\documentclass{jsbook} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} \usepackage{ascmac} \usepackage[twoside,inner=30truemm,outer=20truemm]{geometry} \usepackage{url} % 文中にURLを書くときは \url{} で括る \geometry{textwidth=160mm, textheight=225mm} \renewcommand{\bibname}{参考文献} \title{住民参加型スタンプラリーによる\\観光まちづくり推進の提案} \author{広瀬研究室\\C120020A 伊藤皓紀} \date {令和6年1月10日} \begin{document} \maketitle \begin{center} {\bfseries 概要} \end{center} 地域活性化の手法のひとつとして観光まちづくりがある。観光まちづくりとは,地域が主体となり地域が有する文化や自然などといった資源を活用し,来訪客の増加や地域活性化を図る都市政策のひとつである。本研究では地域が有する資源の情報発信方法としてデジタルスタンプラリーを用いる。 デジタルスタンプラリーとは,モバイル端末を用いて複数の地点を周遊し,特定の地点においてスタンプを入手することのできるシステムである。スタンプを取得する手段として位置情報を用いたものやQRコード,パスワードの入力などがある。本研究では,位置情報を用いたデジタルスタンプラリーの開発をする。さらに,スタンプを取得できる地点の情報を地域住民が主体となって追加することのできるシステムの開発をする。これにより,地域住民が手軽に観光まちづくりに参加することができる。そしてデータが追加されたデジタルスタンプラリーを地域内外に発信することで,観光客に地域の観光資源を知ってもらうことができる。また地域住民は地域の観光資源について改めて考えることができ,地域の活性化につながっていく。 以上のように住民が主体となって作成するデジタルスタンプラリーを用いた観光まちづくりの推進の完成を目指す。(522文字) \setcounter{tocdepth}{2} \tableofcontents \chapter{はじめに} 本章では研究を行っていく上での社会的な背景やその現状についてまとめ,そこで生じている課題について考察する。その上で課題に対する解決策をまとめ,本研究の目的について述べる。 \section{背景} 2023年現在,行政や自治体を中心に観光まちづくりが推進されている\cite{kokudo}。観光まちづくりとは,都市政策のひとつである。地域住民や自治体が主体となって観光資源の発掘やその情報発信を行い,観光を通してまちづくりを行うことを目的としている。本研究での観光資源とは,地域住民が魅力を感じる自然・文化・産業等を示す。観光資源を活用した例として,飛騨里山サイクリングが挙げられる\cite{kanko}。飛騨里山サイクリングは,サイクリングを通して岐阜県飛騨市の自然や伝統,生活文化に触れることができる着地型商品\footnote{旅行者の暮らす地域の観光業者が企画販売する発地型商品に対して,旅行者を受け入れる地域で作られる旅行商品}である。参加者は毎年2倍以上増加し,2016年には3400人もの人が集まっている。このように,地域にもともと存在する資源を使った観光というものが盛んになっている。ここで大切となってくるのは地域住民の理解と,協力による情報の発信である。国土交通省では,提供する情報内容の考え方として,ナビゲーション・ユーティリティ・オリジナリティ・コミュニケーションの4つの視点から検討することが重要であるとしている\cite{joho}。情報の発信方法としてデジタルスタンプラリーを用いることでこれら4つの視点から考えられた情報の発信ができるのではないかと考える。%% 国土交通省では,観光まちづくりの推進について「観光客が訪れてみたい「まち」は、地域の住民が住んでみたい「まち」であるとの認識のもと、従来は必ずしも観光地としては捉えられてこなかった地域も含め、当該地域の持つ自然、文化、歴史、産業等あらゆる資源を最大限に活用し、住民や来訪者の満足度の継続、資源の保全等の観点から持続的に発展できる「観光まちづくり」を、「観光産業中心」に偏ることなく、「地域住民中心」に軸足を起きながら推進する必要がある。」と述べている。 デジタルスタンプラリーとは,モバイル端末を用いてスタンプを入手することのできるラリーポイントを周遊し,特定の行動でスタンプを入手することのできるシステムである。スタンプ取得の手段としてはモバイル端末の位置情報を用いたものや,QRコードを用いたものが存在する。CloudCIRCUSが2018年に18から59歳の男女441人を対象に実施した調査\cite{coco}では,スタンプラリーに参加した後の企画内容への関心について,「非常に上がった」が13.8%,「上がった」が42.4%となり,約6割の参加者が企画内容に対して興味を持ったという結果となった。この結果により,スタンプラリーは興味を持つきっかけとして適していると考える。 本研究では位置情報を用いたデジタルスタンプラリーシステムを開発する。そして,ラリーポイントを地域住民が登録することができるようにすることで,情報追加を行った住民はまちづくりに参加している意識を持つことができると考える。また住民が主体となって情報追加することで,より詳しい情報や現在は人が足りなくてなくなった行事の情報などを載せることができる。それにより,地域について世代を超えて話し合う機会を増やすことができると考える。 \section{目的} 本研究では,観光まちづくりの手法のひとつとしてデジタルスタンプラリーを活用する。スタンプラリーのラリーポイントの追加を地域住民が主体的に行えるようにすることで,その地域特有の生活や文化などの情報の提供を図る。情報追加に必要な条件をインターネットに接続することのできるモバイル端末を所持していることのみとすることで,地域住民が情報追加に参加しやすくなるのではないかと考える。 以上のことから本研究では,地域住民が手軽に情報を追加することができるシステムと,それらの情報をスタンプラリーという形で地域外へと発信するシステムの開発を目的とする。 \chapter{関連研究と類似サービス}\label{kenkyu} 本章では関連研究と類似サービスを参照し,本システムの有用性と課題点を探っていく。 \section{関連研究} 関連研究では,イベントや地域の活性化の手段としてスタンプラリーを用いている論文とともに,住民参加型のマップづくりに関係した論文を取り上げる。 \subsection{神奈川県でのイベント活性化事例} 飯塚の研究では,参加者が紙のスタンプ用紙を持ってチェックポイントでスタンプを押してゴール後に景品を受け取るといる従来の一般的な方法で行われてきたスタンプラリーイベントにおいて,モバイル端末アプリケーションの導入をすることでエンターテインメント性の向上を図っている\cite{phone}。飯塚はアプリ利用の事前告知を効果的に行う必要があるとした上で,モバイル端末アプリケーション導入によるイベントの活性化が期待できる結果になったと述べている。 \subsection{エリアスタンプラリーシステム} 兵庫県立大学の伊藤らの研究では,スタンプラリーの問題点として,スタンプの設置された各地点間で移動が直線的になりやすく,回遊行動が不十分となる可能性が高いことを挙げている\cite{aria}。これに対し,一定の広い範囲のエリアを設置し,エリア内に一定時間滞在することでスタンプを取得できるようにすることでまちあるきなど回遊行動を増加させることができるのではないかと述べている。 \subsection{住民参加型防災マップづくり} 豊田,鐘ヶ江らの研究では,防災マップづくりに参加した住民への効果とマップの受益者である不参加の住民の意識への効果について明らかにしている\cite{com}。住民参加型マップづくりで参加者に期待される効果として,地域理解が深まることや,地域住民同士での情報共有が行われるようになることを挙げている。それに対し,不参加者へのマップ配布の効果については,マップ上にある情報については認知されるがそれに基づいた行動には繋がらないため,効果は限定的であると述べている。 \section{類似サービス} モバイル端末を用いたデジタルスタンプラリーについて,本研究で開発するシステムと類似しているサービスを以下に示す。 \subsection{RALLY} 株式会社RALLYが提供するデジタルスタンプラリーを作成できるサービスである\cite{RALLY}。ブラウザからアクセスすると図.\ref{figure:RALLY}の画面が表示される。スタンプを集める方法として位置情報・QRコード・キーワード入力の3つがあり,位置情報の場合は画面を開くと自動で位置情報の取得がされ,現在地にマーカが表示される。 料金プランが2つあり,無料で使えるFreeプランではデータの保存期間は2週間,参加可能人数は250人,設置できるラリーポイントの数は12個となっている。有料プランでは,データの保存期間が3ヶ月,参加可能人数が2500人,設置できるラリーポイントの数が24個に増加する。さらに,有料プランではオプションサービスを別料金で追加することが可能であり,規模を大きくすることができる。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=6cm]{RALLY.pdf} \caption{RALLYスタンプラリー画面} \label{figure:RALLY} \end{figure} \subsection{Shachihata Stamprally} Shachihata Stamprallyとは,シヤチハタ株式会社が提供するサービスである\cite{shachi}。このサービスでは,紙にスタンプを押す従来のスタンプラリーとモバイル端末を用いてスタンプを収集するデジタルスタンプラリーの2つから選べる。デジタルスタンプラリーでは,日時や設置場所ごとの取得数を把握することができる。また参加者の性別や年齢といった属性を把握することが可能である。 Shachihata Stamprallyのデジタルスタンプラリーは,iStampのアプリケーションをダウンロードし,会員登録を行うことで参加することが可能である。参加したいラリーを選択すると図.\ref{figure:iStamp}の地図が表示される。地図上に表示されているアイコンをタップすることで,スタンプ獲得画面に遷移してスタンプを獲得することができる。iStampは主に位置情報を参照しており,アイコンまでの距離が一定以上離れている場合はスタンプを獲得することができない。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=14cm]{shachi.pdf} \caption{iStampスタンプラリー画面} \label{figure:iStamp} \end{figure} \section{本研究で解決を目指す課題}\label{kadai} 本研究では地域住民が手軽に参加でき,情報の追加をすることのできるシステムの開発し,住民の地域理解を深めることを目指す。またそれらの情報をスタンプラリーとして発信することで,観光客に対して効果的に地域を紹介することのできるシステムを目指す。 類似サービスで挙げたRALLYは,スタンプの数や参加人数など無料で行うことのできる範囲は限られている。また,ラリーポイントは情報を集約して1つの端末から設定する必要があり,地域住民が手軽に参加することが難しい。Shachihata Stamprallyはラリーポイントの設置やスタンプラリーを継続的に開催するためにお金がかかる。そのため地域住民や自治体への負担が大きく,継続していくことが難しい。 \chapter{デジタルスタンプラリーシステムの提案} 本章では,第\ref{kenkyu}章の内容をもとに本研究において提案するシステムについてまとめる。 \section{本研究での提案} 本研究では地域住民自身が情報の追加をすることができ,その情報をデジタルスタンプラリーという形で発信することのできるシステムを提案する。追加した情報が即座にスタンプラリーに反映されることで,情報追加者の観光まちづくりへの参加意識が高まるのではないかと考える。さらにそれらのデータをインターネット上で管理できるようにし,リンクを知っていれば誰でも編集・管理することを可能にする。 データの管理にはGoogleスプレッドシートを用いる。GoogleスプレッドシートとはGoogleが提供する,オンラインでデータを共同で編集することのできる表計算ソフトである。Googleアカウントを所持していれば誰でも使用することができ,無償で利用することが可能であるためGoogleスプレッドシートを選択した。 \section{要件定義}\label{yoken} \ref{kadai}節でまとめた課題から本システムの機能要件を定義する。 \begin{description} \item[要件1]位置情報を用いてスタンプを収集することのできる機能 位置情報を取得し,ラリーポイントとの距離を測定してスタンプ取得の判定をすることが可能である。 \item[要件2]ユーザによる情報送信機能 地点に関する情報を項目ごとに入力して送信することが可能である。 \item[要件3]送信された情報をGoogleスプレッドシートに追加する機能 オンライン上でデータを管理し,リンクを知っていれば管理・編集することが可能である。 \item[要件4]Googleスプレッドシートのデータをスタンプラリーに反映する機能 保存されているデータをスタンプラリーに表示できる形式に変換して反映することが可能である。 \end{description} \chapter{システム設計} 本章では\ref{yoken}節をもとにシステムの設計を行う。本システムはスタンプを収集するスタンプラリーシステムと,入力フォーム用のWebページから情報を送信してGoogleスプレッドシートに追加するシステムの2つがある。本研究では,入力フォームを用いて情報の追加をするユーザを管理ユーザ,スタンプラリーシステムを使ってスタンプを収集するユーザをプレイヤとする。 実行の流れは図\ref{figure:nagare}の通りである。各機能における設計を以下に示す。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=12cm]{nagare.pdf} \caption{システムの流れ} \label{figure:nagare} \end{figure} \section{情報追加システム} 情報追加システムは,入力フォームにおいて管理ユーザが地点情報を入力・送信することでGoogleスプレッドシートに情報を追加することができるものである(図.\ref{figure:form})。地点の情報として,地点の名称・地点の位置情報(緯度・経度)・一言コメントを必須項目としている。これらの必須項目を入力していない場合,送信自体ができないようになっている。他に追加することのできる情報として,地点の概要・地点の画像・スタンプの画像がある。地点の画像とスタンプの画像を追加するにはGoogleDriveにアップロードされている画像の共有URLが必要となる(図.\ref{figure:link})。画像がない場合はテンプレートの画像に置き換わるようになっている。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=7cm]{form.pdf} \caption{入力フォーム} \label{figure:form} \end{figure} \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=12cm]{imagelink.pdf} \caption{共有URL取得方法} \label{figure:link} \end{figure} \section{スタンプ収集システム} プレイヤの所持するモバイル端末のGPS情報を用いたスタンプラリーシステムである。管理ユーザが情報追加システムを用いて追加したラリーポイントが地図上にマーカで表示されている。さらに現在地を示すマーカが地図の中心にあり,STARTボタンを押してGPS情報の取得を開始することでプレイヤの現在地にマーカが移動する。現在地を示すマーカがラリーポイントへと一定距離以上近づくことでスタンプを取得することができるようになっている(図.\ref{figure:stamp})。取得したスタンプは,Webページ下部に一覧で表示されている。スタンプの取得情報はLocalStorageに保存されており,同じブラウザであればWebページを更新しても取得したスタンプは消えない。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=12cm]{image.pdf} \caption{スタンプラリーシステム} \label{figure:stamp} \end{figure} \chapter{システム開発}\label{system} \section{開発環境} システム開発に使用する開発環境を示す。 \begin{itemize} \item 開発言語 \begin{itemize} \item JavaScript(ECMAScript 2023) \begin{itemize} \item Leaflet(version 1.8.0) \end{itemize} \item HTML Living Standard \item CSS3 \item Google Apps Script(2023年12月13日版) \end{itemize} \item Webアプリケーション \begin{itemize} \item Googleスプレッドシート \item Google Drive \end{itemize} \end{itemize} \section{地点情報の送信}\label{sosin} 地点情報は入力フォームのWebページで入力されたデータを送信することで,GAS\footnote{Google Apps Scriptの略称でGoogleが開発・提供しているJavaScriptをベースに作成されたプログラム言語である}を通してGoogleスプレッドシートに追加される。 以下は入力フォームで入力された内容を受け取り,Googleスプレッドシートに追加するGASのソースコードである。 \begin{itembox}[l]{入力フォームで送信した内容をシートに追加(GAS)} \scriptsize{ \begin{verbatim} const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet() const sheet = spreadsheet.getSheetByName('シート名') var number = sheet.getLastRow(); var name = e.parameter.name; var lat = e.parameter.lat; var lng = e.parameter.lng; var comment = e.parameter.comment; var info = e.parameter.info; var image = e.parameter.image; if (image === ""){ //画像がない場合テンプレート画像を代入 image=テンプレート画像の共有URL; } var stamp = e.parameter.stamp; if (stamp === ""){ stamp = テンプレート画像の共有URL; } let adddate=[[number,name,lat,lng,comment,info,image,stamp]]; let startRow = sheet.getLastRow()+1; //シートの空白の行を指定 let row = adddate.length; let col = adddate[0].length; let addRange = sheet.getRange(startRow,1,row,col); addRange.setValues(adddate); const template = HtmlService.createTemplateFromFile('result'); const htmlOutput = template.evaluate(); return htmlOutput; \\resultページに移動 \end{verbatim} } \end{itembox} \section{スタンプラリー} 地図の表示はオープンソースのJavaScriptライブラリであるLeaflet\cite{leaf}を用いている。基本地図としてOpenStreetMap(OSM)\cite{osm}を利用し,レイヤで国土地理院\cite{tiriin}の地図と切り変えることができる。これは,OSMがユーザによる情報の更新によって地理情報を作成しているため,地図情報が最新のものではない可能性があるからである。 \subsection{スプレッドシートの内容を地図上に表示} マーカの設置にはGASを用いている。Googleスプレッドシートにある地点情報・名称・詳細・スタンプを入手した際のコメント・画像の共有URLといった内容をJSON形式に変換している。そのデータをJavaScriptで取得し,Webページに反映している。 以下はGoogleスプレッドシートの内容をJSON形式に変換するGASのソースコードと,JSON形式のデータを受け取るJavaScriptのソースコードである。 \begin{itembox}[l]{シートの内容をJSON形式に変換(GAS)} \scriptsize{ \begin{verbatim} const SPREAD_SHEET_ID ='スプレッドシートのID'; const SHEET_NAME = 'シート名'; function doGet(e) { const app = SpreadsheetApp.openById(SPREAD_SHEET_ID); const sheet = app.getSheetByName(SHEET_NAME); const values = sheet.getDataRange().getValues(); const data = []; for(let i=0; i<values.length; i++){ if(i === 0)continue; const param = {}; for(let j=0; j<values[i].length; j++){ param[values[0][j]] = values[i][j]; } data.push(param); } const result = ContentService. createTextOutput(); } \end{verbatim} } \end{itembox} \begin{itembox}[l]{JSON形式データの受取(JavaScript)} \scriptsize{ \begin{verbatim} function putValues(row){ for (let key of Object.keys(row)){ } } function init(){ fetch(endpoint). then((response)=>response.json()) .then(data =>{ const csv = data; for (let x of csv){ //スプレッドシートの内容を1行ずつ代入 putValues(x); var a = (x.number); let p = L.latLng(x.lat,x.lng); image.push(x.image); var pattern = /[\/]/; const img = x.image.split(pattern); //共有URLを/で区切って配列にする titen.push(p); comment.push(x.comment); info.push(x.info); console.log(x.info); const stamp = x.stamp.split(pattern); stamping.push(`${stamp[0]}//${stamp[2]}/uc?export=view&id=${stamp[5]}`); contents[a] = `<div class="text"><h2>${x.name}</h2><p>${x.comment}</p><img src="${img[0]}//${img[2]}/ uc?export=view&id=${img[5]}"/></div>` var elem = document.createElement('img'); elem.id = `image${pos}`; if(localStorage.getItem(`stamp${pos}`)=="true"){ //LocalStorageのスタンプ取得状況を参照 elem.src = stamping[pos]; marker.push(L.marker(p).bindPopup(contents[a]).setIcon(geticon).addTo(map).on('click',function(e) {clickEvt(e);})); }else{ elem.src = 'image/img.png'; marker.push(L.marker(p).bindPopup(contents[a]).addTo(map).on('click',function(e){clickEvt(e);})); } marker[pos].title = (x.info); var stam = document.getElementById('stamp'); stam.appendChild(elem); pos += 1; } });; } init(); \end{verbatim} } \end{itembox} \subsection{位置情報の取得} STARTボタンを押すことで位置情報の取得が開始される。3秒ごとに位置情報が取得され,もし取得できなかった場合はその旨がポップアップに表示され,10回連続で位置情報の取得ができない場合は強制的に位置情報の取得が停止される。 以下は位置情報の取得に関するソースコードである。 \begin{itembox}[l]{位置情報の取得(JavaScript)} \scriptsize{ \begin{verbatim} function stopGPS() { \\位置情報の取得を停止 console.log("watchId="+watchId); if (watchId != null) { navigator.geolocation.clearWatch(watchId); gpsmarker.setPopupContent("停止"); } watchId = null; } function tryWatchGPS() { \\位置情報の取得 stopGPS(); watchId = navigator.geolocation.watchPosition( onSuccess,onError,{ maximumAge: 0, timeout: 3000, enableHighAccuracy: true}); } \end{verbatim} } \end{itembox} \subsection{ラリーポイントとの距離の判定} 位置情報を取得するたびに追加されているそれぞれのラリーポイントとの距離をdistanceToメソッドで測る。ラリーポイントとの距離が一定以下だった場合,ポップアップでスタンプの取得を通知し,スタンプ一覧へのスタンプの追加,ラリーポイントのマーカの色を変更,LocalStorageに取得情報を保存をする。 以下はラリーポイントとの距離を判定するソースコードである。 \begin{itembox}[l]{ラリーポイントの判定(JavaScript)} \scriptsize{ \begin{verbatim} for (var i in titen){ if (latlng.distanceTo(titen[i]) < 15){ if (!judge[i]){ judge[i] = true; alert("スタンプゲット!!!"); let img = document.getElementById(`image${i}`); img.src = stampimg[i]; marker[i].setIcon(geticon); localStorage.setItem(`stamp${i}`,true); } } } \end{verbatim} } \end{itembox} \chapter{実証実験} 本章は,第\ref{system}章で開発したシステムを実際に使用した事例である。実際に使用した結果を踏まえて\ref{yoken}節の内容を基に本システムの評価を行う。 \section{さかた北前朝市スタンプラリー}\label{kitamae} 令和5年度開催のさかた北前朝市において行った,スタンプラリー企画についての概要と結果についてまとめる。 \subsection{概要} さかた北前朝市とは令和元年から開催される,6月から11月の第一日曜日に酒田市中町のイベントである。本研究では令和5年度の8月から11月の4ヶ月間,さかた北前朝市スタンプラリーという企画を行った。この企画は,開催の2週間前にWebページのQRコードを添付したチラシを配布し,当日までにスタンプを収集してもらうという形式である。参加人数を把握するために\ref{sosin}のシステムを応用してスタンプをコンプリートするとGoogleスプレッドシートに情報を送信できるようになっている。 本実験ではスタンプラリーシステムの位置情報の取得を正常に行うことができ,スタンプを集めることができるかを調査した。同時に毎月ラリーポイントの判定距離を変更し,参加者の反応から判定距離について調査した。 \subsection{結果} 4ヶ月間の開催で合計15人が参加し,参加者全員がスタンプを収集することができたことを確認した(表.\ref{table:asaichi})。判定距離で特に好評だったのは11月の判定距離が15mのときだった。「車で近くを通るだけだとスタンプをゲットできず,丁度いい距離だった」「中まで入る必要があり,ラリーポイントをよく見ることができた」といった意見が挙がった。 \begin{table}[tbp] \caption{さかた北前朝市} \label{table:asaichi} \centering \begin{tabular}{|l|l|l|l|} \hline 月 & ラリーポイント & 判定距離 & 参加人数\\ \hline 8月 & 山居倉庫 &&\\ &日和山公園&20m&4人\\ \hline 9月 & 山王クラブ &&\\ &ミライニ& 25m & 4人\\ \hline 10月 & 大獅子(酒田市役所前) &&\\ &子獅子(大通り緑地公園)&10m&3人\\ \hline 11月 & 北前横丁 &&\\ &山居倉庫& 15m & 4人\\ \hline \end{tabular} \end{table} \section{鶴岡朝日地域の地点追加}\label{turu} 鶴岡市朝日地域において行った地点情報の追加についての概要と結果についてまとめる。 \subsection{概要} 鶴岡市朝日地域の朝日中学校2年生とその保護者を対象に実施した。最初に使い方をまとめた用紙を配布し,その後実際に地点情報の追加をしてもらった。 本実験では,配布された資料のみで地域住民による地点情報の追加を行うことができるかを調査し,追加された情報から情報追加システムの課題点を探った。 \subsection{結果} 朝日中学校2年生とその保護者の合わせて20名に資料(図.\ref{figure:siryo1},図.\ref{figure:siryo2})を配布してシステムの使い方を説明した結果,計11箇所の地点が追加された(表.\ref{table:add})。そのうちマップ上に反映されていたのは2箇所だった。残りの9箇所は地図上にマーカーを設置する上で必要となる名称・緯度・経度のいずれかが不足した状態で追加されていたため,マップ上には反映されていなかった。 この結果をもとに,最低限の情報として名称・緯度・経度・コメントを求めるように変更した。具体的には,これらの情報が入力されていない場合は送信のボタンを押すことができないようにし,緯度経度に数値以外が入力された場合にはアラートで警告が出るように変更した。 \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=12cm]{sosaimage.pdf} \caption{図を用いた説明資料} \label{figure:siryo1} \end{figure} \begin{figure}[tbp] \centering \includegraphics[width=12cm]{setumei.pdf} \caption{具体的な操作の説明資料} \label{figure:siryo2} \end{figure} \begin{table}[tbp] \caption{地点情報追加} \label{table:add} \centering \begin{tabular}{|l|l|l|} \hline 件数 &入力内容 & 状態 \\ \hline 1件 & 名称・緯度・経度・コメント・概要 & 正常に表示\\ \hline 1件 & 名称・緯度・経度・コメント & 正常に表示\\ \hline 8件 & 名称のみ & 緯度と経度が0の地点に表示\\ \hline 1件 & コメントのみ & 緯度と経度が0の地点に表示\\ \hline \end{tabular} \end{table} \section{実証実験を通した評価} 2つの実証実験の結果を\ref{yoken}節で挙げた要件と照らし合わせて評価していく。 はじめに位置情報を用いてスタンプを収集することのできる機能については,\ref{kitamae}節の実験結果により,要件を満たしているといえる。しかし課題点として,使用するモバイル端末やブラウザによって位置情報の取得を許可する設定をする必要があるため,説明が必要である。 続いてユーザによる情報送信機能については,\ref{turu}節の実験結果により,要件を満たしているといえる。地点の情報として最低限必要な項目を入力必須とすることで,指定した地点に正常にマーカが設置されるようになっている。 同じく\ref{turu}節の実験結果により,送信された情報をGoogleスプレッドシートに追加する機能・Googleスプレッドシートのデータをスタンプラリーに反映する機能について,要件を満たしているといえる。データの管理にGoogleスプレッドシートを用いていることで地域住民や自治体への金銭的な負担を小さくすることができている。課題点として,地点情報の追加に比べて情報の削除や修正の手間が大きい点や,スタンプ取得状況の保存にスプレッドシートの行番号を参照しているため,別の地点に書き換わった場合に前の地点のスタンプ取得情報が引き継がれてしまう点が挙げられる。 \chapter{結論} \section{結論} 本研究で開発したシステムは,インターネットに接続することのできるモバイル端末を使用することで手軽にスタンプラリーの地点情報を追加することを可能とした。これにより,これまで観光まちづくりに参加していなかった地域住民であっても,管理ユーザとなって地域に関する情報を発信することが可能となった。しかし,追加された地点の情報の修正について大きな課題があるため改善が必要である。 \section{今後の展望} 現在のシステムは,1人での利用しか想定されていないため,地点数が増えるとプレイヤのスタンプを集める負担も増えてしまう。その対策として,WebSocketを活用して複数人のプレイヤでチームとなってスタンプを共有できるようにすることで,個人の負担を軽減し誰でも気軽に楽しむことのできるようにしていく(図.\ref{figure:websocket})。そのうえで,プレイヤのモチベーションを維持するために,獲得したスタンプの総数による特典について検討する。 他に,地点数が増加した際の対策として情報に観光を推奨する時期などを追加してレイヤを分けることで,表示数を絞りつつ季節ごとのおすすめを表示することができるのではないかと考える。 \begin{figure}[tb] \centering \includegraphics[width=9cm]{websocketimage.pdf} \caption{websocketイメージ} \label{figure:websocket} \end{figure} また現在は1度追加した情報の編集はGoogleスプレッドシートを直接編集することでしか変更することができない。そのため同じ1つの地点の情報を複数のユーザが追加した場合,ラリーポイントが重なって表示され,地図上に表示されているマーカを確認することが難しくなる。閲覧者が地点の情報を入手するうえでの手間を減らす工夫を凝らしていく必要がある。 \chapter *{謝辞} \addcontentsline { toc }{ chapter }{謝辞} 本研究を進めるにあたり多くの方にご支援いただきました。指導教官の広瀬雄二教授には,本研究の技術指導や論文の執筆に当たり多大なご協力を賜りました。ここに深謝の意を表します。 また,実験の場を提供していただいた一般社団法人元気インターナショナルの皆様,朝日中央コミュニティセンターの皆様におきましては,業務がお忙しい中で大変貴重なお時間をいただき,ご協力頂いたことに感謝いたします。 \begin{thebibliography}{99} \bibitem{kokudo}国土交通省. “III.21世紀初頭において早急に検討・実現すべき具体的施策の方向”.国土交通省. 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