%#!platex -kanji=%k %#DVIPDF dvipdfmx -f ipa.map \AtBeginDvi{\special{pdf:mapfile ptex-ipa.map}} \documentclass{jsbook} %\pagestyle{empty} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} %\usepackage{listings, jlisting} %\usepackage[sectionbib]{chapterbib} \usepackage{ascmac} \usepackage{tabularx} \usepackage{wrapfig} \usepackage{okumacro} \newcolumntype{Y}{>{\centering\arraybackslash}X} \usepackage[twoside,inner=30truemm,outer=20truemm]{geometry} \usepackage{url} % 文中にURLを書くときは \url{} で括る \geometry{textwidth=160mm, textheight=225mm} \renewcommand{\bibname}{参考文献} \title{やさしい日本語を用いたWebハザードマップの提案} \author{広瀬研究室3年 \\C121119A 讃岐春香} \date {令和6年1月11日} \begin{document} \maketitle \begin{center} {\bfseries 概要} \end{center} 現在,日本において在留外国人数は増加傾向にあり,それに伴ってやさしい日本語を用いての情報発信も増加している。2022年の文化庁による「令和3年度各地域における日本語教育に関する取組について【回答一覧】」において全67自治体のうちやさしい日本語の取り組みを実施している都道府県・政令市が61自治体であり,やさしい日本語の普及活動が積極的に行われていることがわかる。やさしい日本語とは,普通の日本語よりも簡単で外国人にもわかりやすい日本語である。また,近年紙・pdf媒体ではなくWeb版のハザードマップが出ている。酒田市役所地域共生課への取材により在住外国人向けのWeb版のハザードマップが必要であることが明らかになったが,現時点においてやさしい日本語を用いたWebハザードマップは存在しない。 そこで本研究では,災害種別ごとに切り替えてのハザードマップの表示,地点検索,位置情報を用いた現在地の周囲の防災情報の確認,やさしい日本語を用いた防災情報や防災用語の解説等の機能を持つ,やさしい日本語を用いたWebハザードマップを作成し,提案する。これにより在住外国人などより多くの人がハザードマップを利用できるようにすることを目指す。(512文字) \tableofcontents \chapter{はじめに} 現在,日本において在留外国人数は増加傾向にある。出入国在留管理庁による「令和4年末現在における在留外国人数について」において,令和4年末の在留外国人数は307万5213人(前年末比31万4578人,11.4%増加)で過去最高を更新し,初めて300万人を超えると発表された\cite{gaikokujinsu}。それに伴い,やさしい日本語で書いた防災情報を含むニュースを発信するNHKの「NEWS WEB EASY」\cite{easy}などのWebサイトが出ており,やさしい日本語を用いた情報発信が増加している。 やさしい日本語は,阪神・淡路大震災後に考え出された普通の日本語より簡単で外国人にもわかりやすい日本語であり,現在普及活動が進んでいる。また,近年国土地理院の「重ねるハザードマップ」\cite{kasaneru}等,従来の紙・pdf媒体ではなくWeb版のハザードマップが作られている。 しかし,現時点ではやさしい日本語を用いたWebハザードマップは存在しない。そこで本研究では,在住外国人などより多くの人がハザードマップを利用することができるよう,やさしい日本語を用いたWebハザードマップを作成し提案する。 \section{背景} やさしい日本語とは,普通の日本語よりも簡単で,外国人にもわかりやすい日本語のことである。1995年1月の阪神・淡路大震災では,日本にいた多くの外国人も被害を受け,その中には日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない人もいた。そうした人たちが災害発生時に適切な行動をとれるようにやさしい日本語が考え出された\cite{tokyo}。 2022年の文化庁による「令和3年度各地域における日本語教育に関する取組について【回答一覧】」(図 \ref{figure:nihongokyoiku})において,都道府県・政令指定都市(全67自治体)において「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を活用している自治体は44自治体,独自のガイドラインを作成し活用している自治体は12自治体である。やさしい日本語の研修やセミナーの開催,防災などのお知らせのやさしい日本語による発信,ホームページのやさしい日本語化などのやさしい日本語の取組を実施している都道府県・政令市は61事例に及んでいる\cite{kisochosa}。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{image1.png} \caption{令和3年度各地域における日本語教育に関する取組について【回答一覧】\cite{kisochosa}} \label{figure:nihongokyoiku} \end{figure} また,福井県福井市による『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』\cite{hukuishi}などやさしい日本語を用いたハザードマップも作られている。 これらのことから,現在やさしい日本語の普及活動が積極的に行われているということがわかる。 多言語への対応ではなくやさしい日本語を用いる理由としては以下の2点が挙げられる。 \begin{quote} \begin{itemize} \item 外国人を対象として行った国立国語研究所の2009年の調査において,日常生活に困らない言語として61.7\%の人が日本語を,36.2\%の人が英語を挙げていること\cite{kokugo}。 \item 松田らの2000年の調査において,日本語能力が初級後半から中級前半程度の外国人の通常のニュースの理解率は30\%程度であるが,やさしい日本語を用いると90\%以上に高まるという結果が出たこと\cite{matsuda}。 \end{itemize} \end{quote} これらのことから,在住外国人の多くが理解できる言語であり,やさしい日本語での防災情報発信が重要であると言える。 近年,国土地理院の「重ねるハザードマップ」\cite{kasaneru}等,従来の紙・pdf媒体ではなくWeb版のハザードマップが作られている。しかし,現在存在しているハザードマップ・Webハザードマップでは,地名・災害種別や説明等が漢字によって表記されておりふりがながふられておらず,やさしい日本語が用いられていないものが多く,やさしい日本語を用いたWebハザードマップは存在しない。 以上より,やさしい日本語を用いたWebハザードマップの作成を提案する。 \section{目的} 本研究ではやさしい日本語を用いたWebハザードマップを作成し,在住外国人など従来のハザードマップでは十分に情報を得ることができなかった人にハザードマップを利用してもらうことを目標とする。このハザードマップを作成することによって,より多くの人が災害に対する危機意識を持ち,災害時に安全に,速やかに避難することができるのではないかと考える。 \chapter{先行事例と類似サービス} 現在公開されているやさしい日本語普及のためのガイドライン,位置情報を利用したWebハザードマップのサービス,やさしい日本語を用いたハザードマップの一例を以下に挙げる。 \section{やさしい日本語の先行事例} やさしい日本語についての先行事例をまとめる。 \subsection{文化庁による『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』} \begin{wrapfigure}{r}[0pt]{6cm} \centering \includegraphics[width=6cm]{bunka.png} \caption{『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』\cite{bunka}} \label{figre:bunka} \end{wrapfigure} 文化庁による『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』(図 \ref{figre:bunka})\cite{bunka}は書き言葉に焦点を当てたガイドラインであり,国や地方公共団体,学校,企業がお知らせなどの情報を作るときに,やさしい日本語を用いて在留外国人にも情報がしっかりと届くことを目指して作られた。このガイドラインでは,在留支援のためのやさしい日本語の作り方のポイントや利用することができる書き換えツールについて紹介されている。 在留支援のためのやさしい日本語の作り方のポイントとして以下の3ステップを紹介している。 \begin{enumerate} \item 日本人にわかりやすい文章にする \begin{quote} \begin{itemize} \item 情報を整理する 伝えたいことを整理して情報を取捨選択する,不足している情報を補う,イラスト・写真・図や記号を使ってわかりやすくする。 \item 文をわかりやすくする(1) 一文は短くする(一文に言いたいことは1つだけ),3つ以上のことを言うときは箇条書きにする,回りくどい言い方や不要な繰り返しはしない。 \item 外来語に気をつける 外来語はできる限り使わない \end{itemize} \end{quote} \item 外国人にもわかりやすいように直す \begin{quote} \begin{itemize} \item 文をわかりやすくする(2) 二重否定を使わない,受身形や使役表現をできる限り使わない 例文:在留カード以外は必要ありません。 書き換え例:\ruby{在留カード}{ざいりゅうかーど}を \ruby{持}{も}ってきて ください。 \item 言葉に気をつける 難しい言葉を使わない,曖昧な表現はできる限り使わない,文末は「です」「ます」で統一する,重要な言葉はそのまま使い言葉の後に説明を加える。 例:\ruby{余震}{よしん}<=\ruby{後}{あと}から\ruby{来}{く}る\ruby{地震}{じしん}> \item 表記に気をつける 漢字の量に注意してふりがなをつける,時間や年月日の表記はわかりやすくする,読みやすいフォントを使う \end{itemize} \end{quote} \item わかりやすさの確認 \end{enumerate} \subsection{静岡県庁による『「やさしい日本語」の手引き』} \begin{wrapfigure}{r}[0pt]{6cm} \centering \includegraphics[width=6cm]{sizuoka.png} \caption{『「やさしい日本語」の手引き』\cite{sizuoka}} \label{figre:sizuoka} \end{wrapfigure} 静岡県庁による『「やさしい日本語」の手引き』(図 \ref{figre:sizuoka})\cite{sizuoka}では,やさしい日本語の説明,やさしい日本語の作り方,活用事例等が示されており,やさしい日本語を使用することを推奨している。 \section{類似サービス} 位置情報が用いられており,災害種別ごとにマップを切り替えることができるWebハザードマップのサービスをまとめる。 \subsection{国土地理院による「重ねるハザードマップ」} 国土地理院の「重ねるハザードマップ」(図 \ref{figure:kasaneru})\cite{kasaneru}は,災害リスク情報や防災に役立つ情報を全国どこでも重ねて閲覧できるWeb地図サイトである。住所・現在地,地図,災害の種類から災害リスク情報や防災情報を検索することができる。災害種別を追加選択することにより重ねて表示することができ,詳細を確認したい場所をクリックすることでその場所の災害リスク情報が表示される。また,避難場所のアイコンをクリックすると,避難場所名と対応している災害種別が表示される。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=12.5cm]{kasaneru.png} \caption{「重ねるハザードマップ」} \label{figure:kasaneru} \end{figure} \subsection{酒田市による「さかたまっぷ」} 酒田市の「さかたまっぷ」\cite{sakata}は,酒田市の公共施設,教育・文化施設,防災情報等を閲覧することができるWeb地図サイトである。住所,施設,近くにある施設,キーワードから地点検索をすることができる。津波浸水ハザードマップ,避難場所・避難所等目的に合わせて地図を切り替えることができる。また,透過度の調整やルートの検索も行うことができる。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=12.5cm]{sakatamap.png} \caption{「さかたまっぷ」} \label{figure:sakatamap} \end{figure} \section{やさしい日本語を用いたハザードマップの先行事例} やさしい日本語を用いたハザードマップの先行事例についてまとめる。 \subsection{福井県福井市による『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』} 福井県福井市による『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』(図 \ref{figure:hukuishi})\cite{hukuishi}では,地名や災害種別にふりがなが振られており,やさしい日本語を用いた防災情報も掲載している。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{hukuishi.pdf} \caption{『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』\cite{hukuishi}} \label{figure:hukuishi} \end{figure} \subsection{山形県東根市による『「やさしい日本語版(にほんごばん) 洪水(こうずい)ハザードマップ(はざーどまっぷ)」』} 山形県東根市による『「やさしい日本語版(にほんごばん) 洪水(こうずい)ハザードマップ(はざーどまっぷ)」』(図 \ref{figure:higashine1},図 \ref{figure:higashine2})\cite{higashine}では,災害種別等にふりがなが振られており,注意報や指定避難所等防災用語をやさしい日本語を用いて説明している。また,避難時の持ち物や災害のための備蓄のチェックシート,災害情報を取得するための他のサービス等の情報も掲載している。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{higashine1.pdf} \caption{『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』\cite{higashine}} \label{figure:higashine1} \end{figure} \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{higashine2.pdf} \caption{『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』\cite{higashine}} \label{figure:higashine2} \end{figure} \chapter{システム提案} \section{課題点} \subsection{先行事例を踏まえての課題} 先行事例と類似サービスにおいて,やさしい日本語を用いたハザードマップ,位置情報を利用した災害種別ごとに切り替えられるWebハザードマップは存在するが,双方の要素が組み合わせられている,在住外国人等向けのやさしい日本語を用いたWebハザードマップが存在しないことが課題として挙げられる。 \subsection{酒田市役所への取材を踏まえての課題} 酒田市役所地域共生課への取材において,在住外国人が紙媒体のハザードマップを使用することの問題として以下のことがわかった。 \begin{quote} \begin{itemize} \item 地図から今の場所がわからない \item 自分の住所はわかるが,地図に書いてある住所は読めない \item スマートフォンであれば使用可能 \end{itemize} \end{quote} この取材より,在住外国人にとって紙媒体の地図は使いにくく,地図に書いてある住所等が読めないことが課題として挙げられる。 \section{課題の解決案} 漢字へのふりがなや簡単な日本語での説明を加えることによりやさしい日本語を用い,災害種別ごとの切り替えや位置情報を用いた周囲の災害情報の確認,地点検索を可能とするWebハザードマップを作成する。 このシステムのメリットとして,位置情報や地点検索により周囲の災害情報を容易に確認することができること,やさしい日本語を用いることにより従来のやさしい日本語が用いられていないハザードマップでは十分に情報を受け取ることができなかった人も利用しやすくなることを挙げる。 \chapter{システム設計} \section{システムの流れ} 本システムの大まかな流れについては図 \ref{figure:nagare}の通りである。 やさしい日本語が用いられていない紙・pdf媒体のハザードマップに対し,漢字や片仮名へのふりがな,やさしい日本語による語句の説明等を加えたWebハザードマップを作成することにより,従来のハザードマップよりも多くの人が利用することができる。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{nagare.jpg} \caption{システムの流れ} \label{figure:nagare} \end{figure} \section{使用する技術と要素} 使用するプログラミング言語,ライブラリとバージョンを記載する。 \subsection{HTML} HTML\cite{html}は,HyperText Markup Languageの略であり,Webページ内の大元の構造や基本的な情報を構成する役割を持つマークアップ言語である。バージョンをHTML Living Standardとする。ハザードマップを載せるWebページ作成のために用いる。 \subsection{CSS} CSS\cite{css}は,Cascading Style Sheetsの略であり,Webサイトのサイズや色,レイアウトなどを設定するための言語である。バージョンをCSS3とする。ハザードマップを載せるWebページのデザインをするために用いる。 \subsection{JavaScript} JavaScript\cite{javascript}は,動的なWebページを作成する事のできるプログラミング言語である。バージョンをECMAScript 2023とし,ハザードマップの作成のために用いる。 \subsection{Leaflet} Leaflet\cite{leaflet}は,Web地図作成のためのJavaScriptオープンソースライブラリである。バージョンをLeaflet 1.9.4とし,ハザードマップの作成のために用いる。 Leafletを用いて国土交通省国土地理院が提供している標準地図\cite{hyoujyunchizu}を表示するコードの例は以下の通りである。sample.htmlにsample.cssとsample.jsをロードし,idを指定したdivを用意することで地図を表示することができる。 \begin{itembox}[l]{sample.html} \footnotesize \begin{verbatim} <!DOCTYPE html> <html lang="ja"> <head> <meta charset="utf-8"> <title>コード例</title> <link href="sample.css" rel="stylesheet"> <!-- Leaflet --> <link rel="stylesheet" href="https://unpkg.com/leaflet@1.9.4/dist/leaflet.css" integrity="sha256-p4NxAoJBhIIN+hmNHrzRCf9tD/miZyoHS5obTRR9BMY=" crossorigin="" /> <script src="https://unpkg.com/leaflet@1.9.4/dist/leaflet.js" integrity="sha256-20nQCchB9co0qIjJZRGuk2/Z9VM+kNiyxNV1lvTlZBo=" crossorigin=""></script> </head> <body> <div id="map"></div> <script src="sample.js"></script> </body> </html> \end{verbatim} \end{itembox} \begin{itembox}[l]{sample.js} \footnotesize \begin{verbatim} let lat = 38.893287205438; //緯度 let lng = 139.81894002325; // 経度 let zoom = 15; // ズームレベル var map = L.map("map"); map.setView([lat, lng], zoom); // 緯度経度、ズームレベルを設定する // タイルレイヤを生成し、地図に追加する // 国土地理院の標準地図を表示する var tizu = new L.tileLayer('https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/{z}/{x}/{y}.png', { attribution: '© <a href="https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html#std"> 国土地理院</a> contributors' }).addTo(map); \end{verbatim} \end{itembox} \begin{itembox}[l]{sample.css} \footnotesize \begin{verbatim} * {margin:0; padding:0;} html, body{height: 100%;} #map{height: 100%;} \end{verbatim} \end{itembox} \section{システム概要} 課題点を踏まえて本システムを設計する。本システムの主な機能は,災害種別ごとに切り替えてハザードマップを表示し,位置情報を用いて現在地の周囲の防災情報を確認できることである。地点検索も可能である。また,防災情報や防災用語の解説等はやさしい日本語で表記する。災害種別として,現在は洪水浸水想定区域,浸水継続時間,高潮浸水想定区域,津波浸水想定,土砂災害警戒区域(土石流),土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊),土砂災害警戒区域(地すべり)の7つから選んで表示することができる。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=6cm]{gaiyou.pdf} \caption{システム概要} \label{figure:gaiyou} \end{figure} \section{マップの設計} 背景地図として国土交通省国土地理院が提供している標準地図\cite{hyoujyunchizu}を用い,同じく国土交通省が提供している洪水浸水想定区域,浸水継続時間,高潮浸水想定区域,津波浸水想定,土砂災害警戒区域(土石流),土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊),土砂災害警戒区域(地すべり)の7つのデータ\cite{data}(表 \ref{table:layer})を取り込んで背景地図にレイヤとして重ねて表示できるようにする(図 \ref{figure:image2})。 国土交通省国土地理院のウェブサイトで公開されている情報のうち測量成果等に該当しないコンテンツは誰でも以下の1)から7)に従い,複製,公衆送信,翻訳・変形等の翻案等,自由に利用でき,商用利用も可能である。また,測量成果等に該当しないコンテンツのうち数値データ,簡単な表・グラフ等は著作権の対象ではないため,利用ルールの適用はなく,自由に利用することができる\cite{riyoukiyaku}。 \begin{description} \item[1)出典の記載] \item[2)第三者の権利を侵害しないようにしてください] \item[3)個別法令による利用の制約があるコンテンツについて] \item[4)本利用ルールが適用されないコンテンツについて] \item[5)準拠法と合意管轄について] \item[6)免責について] \item[7)その他] \end{description} \begin{itembox}[l]{main.js} \footnotesize \begin{verbatim} let lat = 38.893287205438; //緯度 let lng = 139.81894002325; // 経度 let zoom = 15; // ズームレベル var map = L.map("map"); map.setView([lat, lng], zoom); // 緯度経度、ズームレベルを設定する // タイルレイヤを生成し、地図に追加する // 国土地理院の標準地図を表示する var tizu = new L.tileLayer('https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/{z}/{x}/{y}.png', { attribution: '© <a href="https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html#std" target='_blank'> 国土地理院</a> contributors' }).addTo(map); var Overlay_Map = []; Overlay_Map[1] = L.tileLayer('https://disaportaldata.gsi.go.jp/raster/01_flood_l2_shinsuishin_data/ {z}/{x}/{y}.png', {opacity: 0.5, maxNativeZoom: 17, attribution: '国土地理院:洪水浸水想定区域(想定最大規模)'}); (省略) var overlay = { 'ハザードマップ 洪水浸水想定区域': Overlay_Map[1], 'ハザードマップ 浸水継続時間': Overlay_Map[2], 'ハザードマップ 高潮浸水想定区域': Overlay_Map[3], 'ハザードマップ 津波浸水想定': Overlay_Map[4], 'ハザードマップ 土石流': Overlay_Map[5], 'ハザードマップ 急傾斜地の崩壊': Overlay_Map[6], 'ハザードマップ 地すべり': Overlay_Map[7] }; L.control.layers(overlay).addTo(map); \end{verbatim} \end{itembox} \begin{table}[hbtp] \caption{レイヤの詳細} \label{table:layer} \begin{tabular}{|c|p{10cm}|p{10cm}|}\hline 洪水浸水想定区域&想定し得る最大規模の降水により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域[15] \\ \hline 浸水継続時間&想定最大規模降雨における洪水時等に避難が困難となる一定の浸水深(50cm)を上回る時間の目安として示すものであり、長時間(おおむね24時間以上)にわたり浸水するおそれのある場合に示す時間[16] \\ \hline 高潮浸水想定区域&想定最大規模の高潮を前提として、現況の海岸の整備状況に照らし て浸水が想定される区域[17] \\ \hline 津波浸水想定&最大クラスの津波があった場合に想定される浸水の区域・水深[18] \\ \hline 土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)&傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域,急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域,急傾斜地の下端から急傾斜地高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域[19] \\ \hline 土砂災害警戒区域(土石流)&土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域[19] \\ \hline 土砂災害警戒区域(地すべり)&地滑り区域(地滑りしている区域または地滑りするおそれのある区域),地滑り区域下端から、地滑り地塊の長さに相当する距離(250mを超える場合は、250m)の範囲内の区域[19] \\ \hline \end{tabular} \end{table} 片仮名や漢字が用いられている部分には,マウスオーバー時にやさしい日本語での説明が出るようにしている(図 \ref{figure:image4})。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{hazardmap2.png} \caption{やさしい日本語を用いた説明} \label{figure:image4} \end{figure} また,ハザードマップからやさしい日本語を用いた防災マニュアルである『防災の本』(図\ref{figure:image5})や国土交通省観光庁が監修する訪日外国人向けの災害時情報アプリである「safety tips」\cite{safetytips}のWebサイトへアクセスできるようになっている(図 \ref{figure:safety})。 \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[height=14cm]{hazardmanual2.png} \caption{やさしい日本語を用いた防災マニュアル} \label{figure:image5} \end{figure} \begin{figure}[htb] \centering \includegraphics[width=14cm]{safety.png} \caption{「safety tips」ウェブサイト\cite{safetytips}} \label{figure:safety} \end{figure} \chapter{実験} \section{評価の方法} 本研究の評価方法として,酒田市役所へのシステムの提案を行う。 \chapter{結論} \section{システムの現状と課題点} システムの現状としては,位置情報の利用,地点検索,災害種別ごとのレイヤの切り替え,ズームレベルの変更,マウスオーバー時のポップアップで解説を出す機能を作ることができた。課題点として,スマートフォンへの対応が不十分であること,入力フォームなど実装できていない機能があることが挙げられる。 \section{今後の展望} 今後の展望として,住民が地域の防災情報を入力できる入力フォームの実装すること,入力フォームにより情報を収集し,坂道・段差・道の細さなどの災害時に避難するときに役立つ,地域に即した詳しい情報を見ることができる機能を加えることを考えている。また,やさしい日本語を用いて文字数が多くなっても見やすいように情報を簡略化すること,スマートフォンへの対応,ハザードマップへ誘導するためのシチュエーションに応じた前置きの作成により,システムの改良を行っていく。 \begin{thebibliography}{} \bibitem{gaikokujinsu} 出入国在留管理庁. ``令和4年末現在における在留外国人数について''. 出入国在留管理庁.2023.\url{https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00033.html}, (参照 2023-05-30). \bibitem{easy} NHK. ``NEWS WEB EASY やさしい日本語で書いたニュース''. 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