%#!platex -kanji=%k %#DVIPDF dvipdfmx -f ipa.map \documentclass{jsbook} %\pagestyle{empty} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} \usepackage[dvipdfmx]{color} %\usepackage{listings, jlisting} %\usepackage[sectionbib]{chapterbib} \usepackage{ascmac} \usepackage{amsmath} \usepackage{siunitx} \usepackage{geometry} \usepackage{url} % 文中にURLを書くときは \url{} で括る \geometry{textwidth=160mm, textheight=225mm} \renewcommand{\bibname}{参考文献} \title{人間が健康的生活を送るために必要となる栄養素と\\食生活上での学習ゲームの設計と開発} \author{廣瀬研究室\\C1182300 結城拓海} \date {令和4年度} \begin{document} \maketitle \begin{center} {\bfseries 概要} \end{center} %% 概要 %% 人間が健康的日常を過ごすためには,普段の生活の中で意識的な行動をする必要がある。 意識的に行動することで日常生活の質の向上が見込まれ,生活習慣病の改善・予防となる。 しかし,健康的生活を行う上で,食事では「どんな栄養素」を「どの程度取ればよいか」という知識が足りないのではないかと考えた。 本研究では,厚生労働省や農林水産省のデータを用いて,栄養素がどの程度取れているのかという現状を理解し,先行研究の社会的課題やどのような課題があるのかの理解を深める。 その後,炭水化物,タンパク質,脂質の三大栄養素を用いて,健康的生活を送るためには,どの程度必要なのかという意識や,食事において「必要とされる栄養素」や「その必要な摂取量」を考えるゲームの設計及び開発を行う。ゲームを利用する理由として,ゲーミフィケーションを利用して,モチベーションの向上を図る。 1章では,背景や目的を述べ,2,3章では全国の統計データや先行研究の例を紹介し,4,5章で開発するシステムの提案,6章にてまとめを述べる。(440文字) %\newpage % \tableofcontents \chapter{背景} 我々人間が健康的な日常生活を送るためには,7つの生活習慣\footnote{7つの生活習慣とは,朝食・睡眠・喫煙・間食・飲酒・運動・体重のコントロールである\cite{seikatu}。}が必要とされている。これを生活習慣の指標として,個人のライフスタイルにおける食生活等の改善を行ないQOL(生活の質)の向上を目指す取り組みがある。 この個人のライフスタイルにおける食生活の改善に着目した。これを行うためには食生活で必要とされる栄養素についての正しい知識をつけ,各個人が認識して生活する必要があるのではないかと考えた。この学習に,ゲーミフィケーションを取り入れることで,学習に対する意欲の向上が望めると考えた。 食生活において「どんな栄養素」を「どの程度取ればよいか」学べるゲームを開発し,プレイヤーに対して食生活への意識的な改善を目標とする。 \chapter{全国の調査データ} 厚生労働省の2020年度の日本人の食事摂取基準\cite{eiyou}によると,18歳から29歳の必要とされる三大栄養素は,表\ref{table:eiyouso}のようになっている。 \begin{table}[h] \caption{18歳から29歳の必要とされる三大栄養素} \label{table:eiyouso} \centering \begin{tabular}{lccl} \hline & 男性 & 女性 \\ \hline \hline 推定エネルギー量(kcal) & 2,650 & 2,000 \\ \hline 炭水化物(%エネルギー) & 50〜65 & 50〜65 \\ タンパク質(g) & 65 & 50 \\ 脂質(%エネルギー) & 20〜30 & 20〜30 \\ \hline \end{tabular} \end{table} 男性と女性で必要なエネルギー等の量が別となっている。 また,炭水化物と脂質は推定エネルギー量の何%を占めているか記載されており,炭水化物と脂質は男女ともに必要な割合は同数となっている。 また,農林水産省の食事バランスガイド\cite{gohan}によると,主食は5〜7つ,副菜は5〜6つ,主菜は3〜5つ,牛乳等の乳製品と果物は2つとされている(図\ref{shokuji})。 \begin{figure}[htbp] \label{shokuji} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{shokuji.pdf} \caption{図1:食事バランスガイド} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} \newpage これらを踏まえた上で,令和元年度の20歳〜29歳の栄養素摂取状況の調査結果\cite{eiyouso}を見てみると,表\ref{table:dansei},表\ref{table:josei},表\ref{table:sousuu}の結果がでた。 \begin{table}[h] \caption{栄養素摂取状況の調査結果(男性:183名)} \label{table:dansei} \centering \begin{tabular}{lrrr} \hline & 平均値 & 標準偏差 & 中央値 \\ \hline \hline エネルギー(kcal) & 2,199 & 710 & 2,153 \\ \hline 炭水化物(g) & 286.1 & 97.4 &274.0 \\ エネルギー比率(%) & 55.8 & 8.1 & 56.6 \\ \hline タンパク質(g) & 80.1 & 30.0 & 75.5 \\ \hline 脂質(g) & 72.9 & 32.0 & 71.1 \\ エネルギー比率(%) & 29.5 & 7.1 & 28.7 \\ \hline \end{tabular} \end{table} \begin{table}[h] \caption{栄養素摂取状況の調査結果(女性:182名)} \label{table:josei} \centering \begin{tabular}{lrrr} \hline & 平均値 & 標準偏差 & 中央値 \\ \hline \hline エネルギー(kcal) & 1,600 & 445 & 1,567 \\ \hline 炭水化物(g) & 202.1 & 63.7 & 198.8 \\ エネルギー比率(%) & 53.6 & 8.9 & 54.2 \\ \hline タンパク質(g) & 61.1 & 18.4 & 60.6 \\ \hline 脂質(g) & 55.5 & 21.9 & 53.7 \\ エネルギー比率(%) & 30.9 & 8.2 & 29.9 \\ \hline \end{tabular} \end{table} \begin{table}[h] \caption{栄養素摂取状況の調査結果(総数:365名)} \label{table:sousuu} \centering \begin{tabular}{lrrr} \hline & 平均値 & 標準偏差 & 中央値 \\ \hline \hline エネルギー(kcal) & 1,900 & 664 & 1,798 \\ \hline 炭水化物(g) & 244.2 & 92.4 & 236.5 \\ エネルギー比率(%) & 54.7 & 8.6 & 55.5 \\ \hline タンパク質(g) & 70.6 & 26.6 & 67.0 \\ \hline 脂質(g) & 64.2 & 28.7 & 61.9 \\ エネルギー比率(%) & 30.2 & 7.7 & 29.5 \\ \hline \end{tabular} \end{table} これらのデータを見てみると,大前提として,一日に必要なエネルギーが不足している。 また,1日に必要な炭水化物のエネルギー比率は足りているが,摂取量は,必要な量を摂取していない。更にタンパク質は必要以上に摂取している状態となっている。 しかし,男女ともに脂質の摂取量の平均値は必要な量に達している。 全体的に比率としては足りているが,特定の場所が足りていない状態となっている。 \section{5大栄養素について} 今回の研究にてビタミンや無機質を入れた5大栄養素があるが,今回は考えないものとする。 理由としては,ビタミンや無機質は,ただ一口にビタミンと言ってもその種類は13種類と多いからである。また,無機質はミネラルとも呼ばれ,体を構成している4つの元素のことを指しており,13種類と多いため,記述はしないものとする。 \chapter{先行研究について} ここでは食事に関するゲームや,栄養の取り方について行っている先行研究について記述する。 \section{慶應義塾大学での研究例} 栄元らの研究では,生活習慣病の予防のために食生活の改善するアプリケーション「HealtyStadium」を開発をした\cite{tasha}。 \subsection{HealtyStadiumとは} このアプリケーションは,ユーザが自身のスマートフォンで撮影した食事の写真を投稿する。その後,システムが自動で決定した他のユーザ(対戦相手)の投稿した食事の写真と比べる。そして,第三者がどちらが健康な食事を取っているかを比較して投票によって比べる。投票がすべて完了したら,自分の画像に対する得票数と同等の点数を獲得する。この点数は可視化され,ユーザ間で共有される。 また,投稿した写真は友人であるユーザと共有できる。しかし,友人ではない第三者からの確認は取れず,個人情報が保護される(図\ref{healthy})。 \begin{figure}[htbp] \label{healthy} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{keiou.drawio.pdf} \caption{HealthyStadium概念図} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} \section{琉球大学教育学部附属教育実践総合センターの例} 森山の研究では,海洋基本法の第28条の学校教育及び社会教育における「海洋に関する教育」を,学校給食で扱われるメニューや食材を使って, 子供達が「食育」と「海洋」を学ぶことが出来る情報教材,「Q-食マスター」を開発した\cite{kyuusyoku}。 \subsection{「Q-食マスター」とは} 小学生低学年を中心としたターゲットのクイズゲームとなっている。内容は, 小学校給食で扱うメニューの中で海の食材に関するクイズが4つのカテゴリに分けられて提示される。 カテゴリには各5問ずつのクイズが用意されており,全て3択形式で給食献立にある料理から海産物に関する問題が表示される。 不正解の場合はもう一度その問題まで戻り,正解するまで答えられる。これを5問繰り返す。5問終了したら次のカテゴリへと移動し, すべてのカテゴリを終えたらゲーム終了となる(図\ref{qshoku})。 \begin{figure}[htbp] \label{qshoku} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{qshoku.drawio-2.pdf} \caption{Q-食マスター概念図} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} \section{先行研究の課題解決について} 先行研究では,第三者の必要性やピンポイントな部分へのアプローチがあったため,本研究では栄養素についてという広げた部分を題材としたシステムで課題解決をする。 \chapter{システム提案} 本章では必要となる栄養素の種類や,必要となる量を学習するシステムについて提案し,その提案について詳しく述べる。 \section{使用する技術や開発環境について} ここでは,本システムで使用する技術等についてまとめる。 \subsection{CGI} CGIはクライアント側のWebブラウザによる要求に対して,サーバが外部プログラムを使った実行結果をHTTPを通してクライアントのWebブラウザに戻す時に使われる仕組みのことである。 これを利用することで,Webページの内容を動的に変化させることができる。 \section{システム概要について} 特定の場所が不足している状態を解決するためには,必要な栄養素や一日に取るべき量の理解度を深めることが大切なのではないかと考えた。 そこで,理解度を深めるために,どのような栄養素が,どれくらい必要なのかを学べるゲームシステムの開発を行う。 \section{ゲーミフィケーションについて} ゲーミフィケーションとは,ゲームを本来の目的としないサービス等にゲーム要素を応用することで,利用者の意欲の向上を図ること。 ゲーミフィケーションを取り入れることで,学びやすくなるのではないかと考えた。 \section{ゲーミフィケーションのメリットとデメリット} 「ゲーミフィケーション」はゲームのように勝つための事前練習やハイスコアの更新のための反復練習の姿勢を学習に引き出すことができると考えた。 しかし,ゲーミフィケーションを利用する年齢層の判断や学習する人のモチベーションの考慮が重要となる。 もともと勉強がしたいというモチベーションが高い人には,ゲームを取り入れる必要がなく,逆に勉強の妨げとなる可能性が高くなるからである。 \chapter{考案したシステムの概要} ここでは本システムの内容について細かく述べる。 \section{システムの流れ} 本システムの流れは以下のように行う(図\ref{sisutemu})。 \begin{enumerate} \item タイトルページからSTARTを選択し,問題ページに移る。 \item 問題ページにて解答を選択し,解答ボタンを押す。 \item 解答が正解かどうかを判別し,結果に応じて処理を行う。 \end{enumerate} \begin{figure}[htbp] \label{sisutemu} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{eiyouso.drawio.pdf} \caption{概念図} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} それぞれの要素ごとについて説明していく。 \begin{enumerate} \item タイトルページ 最初にタイトルページにて,STARTをクリックし,問題のページへ移る(\ref{taitoru})。 \begin{figure}[htbp] \label{taitoru} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{taitoru.pdf} \caption{:タイトルページ} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} \item 問題ページ 問題ページでは,問題を全5問出題する。 出題する問題は,最初は簡単な問題を出題し,後になるほど難易度が上がる問題となっている。 4つの選択肢の中から選び,解答ボタンをクリックすることで判定を行う(図\ref{mondai})。 \begin{figure}[htbp] \label{mondai} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{mondai.pdf} \caption{:問題ページ} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} ここでの判定は,CGIによって行われる。 \begin{itembox}[l]{使われているCGIの内容について} {\scriptsize \begin{verbatim} qn = cgi["qn"] if qn === "tr" print "正解!!\n" print "<a href=\"次の問題ページのURL\">次の問題へ</a>" elsif qn === "fa" print "不正解…\n" print "<a href=\"正解できなかった問題ページのURL\">問題に戻る。</a>" end \end{verbatim}} \end{itembox} \newpage \item 正解の場合 正解の場合,図\ref{seikai}のページに飛び,次の問題へのリンクが貼られる。 全問正解した場合,更に図\ref{zenmon}のように表示され,タイトルへと戻るリンクが貼られる。 \begin{figure}[htbp] \label{seikai} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{seikai.pdf} \caption{:正解ページ} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} \begin{figure}[htbp] \label{zenmon} %\begin{tabular}{cc} %\begin{minipage}[c]{l\hsize} \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=150mm]{zenmon.pdf} \caption{:全問正解した場合} %\end{minipage} %\end{tabular} \end{figure} \end{enumerate} \chapter{まとめ} 本章では,本システムの結果と今後の展望について述べる。 \section{結論} 作成した栄養素学習システムは,難易度別の問題をおさえることができる。しかし,全5問となっているため,問題の難易度の差が激しくなった。 本システムは自身のパーソナルコンピュータ(PC)のみで利用できるシステムとなった。本システムは稼働したが,どのような栄養素を取ればよいか学習したい人が使えるようにはなっていない結果となった。 \section{今後の展望} 今回のシステムでは全5問のクイズゲームを作成したが,クイズの内容が少なく,学ぶことができる内容が少なくなってしまった。 そのため,難易度を選択できるようにして,本システムよりも多く,より詳しく学習できるシステムの導入を検討する。 また,結論で述べたように,本システムは自身のPCのみでしか動かない。 そのため,健康的生活を行う上で必要な栄養素を学習したい人が,どんな端末でも遊べるようなシステムを導入を検討する。 \begin{thebibliography}{} \bibitem{seikatu} 弘津 公子. QOLと食事. 厚生労働省|e-ヘルスネット.(更新日不明). \url{https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-019.html}.(参照 2022-06-01) \bibitem{eiyou} 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版).「日本人の食事摂取基準」策定検討会.2020-01-21.p.84,p.116,p.146,p.164. \url{https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf}.(参照 2022-06-01). \bibitem{gohan} 農林水産省,食事バランスガイドについて.(更新日不明). \url{https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/}(参照 2020-05-31) \bibitem{keisan} 公益財団法人長寿科学振興財団,三大栄養素の炭水化物の働きと一日の摂取量.2021-09-28. \url{https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tansuikabutsu.html}(参照 2022-06-01) \bibitem{eiyouso} 厚生労働省,栄養素摂取状況調査の結果,2020-12,p.69-p.73 \url{https://www.mhlw.go.jp/content/000711006.pdf}.(2022-06-01) \bibitem{tasha} 栄元 優作,西山 勇毅,大越 匡,中澤 仁. 他者評価とゲーミフィケーションを用いた食生活改善ソーシャルメディア.情報処理学会論文誌,2018-12-26,p.1882-p.1886. \url{https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=199740&item_no=1&page_id=13&block_id=8}.(参照 2022-06-01) \bibitem{kyuusyoku} 森山 克子.食育情報教材「Q-食マスター」開発(1):ゲーム内容と実践報告.2015-02-24,p.175-p.180. \url{https://u-ryukyu.repo.nii.ac.jp/records/2007861}.(参照 2022-06-01) \end{thebibliography} \end{document}