害対策マップ」,「水のめぐみマップ」といったmaptypeを登録す ることで複数のテーマを表現する場合には以下のようなレコードを登録 する。 \begin{table}[h] \tt \begin{tabular}[t]{|l|l|} \multicolumn{2}{l}{TABLE:maptype}\\\hline \textbf{ename} & \textbf{maptype}\\ \hline X & 水害対策マップ \\ \hline X & 水のめぐみマップ \\ \hline \end{tabular} \end{table} % テーブル attribute には季節や時代といった値を設定することで,1つ % のテーマに対して複数与えるセミダイナミック情報を表現できる。また, \subsection{ダイナミック特殊記法} テーブル attribute には様々な地点属性を登録できるが,主な属性と して地点を説明する文章を ``description'' 属性として設定できる。 この中に,閲覧者の状況に応じて変動するダイナミック情報を表現する ために特殊記法を設計した。 特定地点のことを説明する文章をそのまま閲覧者に提示するのではなく, その場の状況に応じて説明文の部分部分を随時変動させて提示するため に,以下のような表記規則を定めた\footnote{* は直前項の0回以上の 繰り返し。}。 \begin{quote} \textit{Description} ::= \textit{Expression}*\\ \textit{Expression} ::= \textit{Normal-Sentence} \verb,|, \textit{Dynamic-Sentence} \\ \textit{Dynamic-Sentence} ::= \textit{Semi-dynamic-exp} \verb,|, \textit{Full-dynamic-exp} \\ \textit{Semi-dynamic-exp} ::= \textit{Layer-exp} \\ \textit{Full-dynamic-exp} ::= \textit{Experience-exp} \\ \textit{Layer-exp} ::= \verb|"layer["| \textit{dyn-base} \verb|"]="| \textit{desc} \\ \textit{Experience-exp} ::= \verb|"desc["| \textit{count-exp} \verb|"]="| \textit{desc} \\ \textit{count-exp} ::= \textit{Number} \verb,|, \textit{Number} \verb|"+"| \end{quote} 上記定義では,セミダイナミック情報を提示するために必要なレイヤ分 けのための語彙と,フルダイナミック情報を提示するために必要な情報 提示回数による場合分けのための語彙について示した。また,上記定義 での終端記号はそれぞれ以下の意味を持つ。 \begin{quote} \begin{itemize} \item[\textit{desc}] 通常の文章(HTML構文を含む) \item[\textit{Number}] 閲覧回数を示す整数値 \end{itemize} \end{quote} ここでは,表\ref{tables}とそれに格納する特殊記法用いて表現する例 を2つ示す。 \begin{enumerate} \item セミダイナミック: 閲覧者の当該地点への過去の訪問回数によっ て見せるマップを切り替える場合の表記例 \begin{verbatim} layer[訪問経験なし]=白糸のような綺麗な滝です。 layer[訪問経験あり]=滝壷に入って遊べます。 layer[訪問回数多数]=冬は滝が凍って氷柱になります(要雪上歩行装備)。 \end{verbatim} このように記述しておくことで,閲覧者に提示するマップが複 数のレイヤに分割\footnotemark され,閲覧者は自身に適した ものを選べるようになる。 \footnotetext{この例の場合は1つの地点が「訪問経験なし」, 「訪問経験あり」,「訪問経験多数」に対応する3つのレイヤに 配置されることになる。} \item フルダイナミック: 閲覧者がその場に何回近づいたかによって 提示する文章を変動させたい場合の表記例 \begin{verbatim} desc[1]=もうすぐ滝が見えてきます。 desc[2]=雪融けの時期はこのあたりまで水しぶきが来ます。 desc[3+]=近くにある「壱の滝・二の滝」も見応えがあります。 \end{verbatim} 「2+」は「2回以上」を意味する。この場合,閲覧者がGPS位置 情報取得機能を持つスマートデバイスでアクセスした場合に, その地点に何回近づいたかによって,表示するメッセージを自 動的に切り替えることができる\footnote{もちろんマップ表示 するWebアプリケーション側でこの記法を認識し,それに応じた 表示切り替えを行なう処理を実装しておく。}。 \end{enumerate} % \begin{figure}[tbp] % \centering % \includegraphics[bb=150 221 644 494,clip,width=0.6\columnwidth]{intention-map.pdf} % \caption{「水」資源に対するとらえ方} % \end{figure} \section{ストーリーマップ実装例} 先述のリポジトリを利用するかたちで実装したストーリーマップの例と して2つの例を示す。 \subsection{遊佐の水のめぐみマップ} \begin{figure}[tbp] \centering \subfigure[遊佐町湧水案内マップ]{ \includegraphics[bb=0 0 901 900,clip,width=0.45\columnwidth]{images/yuzamap-web.jpg} \label{yuzamap} } \subfigure[おらほの「思い」伝承マップ]{ \includegraphics[bb=0 0 901 900,clip,width=0.45\columnwidth]{images/orahomap.jpg} \label{orahomap} } \caption{ストーリーマップ画面} \end{figure} 山形県飽海郡遊佐町は鳥海山の麓に位置し,駅周辺の町の中心部住宅街 にも湧水が溢れる水資源の豊かな土地である。駅から歩いてまわれる湧 水を集めたパンフレットが作成され,遊佐駅でも配布されているが,ス マートフォンを片手に散策できるようGPS信号に連動してWeb地図上で湧 水地を案内するマップシステム(図\ref{yuzamap})を作成した \cite{dynlayer1}。 % このマップでは, \subsection{おらほの「思い」伝承マップ} 山形県酒田市の\ruby{日向}{にっこう}地区も鳥海山からの水のめぐみ 豊かな土地で,稲作に不可欠な水路が張りめぐらされ,豊富な水量を誇っ てている。冬期は除雪の要となるものであるが,積雪量の多いときは雪 に埋もれて水路が見えず,不幸な転落事故が発生したこともある。事故 の一因として,地区内の水路で危険性を持つ位置が共有されていないこ とが分かった\cite{nouhau}。このような多面的な位置付けを持つ水路 の位置や写真,説明文を登録したリポジトリから「防災」という切り口 で地物情報を取り出して水路マップ(図~\ref{orahomap})を作成した \cite{orahomap1}。このマップでは2018年に地区内の河川で起きた大雨 による氾濫の様子も録画地点を示す地図上のマーカをクリックすること で動画閲覧することができ,水位警戒をすべき範囲が一目瞭然となって いる。 % % \section{松ヶ岡開墾場ストーリーマップ} % \subsection{ドローンによる空撮まで} % 国土交通省の分類では % \subsection{空中散歩と平行パノラマ画像処理} \section{思いを伝えるストーリーマップに向けて} 地物に関する位置,写真,動画,説明文などの情報を,発信者・受信者 の意図に応じて提示するWeb地図システムを構築できた。 現在筆者らは本稿で述べた技術を発展させ,山形県鶴岡市の歴史的建造 物「松ヶ岡開墾場」の文化的価値を伝えるストーリーマップの構築を進 めている。これまでのシステムは,地点に関する直接的な情報を発信す るためのものであったが,構築予定のシステムでは,地域の産業と文化 を支えた史跡について,地域住民が訪問者に伝えたい歴史・職業観・未 来に活かしてほしい人生観などをおしつけがましくない適度な流量で閲 覧者に伝えるための枠組みの構築を試みている。それを通じ,閲覧者が 開墾の歴史に興味を持つだけでなく,閲覧者自身の身近な地域の歴史に も関心を深めるきっかけとなることをめざす。 \section*{謝辞} 本研究は,山形県酒田市・東北公益文科大学「GISコンテンツ作成業務委 託研究」ならびに平成29年度私立大学研究ブランディング事業タイプA 「日本遺産を誇る山形県庄内地方を基盤とした地域文化とIT技術の融合 による伝承環境研究の展開」の助成を受けた成果である. \bibliographystyle{junsrt} \bibliography{storymap} \end{document}