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2022-Rino / resume / c120028-2023-R.tex
@ItoRino ItoRino on 12 Jan 2024 14 KB レジュメ
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%% タイトル %%
\title{ゲーミフィケーション要素を用いたプログラミング教材の提案}

%% 著者 %%
\author{広瀬研究室\\c120028 伊藤理乃}

%% 日付 %%
\date{2024年1月12日}
\usepackage{url}
\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
\usepackage{ascmac}
\begin{document}
\twocolumn[
\maketitle
\begin{center}
 {\bfseries 研究概要}
\end{center}
%% 概要 %%
プログラミング言語を学習し,理解する際には講師が行う講義だけではなく,講義時間外に学生が自主的に行う自学習が必要である。しかし,問題点としてプログラミング言語の自学習を行う上で学習意欲の維持・向上が難しいという点が挙げられる。そこで本研究では,継続的なプログラミング学習を行うことを目的としたゲーミフィケーション要素を取り入れたプログラミング教材の提案を行う。
\vspace*{2em}
]

\thispagestyle{empty}

%% 本文 %%
\section{背景}
プログラミング言語は講義から文法的要素やコンピューターにさせる処理を学ぶことによる論理的な学習だけでなく,学習者が実際にコードを記述することでプログラミング的思考が身につき,コードの書き方が身についていく。プログラミング的思考は演習の中でトライ\&エラーに取り組み,感覚的にコードが書けるようになることで身につくが,数時間という講義内での学習のみではプログラミング的思考を理解するには難しく,講義時間外の自学習による反復学習が必要である。しかし講義時間外の自学習において,プログラミングを勉強し始めたばかりの学習者やプログラミングに苦手意識を持っている学習者はエラーやバグの解決に時間を取られてしまい,学習意欲が減少してしまう。エラーやバグの解決に時間を取られない手法としてScratch\footnote{非営利団体Scratch財団によって設計,開発,維持されているシンプルなビジュアルインターフェースを持った子供向けコーディング言語。}\cite{scratch}などを用いた感覚的学習も推進されているが,プログラミング言語の文法にあまり触れることがない。学習始めたばかりの学習者や学習に苦手意識を持っている学習者の自学習による反復学習を向上させる手法としてゲーミフィケーションが挙げられる。ゲーミフィケーションとは,ゲーミングを行うことを目的としていないシステムなどに「レベルアップ」や「スコア競争」などのゲームの要素を取り入れることでモチベーションの維持や向上を図ることが期待できるものである。

\section{研究目的}
本研究ではプログラム学習者の自学習のモチベーションの維持・向上を推進し,トライ\&エラーを繰り返しながらプログラミング的思考を理解するための,ゲーミフィケーション要素を用いたクイズ形式学習機能・コード記入型学習機能から構成されるプログラミング教材の構築を目的とする。
	
\section{関連研究}
ゲーミフィケーションを利用した研究は今までも数多く行われている。中でもゲーミフィケーションを学習者のモチベーション維持・向上に応用した先行研究として以下の二つの研究が挙げられる。
\subsection{ゲーミフィケーション要素を取り入れた小学生の学習効果}
福山佑樹らの研究では,ゲーミフィケーション教材を小学校に数週間導入した際の学習効果を検討することで,実際に導入してどのような影響を教材が与えたと認識したのかを検討することを目的とし,ゲーミフィケーション教材「アプリゼミ」\footnote{DeNa社が小学1年生用に開発した算数・国語・英語を学習できるタブレット端末上で動作するアプリケーション。}を小学校において導入する実践を行った。使用するアプリのゲーミフィケーション要素の確認として,Dichevaら\cite{daicheva}の教育研究における先行研究をもとに「アプリゼミ」のゲーミフィケーション教材としての妥当性を判断した。ゲーミフィケーション教材の実践を2つの小学校において2週間の実践を行った結果,計算分野に関して30\%以上点数が向上するなど大きな成果が見られた。ゲーム要素によって児童がドリル形式の学習を楽しんで行う事ができたことに由来する事が示唆された\cite{game1}。

\subsection{ゲーミフィケーション要素を活用したウォーキング支援}
藤田美幸らの研究では,ドコモ・ヘルスケアがリリースしたウォーキングを支援することで健康維持・増進を目的とした歩数計アプリケーション「歩いておトク」を利用し,ゲーミフィケーションによる外敵動機付けについて自己決定性の高低の種別により分析し考察した。 分析では,同時に幾つかの動機付けを持つことを実証する理論的フレームワークとして自己決定理論(Deci\&Ryan, 1985)を利用し,自己決定性の高低の種類として1,外発的動機づけの発動 2,外敵調整 3,取入的調整 4,統合的調整 6,内発的動機づけの観点から分析を行った。分析の結果,ゲーミフィケーション要素は,ユーザーの動機づけを目的とした行動変容を促すシステムに必要な動機づけのマネジメントの方向性を示してくれ,エンゲージメントを高め行動変容を促すものとした\cite{game2}。

\subsection{関連研究での課題点}
3.2の関連研究より,ゲーミフィケーションは「ゲーム要素」を取り入れることで感情的エンゲージメント\footnote{興味,退屈,不安,楽しさといった学習者の感情的反応に関する概念。ここでは怒りや悲しみではなく感動,喜び,楽しさを表す。}\cite{engagement}に訴えかけることで,人々の動機づけとエンゲージメントを高め行動変容を促すものであることが報告された。しかし,人間の動機づけは多種多様でありゲーミフィケーションを利用する際には,ユーザの動機づけや行動特性について十分に理解し,目的ごとにフィットするものをデザインする必要があることが課題点として挙げられた。
    
\section{システム提案}
本研究では3節で挙げたゲーミフィケーション要素を用いた関連研究を元に,課題点の解決を図る本研究のシステム内容を定義する。
\subsection{ゲーミフィケーション要素}
関連研究3.1の福山佑樹らの研究\cite{game1}で用いられているゲーミフィケーション要素を表1に示した。

        \begin{table}[htbp]
\centering
\caption{ゲーミフィケーション要素一覧}
\includegraphics[width=8.5cm]{game-glaf.pdf}
\end{table}

\subsection{使用する要素と手法の提案}
本研究で利用するゲーミフィケーション手法とゲーミフィケーション要素の比較を表2に示す。
        \begin{table}[htbp]
\centering
\caption{手法と要素の比較一覧}
\includegraphics[width=8cm]{game-glaf2.png}
\end{table}   
 
   \subsection{提案}
本研究で作成するシステムは,学習者がWebサイト上でクイズ形式学習機能とコード記入型学習機能を利用しプログラミングの自学習を行うものとする。クイズ形式学習機能では,プログラミング言語の基礎をWebサイト上でクイズ形式で学習することができる。コード記入型学習機能では,学習者がWebサイト上でプログラムのコードを書いて問題を解くことが可能である(図2)。
\\
\begin{figure}[hbtp]
\centering
\includegraphics[width=8cm]{all-gaiyou.png}
\caption{システム全体概要図}
\end{figure}


  \section{システム設計}
本システムは,Webアプリケーション上で動かす。Webアプリケーション上にはクイズ形式学習機能の画面とコード記入型学習機能ごとに画面を用意する。2つの機能では得点を集計して達成度に反映させる。Webアプリケーション作成ではRuby on Railsを利用して機能を増やしていく。データの保存では、sqlite3を利用する。使用する技術は以下の通りである。
    \begin{itemize}
        \item サーバーサイド
            \begin{itemize}
        		\item Ruby(version 3.1.2)
   		 \end{itemize}
    \end{itemize}
    \begin{itemize}
        \item  クライアントサイド
            \begin{itemize}
        \item  HTML(HyperText Markup Language)
        \item CSS3
    \end{itemize}
            \item  フレームワーク
            \begin{itemize}
        \item  Ruby on Rails(version 7.0.3)
    \end{itemize}
		  \item データベース
		  \begin{itemize}
        		\item sqlite3 - 3.38.2
   		 \end{itemize}
            \end{itemize}
    
 \section{実験・検証}
 本研究では,実験と検証の二つを行った。実験では,大学生10名に本システムプログラミング問題とゲーミフィケーション要素のないプログラミング問題を二つのグループに交互に使用してもらい,アンケート記入にしてもらった。検証では,本システムで使用したゲーミフィケーション要素を安政駿らの研究\cite{kikann}で使用されているゲーミフィケーション要素を応用する際に目標とする即時的・短期的・中期的・長期的の 4 つ期間の分類に分けた。その中で即時的・短期的の二つの分類に当てはまるゲーミフィケーション要素をを一つづつ組み合わせたシステムを大学生9名に順番に使用してもらう(表3)。
       \begin{table}[htbp]
  \caption{要素と期間の対応表}
  \label{table:kikan2}
  \centering
    \begin{tabular}{|l||c|r|c|}  \hline
    適応期間& ゲーミフィケーション要素 \\ \hline \hline
    \textbf{即時的} & \textbf{即時フィードバック・失敗の自由}\\ \hline
    \textbf{短期的} &\textbf{可視化されたステータス・選択の自由}\\ \hline
      \end{tabular}
\end{table}
 
  \subsection{実験・検証結果}
  実験ではカイ二乗検定を使用して,帰無仮説を「システム問題と紙問題の 違いはやる気が出る・出ないに関係する」として対立仮説を「システム問題と紙問題の違いはやる気 が出る・出ないに関係しない」として有意水準は 5\%と設定した。結果としてクイズ問題はp 値(=0.05096)が有意水準(=0.05)を上回っているため帰無仮説は棄却されず,コード問題は p 値(=0.001032)が有意水準(=0.05)を下回っているため帰無仮説は棄却されたため,本実験ではシステム内のクイズ形式学習機能は「やる気の出る・出ない」に有意な影響を及ぼすとは言えないが, コード記入型学習機能は「やる気の出る・出ない」に関係するため本システムはモチベーションの維 持・向上の効果に有意性が認められた。検証では「1 タスク内の作業回数」と「作業時間」の二つの指標を作り,作業中に時間を表示すること・ステータスを表示することによって作業時間 に変化が起きると言うことがわかった。
        \begin{table}[htb]
\centering
  \caption{ゲーミフィケーション要素ごとの評価結果}
  \begin{tabular}{|l||c|r|c|}  \hline
    & 作業時間(分) & 継続回数(回) \\ \hline \hline
    継続時間の表示 & 3.9 & 3.44 \\ \hline
    失敗の自由 & 2.9 & 4.33 \\ \hline
    ステータスの表示 & 3.68 & 4 \\ \hline
    選択の自由 & 3 & 4.22 \\ \hline
  \end{tabular}
\end{table}
    
 
 \section{評価}
	本研究で開発したシステムではシステムに掲載したコード記入型学習機能と クイズ形式学習機能の二つにはプログラミング学習のモチベーションの維持・向上に違いが生まれた。コード記入型学習機能はゲーミフィケーション要素がないプログラミング問題学習よりも大きく効果が出たが, クイズ形式学習機能は違いがあまりないと言う結果だった。しかし, コードコード記入型学習機能はモチベーションの維持・向上を図ることに適しているため本システム全体の評価としては「プログラム学習者のプログラミング学習のモチベーションの維持・向上を推進していける」を達成するに値すると評価する。
\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{scratch} MIT. “SCRATCH”. \url{https://scratch.mit.edu/}, (参照 2022-11-20).
\bibitem{daicheva}
\newblock {\em Dariana Dicheva, Christo Dichev,\\Gennady Agre\& Galia Angelova.}
\newblock {\em “Gamification in Education:A Systematic Mapping Study”.}\url{https://www.researchgate.net/publication/270273830_Gamification_in_Education_A_Systematic_Mapping_Study}, (参照 2022-11-15) .
\bibitem{game1} 福山佑樹, 床鍋佳枝, 森田祐介. “ゲーミフィケーション要素を取り入れた小学校1年生向け電子教材の実践と評価”. デジタルゲーム学研究, 2017, No.9, p.31-40, \url{https://doi.org/10.9762/digraj.9.2_31}.
\bibitem{game2}藤田美幸, 塚本麻紀.“ゲーミフィケーションを活用したモバイル・ヘルスケアサービス:ドコモ・ヘルスケア「歩いておトク」を事例として”. 日本情報経営学会誌, 2018, No.3, p.74-82, \url{https://doi.org/10.20627/jsim.38.3_74}.
\bibitem{engagement}梅本貴豊, 伊藤崇達, 田中健史朗. “調整方略,感情的および行動的エンゲージメント,学業成果の関連”. 心理学研究, 2016, No.87, p.334-342, \url{https://doi.org/10.4992/jjpsy.87.15020}.
\bibitem{websocket}鈴木啓真, 兼子正勝. “WebSocketを用いたリアルタイムなWebデスクトップ共有”. 情報処理学会第77回全国大会講演論文集, 2015, No.1, p.153-154, \url{http://id.nii.ac.jp/1001/00165177/}.
\bibitem{kikann}安政駿, 手塚太郎. “ゲーミフィケーションにおける構成要素の有用性の検証”. プロジェクトマネジメント学会誌, 2001, No.3, p.33-39, \url{https://doi.org/10.14914/spmj.3.3_33}.
\end{thebibliography}

\end{document}