%#!platex -kanji=%k %#DVIPDF dvipdfmx -f ipa.map \documentclass[11pt, a4j]{jsarticle} \addtolength{\topmargin}{-1cm} \addtolength{\textheight}{2cm} \addtolength{\textwidth}{2cm} \addtolength{\oddsidemargin}{-1cm} \addtolength{\evensidemargin}{-1cm} %\pagestyle{empty} \title{山形県酒田市国指定最上川河口鳥獣保護区域における\\探鳥マップの作成と活用法} \author{歌岡大祐\thanks{c119058@g.koeki-u.ac.jp}} % \author{歌岡大祐\thanks{c119058@g.koeki-u.ac.jp}井上稜也\thanks{c119029@g.koeki-u.ac.jp}増子圭吾\thanks{c119222@g.koeki-u.ac.jp}岩城勇太\thanks{c119267@g.koeki-u.ac.jp}海谷一彰\thanks{c119268@g.koeki-u.ac.jp}佐藤陸玖\thanks{c119123@g.koeki-u.ac.jp}佐藤鉄平\thanks{c119112@g.koeki-u.ac.jp}若山奈月\thanks{c119257@g.koeki-u.ac.jp}梅津美瑳\thanks{c120038@h.koeki-u.ac.jp}荘司風輝\thanks{c120142@h.koeki-u.ac.jp}長船裕紀\thanks{鳥海南麓自然保護官事務所・猛禽類保護センター}広瀬雄二\thanks{東北公益文科大学}} \date{令和3年12月18日} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} % required for `\includegraphics' (yatex added) \begin{document} \maketitle \twocolumn{ \begin{center} {\bfseries 概要} \end{center} この探鳥マッププロジェクトは、令和3年4月より東北公益文科大学公益学部の学生が取り組んでいるもので、山形県酒田市の「酒田市地域IT人材等育成委託事業」の一環である。これまでも本学の学生は、演習科目「プロジェクト型応用演習」の一貫として地域資源を活かしたユニークな地図作りを行い、酒田市が管理する地図システム「酒田マップ」に掲載をしてきた。今年度は、酒田市の自然環境に視点を向けた「探鳥マップ」の作成が演習テーマの一つとして挙げられ、その活動が情報・メディアコース専門科目「情報処理特講」の内容や課外活動などに幅を広げ、より利便性と教育性に富むマップの作成を目指すプロジェクトへと発展した。また、探鳥マップの作成には、野鳥に関する知識と生態系への配慮が重要であると考え、同市にある「鳥海南麓自然保護官事務所・猛禽類保護センター」に協力を依頼し、マップの内容や野鳥についてのアドバイスをいただいた。今回の発表では、作成したシステムの内容、Web上でどのように野鳥に関する情報が表示されるか、野鳥の情報をいかに楽しめる形でユーザーに提示できるか、そして、今後どのような活用が期待できるかする。 } \vspace*{2em} %\thispagestyle{empty} \section{はじめに} 酒田市は、日本海沿岸部に位置し、北部には鳥海山を望み、市内を一級河川である最上川が流れている。海・山・川と三拍子揃った、非常に自然環境に恵まれた地域といえる。中でも最上川の河口付近は国指定の鳥獣保護区として指定されており、ガン・カモ類をはじめとする多くの野鳥が渡来する。本学のドミトリーも保護区に含まれており、学生は野鳥観察を行いやすい環境にある。しかし、この保護区の存在は地域住民や学生にあまり認知されていない。今後、地域住民と野生の動植物たちが互いにバランスのとれた関係を保ちながら共存していくためには、この保護区の存在を多くの人に広め、自然環境と生態系への関心を高めることが重要である。そのために、酒田に生息、渡来する野鳥についてのさまざまな情報を得ることができる野鳥マップを作成することにした。このマップは、野鳥観察初心者〜中級者の利用を想定して作成しており、第一段階として、子どもたちが自然と関わる機会として野鳥観察を始める際に安全かつ楽しみながら市内で探鳥活動をできるような地図の完成を目標としている。最終的には、生態系や野生生物の研究者、調査員にとっても有益な情報源となることが望ましい。また、この地図は野鳥にストレスを与えないように配慮したものにすることを前提として計画、作成を行う。 \section{探鳥マップの構築} \subsection{データベースの整理} 地図システムで利用するデータベースは、csvデータとして整理している。データは、野鳥の「種」「生息場所」「観察できる時間帯」「野鳥に関する逸話」「大きさ」「レッドリスト」「観察難易度レベル」など、ジャンルごとに区別してシートを作成している。それぞれのシートにはキーとなる名前が組み込まれており、私たちは野鳥の和名をキーとして設定している。例えば野鳥の「種」のシートは、酒田市で観られる野鳥それぞれ和名、学名、英名、目名、科名のプロパティに分けられており、地図上で英名で検索した場合、その「英名プロパティ」に当てはまる野鳥の情報が地図上に表示される。このデータには文字列の他にも、写真や音声データのURLを設定することができ、それによって地図上に野鳥の写真や鳴き声など、多様な情報を引き出せるようになる。現時点で酒田市で観られる野鳥の中から30種類を設定し、データを作成した。また、システム完成後に、野鳥のデータを外部から追加できるようにSQLiteを利用する。 \subsection{地図パートの作成} 山形県酒田市には国指定最上川河口鳥獣保護区域に指定されているが地域の人たちや学生にとっては認知度はさほど高くはない。私達はこの区域の認知度を向上させるためには野鳥が人々にとって身近な存在になることが必要不可欠だと考え、探鳥マップの作成に取り組んだ。マップは「uMap」や「Leaflet」、「QGIS」など、公開されているWeb地図システムや地理情報ツールを用いて作成に取り組んだ。最終成果物となる地図はLeafletで作成することで、検索機能や地図上に表示される内容をより自由にし、様々な需要に対応した地図を作成することが可能である。現時点では、最上川河口鳥獣保護区域内の土地を9つの環境区分に範囲分けし、野鳥の名前を検索すると、その野鳥がよく観られる環境のポリゴンが地図上に表示される。 \subsubsection{uMapの利用} 「uMap」はOpenStreetMapをベースとして、その地図の上にポイント、ライン、ポリゴン地物を自由に構築できるフリーのマイマップサービスである。 私たちはuMapを利用して調査で確認できた野鳥をポイントで表示し、野鳥の分布地域やよく観られる場所をマップ上に記録し、可視化を行った。また、私たちがleafletで作成するWeb地図にどのような機能を持たせるのか、どのようにデータ整理を行うべきかを、uMapの利用によって確認しそれに基づいて構想をまとめた。 \subsubsection{Leafletの利用} Leaflet\cite{Lf}はWeb地図サービスで広く使われるオープンソースのJavaScriptライブラリのことである。Leafletでプログラムすることで、ベースマップや地物、レイヤなどを独自に設定した地図を表示させることができるため、地図を利用する人の需要を反映させることができる。Web地図は、スマートフォンなどの持ち運びが容易でタッチ操作に対応したツールで簡単に表示することが出来るため、有用性が高いと言える。 現在作成したWeb地図では、ベースマップとして国土地理院地図、OpenStreetMap、BingMap(標準、衛星写真、衛星写真+地名表示、衛星写真+英字での地名表示)が設定されており、表示を変更できる。 ベースマップの他には、国土数値情報から取得したshpファイルをgeoJsonファイル形式に変換したポリゴンデータを読み込ませることで、鳥獣保護区のエリアをデフォルトの切り替え可能レイヤーとして設定した。酒田市民に鳥獣保護区の存在を多くの人に認知してもらうための工夫として、最上川河口鳥獣保護区は個別にレイヤを作成して他の保護区とは色を分けた。その他の保護区も、国指定と県指定、さらに特別保護区で色とレイヤを分けた。 現時点での検索機能は、画面上部に設定された検索ボックスに野鳥の名前を入力すると、その野鳥がよく観られる環境のポリゴンが表示されるというものである。まず、鳥獣保護区周辺の環境を、市街地・都市公園・森林・海岸・河川・ヨシ原・港湾・水田・田畑の9つの区分に分け、uMapとQGISを用いてgeoJsonファイル形式でポリゴンデータをそれぞれ作成した。そのポリゴンデータが、検索ボックスに入力された文字列に反応して、地図にgeoJsonファイルが読み込まれて表示される。 \subsection{図鑑パートの作成} \subsection{VRパートの作成} \subsubsection{VRパートの作成} A-Frame\cite{a}とは、カスタムhtmlを利用し、WebVRを作成できるオープンソースのフレームワークのことである。また、A-Frameの特徴として、JavaScriptなどの言語を使用しなくても、HTMLタグのマークアップだけでシーン、アニメーションを記述することができることである。 Webブラウザとは、Webブラウザ上でVRを使える技術のことである。また、Oculus Rift、PlayStation VR等に比べ、マルチデバイスに対応しているため、プラットフォームの壁を気にせずに利用することができる。さらに、VRデバイスを利用せずとも体験できるようになっている。 \subsubsection{WebVRとは} Webブラウザ上でVRを使える技術のことである。また、Oculus Rift、PlayStation VR等に比べ、マルチデバイスに対応しているため、プラットフォームの壁を気にせずに利用することができる。さらに、VRデバイスを利用せずとも体験できるようになっている。 \subsubsection{Oculus Riftとは} Oculus Rift\cite{o}とは、Oculus社\footnotemark[1]が開発・販売している世界で初めて家庭用向けに販売されたPC VRゴーグルのことである。 \footnotetext[1]{VRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift(オキュラスシフト)」を提供している会社のこと} \subsubsection{PlayStation VRとは} PlayStation VR\cite{p}とは、PS4とPlayStationCameraを組み合わせることで、バーチャルリアリティを楽しむことができるデバイスソフトウェアを搭載しているVRゴーグルのことである。 \subsubsection{WebVRを活用する目的} WebVRを活用する目的として、野鳥の生息地それぞれに、存在する野鳥の候補を、絞ることができる。また、野鳥の生息地図を、利用した際に、どのエリアに、どのような野鳥がいるのかを、判断することができるが、WebVRを活用することで、野鳥が生息しているエリアは、どのような場所なのかについて、知ることができ、具体的な生息域を知ることができる。 \subsubsection{jQueryの活用} 野鳥図鑑を作成する際に、jQuery\footnotemark[2]を活用し、検索項目の絞り込みを行えるように作成を行っている。また、jQueryを活用することで、シンプルなJavaScriptの記述が可能となり、野鳥の情報の改善や追加を可能とした。 \footnotetext[2]{JavaScriptのためのライブラリである。jQueryを使用することでシンプルにJavaScriptを記述できるようになる。} \section{今後の地図作成について} 現時点の地図は、酒田で観られる野鳥を30種類に絞っており、該当する野鳥の名前を検索するとその野鳥が出現する環境の範囲がポリゴンで表示される。今後は酒田市で観られる全ての野鳥のデータを整理し、Leafletのプログラム、土地区分のgeojsonファイルと結びつけることで、現在の限定的な種数、検索方法、結果表示を改善する。野鳥の英名、学名、科名、目名など、あらゆる野鳥に関係する検索ワードに対応して生息地のポリゴンが現れるようにする。また、同じ場所でも朝昼夜という時間帯で観られる野鳥が変化するため、その変化を地図上に可視不可視のレイヤを実装させることで表現したい。そしてWebVR、図鑑、生息地図それぞれのWebサイトから知りたい情報を相互して行えるようにしていこうと考えている(図1)。 \begin{figure}[h] \centering \includegraphics[width=3cm]{b.pdf} \caption{Webサイトの利用方法} \end{figure} \section{参考文献} \begin{thebibliography}{} \bibitem{pic} 写真・解説/叶内拓哉、分布図・解説協力/安部直哉、解説(鳴声)/上田秀雄.新版「日本の野鳥」.新版,山と溪谷社,川崎深雪,2014,p.672,山溪ハンディ図鑑,7,978-4-635-07033-1. https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/, (参照:2021-8-13). \bibitem{RED} 環境省,生物多様性センター.”生物情報 収集・提供システム「いきものログ,RL/RDB」”. \bibitem{pre} 環境省(2014).”国指定最上川河口鳥獣保護区指定計画書”.平成26年 https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/, (参照:2021-11-30). \bibitem{BIR} 公益財団法人日本野鳥の会.”自然観察や保護の普及”. \bibitem{SC} 酒田市(2014).”平成26年度酒田市自然状況文献調査業務”.酒田市環境衛生課,平成26年12月. https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/, (参照:2021-12-7). \bibitem{sun} SUNTORY HOLDINGS.”サントリーの愛鳥活動「日本の鳥百科」”. https://ktgis.net/service/leafletlearn/index.html/, (参照:2021-11-30). \bibitem{Lf} 埼玉大学教育学部人文地理学,谷謙二研究室.“Leafletの使い方”.KTGIS.net,サービス.2020-4-1. http://ornithology.jp/katsudo/Publications/Checklist7.html/, (参照:2021-11-25). \bibitem{TOSJ} 日本鳥学会(2012).”日本鳥類目録改訂第7版,JPBirdList_7ed_ver1.xls”. https://db3.bird-research.jp/saezuri/birdsong \bibitem{RES} 認定NPO法人バードリサーチ,電気通信大学笠井研究室.”さえずりナビ,さえずり検索,フィールドノートVer.3”.デジタル野鳥ツール. https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/JavaScript/, (参照:2021-11-30). \bibitem{JS} MDN Web Docs.“JavaScript”.開発者向けのウェブ技術.2021-12-11. \bibitem{a}blanco swings.``WebVRフレームワーク「A-Frame」". \\ \url{https://bulan.co/swings/webvr-a-frame/}, (参照 2021-06-06). \bibitem{o}MoguLive .``Oculus Rift SってどんなVRヘッドセット? スペックや変更点など解説". \\ \url{https://www.moguravr.com/oculus-rift-s-explanation/}, (参照 2021-11-17). \bibitem{p}SONY .``PlayStation®VR PlayStationサポート". \\ \url{https://www.playstation.com/ja-jp/support/hardware/psvr/}, (参照 2021-11-17). \end{thebibliography} \end{document}