%#!platex -kanji=%k %#MAKEINDEX makeindex rensyu \documentclass[12pt,oneside]{jbook} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} \thispagestyle{empty} %\setlength{\textheight}{29\baselineskip} \setlength{\topmargin}{-0.5cm} %\addtolength{\textheight}{\topskip} \addtolength{\textwidth}{40zw} \addtolength{\textwidth}{-10.0cm} \addtolength{\textheight}{1cm} \addtolength{\oddsidemargin}{-3.0cm} \addtolength{\evensidemargin}{-1cm} \usepackage{ulem,color,graphicx,eclbkbox,url,ascmac} \title{除雪中の水路への転落事故を防ぐ日向地区水路ナビの作成} \author{学籍番号C1150872\\名前 佐藤直人 } \date{\today} \begin{document} %\maketitle \thispagestyle{empty} %\begin{abstract} \begin{center} \section*{除雪中の水路への転落事故を防ぐ日向地区水路ナビの作成} \end{center} \par \begin{flushright} {\bf {\Large 学籍番号C1150872 名前 佐藤直人 }} \end{flushright} \vspace*{4.0cm} \begin{center} {\bf {\Large 概要}}\\ \end{center} \par 山形県酒田市日向地区では国土交通省の「平成29年度雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援調査」に採択され、「水路マップづくりを通じた冬の危険の見える化」と題し、GISを用いた水路マップ作成の事業を行っていた。この活動に東北公益文科大学の学生は講義で参加し、山形県酒田市日向地区の水路の場所とその流れ、除雪時事故が起こる恐れのある場所の調査を行った。また、その情報を用いてGISで「水路マップ」を作成した。 \par しかし、この水路マップは多くの者にとって見やすいものであるとは言い切れない。特に位置情報や水路に関する文章の文字の大きさや危険箇所の種類分けなどに対応が必要である。そのため、本研究では、ユニバーサルデザインに考慮したマップの作成を提案する。また、事故を未然に防ぐための機能として位置情報の取得により危険箇所に接近したことを伝える機能を加える。これらの機能を持ったWebページを「日向地区水路ナビ」とした(407文字)。 \vspace*{2em} %\end{abstract} % ] \newpage \thispagestyle{empty} \newpage \thispagestyle{empty} %\setcounter{tocdepth}{3} \tableofcontents \thispagestyle{empty} \chapter*{序論} \addcontentsline{toc}{chapter}{序論} \setcounter{page}{1} 山形県酒田市日向地区(以下、日向地区)では国土交通省の「平成29年度雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援調査(以下、克雪体制支援調査)」に採択され、地区の取り組みとして地理情報システム(以下、GIS)を用いた水路マップの作成を行った(国土交通省 国土政策局地方振興課 2018:10)。%~\cite{josetsu}。 これには平成29年度に東北公益文科大学(以下、本学)で開講された「プロジェクト型応用演習 地域コミュニティにおける「防災」の仕組みづくり(以下、本学プロジェクト)」の受講生である本学学生が関わった。本学プロジェクトでは、実地調査、写真撮影を行いそれらの情報を用いて水路マップを作成した。マップ作成の際にはインターネット上でいつでも閲覧や編集ができるGISを用いた。GISでの作成は、紙での作成に比べ、配布や情報の更新に関して簡単に行うことができる。しかし、本学プロジェクトで作成した水路マップは、多くの者に見やすいものではない。そのため本論文では、除雪の際に使ってもらえるようなシステムを開発し何度も見てもらえるマップ「日向地区水路ナビ(以下、本システム)」を提案する。\par 本論文では第一章に本システム作成によって解決したい問題点について記す。 第二章に水路マップ作成に関しての先行事例を記す。 第三章に本学プロジェクト及び日向地区で行われた取り組みについて記す。 第四章では作成する本システムの機能を提案する。第五章では作成した本システムの開発環境について記す。第六章では本システムの機能について記す。第七章では結論と本システムの機能の有用性と課題について記す。 \chapter{水路マップの作成} ここでは、本システム作成によって解決できる問題点やその必要性について記す。 \section{除雪事故が起こる原因} 除雪中の事故が起きる原因について記す。 \subsection{積雪による事故の発生} 豪雪地帯の積雪は建築物や公共交通機関の機能に多大な影響を与える。建築物については、苫米地によると建築物上に積もった雪の重みによる倒壊と積雪によるライフラインの寸断などの影響が考えられる(苫米地 1998:169-172)。%~\cite{1998}。 公共交通機関については、積雪や降雪により運行状況が左右される。道路交通においては毎年交通止めなどの交通障害が発生していて、それも年々増加傾向である(国土交通省国土政策局 2012:8)。このような雪による被害を抑えるために除雪作業は必須となる。 ただ、国土交通省国土政策局が「豪雪地帯の現状と対策(平成24年1月25日)」で示している図~\ref{sehu}図~\ref{sesi}から雪による死亡事故はその年の積雪量に比例して起きていることがわかる。%~\cite{国土交通省}(国土交通省国土政策局 2012)。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 700 400,scale=0.4]{./pdf/yukiooi.pdf} \caption{豪雪地帯の累計降雪量 出典:豪雪地帯の現状と対策(国土交通省国土政策局 2012:7)} \label{sehu} \end{center} \end{figure} \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 500 350,scale=0.6]{./yukizikooosi.pdf} \caption{雪害による死者数の推移 出典:豪雪地帯の現状と対策(国土交通省国土政策局 2012:6)} \label{sesi} \end{center} \end{figure} この死亡事故の多くは除雪中の事故であり、特に死者数の多い平成17年度は除雪中の事故は152人中131人%~\cite{jojo6} (消防庁 2006)、次に多い平成22年度は131人中100人%~\cite{jojo10} (消防庁 2011)となっていることが消防庁のホームページに掲載されている「雪による被害状況等」によって明らかにされている。 除雪中の事故は屋根の雪降ろし中の転落や水路への転落など多岐に渡る。 そのため首相官邸では、複数人での除雪作業を心掛けるように注意を促し、 「命を守る除雪中の事故防止10箇条」を提唱している(図\ref{10kajo})。%~\cite{内閣府}。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 700 800,scale=0.2]{./pdf/009_2.pdf} \caption{除雪事故防止のポイント 出典:雪害では、どのような災害が起こるのか(首相官邸ホームページ 2018)} \label{10kajo} \end{center} \end{figure} しかし、除雪を必要とする豪雪地帯では地域の高齢化・過疎化が進行しているため、複数人での除雪作業が困難な状態である。豪雪地帯の高齢化・過疎化による除雪作業への影響については次節で述べる。 \subsection{高齢化・過疎化が与える除雪事故への懸念} 事故が起こる原因のひとつとして高齢化率の増加、高齢者世帯の増加が上げられる。 日本の高齢化は年々深刻化し、2017年10月までに日本の高齢化率は27.7\%になって いることが内閣府の『平成30年版高齢社会白書』によって明らかにされている(内閣府 2018:2)。%~\cite{koure}。 豪雪地帯でも高齢化・過疎化によって地域の高齢者の除雪を支援する者がいなくなって いる(図\ref{zogen})(図\ref{kore})(国土交通省国土政策局 2012:5)。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 700 450,scale=0.4]{./pdf/jinko_kore.pdf} \caption{豪雪地帯の人口増減率 出典:豪雪地帯の現状と対策(国土交通省国土政策局 2012:5)} \label{zogen} \end{center} \end{figure} \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 700 400,scale=0.4]{./pdf/jinko_zogen.pdf} \caption{豪雪地帯の高齢化率 出典:豪雪地帯の現状と対策(国土交通省国土政策局 2012:5)} \label{kore} \end{center} \end{figure} このような背景の中、一人で除雪を行い、事故死するケースもある。NHKクローズアップ現代+「豪雪から高齢者を救え~相次ぐ除雪中の事故死~」で取り上げられた事例では一人暮らしのため自力で除雪を行い水路に転落し12時間以上経ってから発見された高齢者がいた(NHK 2012)。%~\cite{news_NHK}。 このように高齢化・過疎化が与える除雪事故の影響は大きいものであると考えられる。また、除雪作業は高齢者に大きな負担になっている。人力での除雪負担については次節で述べる。 \subsection{人力による除雪の負担} 除雪作業は身体的な負担が大きいことが森田らによって明らかにされている。除雪に必要な体力要素として特に筋力や脚力、持久性が重要である(森田・須田 2005)。%~\cite{2005233}。 除雪作業を一人で行わないようにする仕組み作りや定期的な 休憩で事故を未然に防ぐことはできる。しかし、過疎化により一人で除雪作業を行ったことで死亡した事故が起きていたり、地域に住む者同士の共助による除雪が減っていたりする現状もある(NHK 2012)。このように豪雪地帯での過疎化が進んでいるため人手を増やすような対策は難しくなっている。 \section{除雪時の危険箇所共有} 以上のことから豪雪地帯の除雪作業は困難になってきているといえる。 屋根の雪下ろしをしている最中での転落や雪で見えなくなった水路への転落による死亡 事故も後を絶たない。 日向地区でも2017年3月に除雪中の水路への転落事故が起きている(山形新聞 2018)。%~\cite{nikko}。 しかし、事故が起きた場所の共有が十分に行われていないことが 同地域での聞き取り調査で明らかになっている(東北公益文科大学×酒田市日向コミュニティ振興会 2018)。%~\cite{nouhau}。\par 本学プロジェクトでは、そういった事故が起きた場所を危険箇所として地理情報システムGISで危険箇所の情報をマップに表示している。 \section{ハザードマップ} 本システムは、除雪中の事故を未然に防ぐために開発しているため、ハザードマップとしての側面が強い。 ハザードマップについては、国土交通省国土地理院は以下のように述べている。\par 「『ハザードマップ』とは、一般的に自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路の防災関係施設の位置を表示した地図とされてます」(国土交通省国土地理院 2018)。%~\cite{hamap}。 \par ハザードマップの例として酒田市河川氾濫時の危険区域を示した「酒田河川洪水ハザードマップ」(図\ref{saha})が挙げられる。%\cite{hazard}。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 700 400,scale=0.7]{./pdf/sakata_hazard.pdf} \caption{酒田河川洪水ハザードマップ (酒田市HP 2018)} \label{saha} \end{center} \end{figure} こうしたハザードマップは地域に広く伝えることが重要だが、マップの認知度を広める際の問題点として榎村は、「配布・周知の方法の改善」を挙げている。榎村によると熊本県内の20市町村では、配布した洪水ハザードマップの定期的な再配布を行っておらず、また半数の市町村で転入者に対して配布を行っていない。そのためマップの存在を周知するための取り組みを工夫する必要があるとしている(榎村 2012)。%~\cite{hzrd}。 本学プロジェクトでは、Webページで公開し、いつでも閲覧できるGISでマップを作成することで共有不足を改善することを目指した。 \chapter{先行事例} ここでは水路マップ作成における先行事例を紹介する。 \section{沼野夏生「多雪市街地のための除雪支援マップの試作−山形県新庄市のA町内会を対象に−」} 多雪地域に住む高齢者は除雪が出来ず、雪事故の増加により、住み慣れた場所に居続けることが困難になっている。そのような高齢者の除雪について共助(地域での助け合い)、公助(行政による除雪)の仕組みが必要となる。しかし、共助を求めている者の情報の共有及び危険箇所の情報の共有は適切に行われていない。沼野は情報の共有が困難になっている山形県新庄市のA町内会にて調査を行い、得られた情報をGISを用いて表示する除雪支援マップを作成した。また、作成した除雪支援マップについてA町内会で発表を行った(沼野 2008)。%~\cite{2008}。 GISを使用したことはA町内会で共有する際に紙ベースの地図に比べて多量な情報を整理した形で表示できるので有用なツールになると考えられている。その一方で、このマップはインターネット上では公開を行っていないため、前述した榎村が挙げている問題点を解決するものではない。 \section{長野県宮田村「GIS水路マップ」} 長野県宮田村では、地域の水路の大きさや接続の状況などをまとめたマップを作成している。 大雨などの降雨時には、これを参考に、水回しなどを実際に行っていると村のホームページに掲載されている(宮田村役場 2018)。%~\cite{miyada}。 このマップも全地区に紙媒体で配布しているがインターネット上で公開を行っていないため、前述した榎村が挙げている問題点を解決するものではない。 \section{農研機構農村工学研究部門「Googleマイマップを用いた水利施設GISの構築手法マニュアル」} 農研機構農村工学研究部門では、GISを活用すると農業水利施設の管理の効率化を図ることができるが汎用型のGISの場合ある程度の専門知識がなくては使用することが難しいとしている(農研機構 2018)。%~\cite{G_mymap}。 そのため農研機構農村工学研究部門は、農業水利施設を管理している土地改良区の職員向けにGoogleマイマップを利用した水利施設管理マップ作成の手法についてまとめている。 この中で、マップ作成の促進を図っている一方で、使用されているマップの利用やガイドラインに関しては各自治体の責任となるため利用に制約がかかっている。 \section{先行事例の課題} 上記した先行事例において、以下二点の課題が挙げられる。 \begin{enumerate} \item 公開範囲の制限 \par \ \ \ 水路の管理という側面や個人住所など公開が難しい情報が含まれていると公開範囲に制限がかかってしまう。 \item 利用時の制限 \par \ \ \ 地図データの利用やシステム利用の制限がこれにあたる。特に先行事例に挙げられているGoogle マップでは、地図データ自体は取り扱っておらず、地図データの利用に関する規約は地図データを持つ会社に委ねられる(Google 2018)。%\cite{google}。 また、地図の印刷に関しても以下の様に記されている。 \begin{itembox}[c]{Googleマップの印刷利用について(Googleマップ使用許諾をもとに筆者が作成)} %\begin{table}[h] \begin{tabular}[t]{|c|c|} \hline 使用目的&使用可能\verb|/|不可能 \\ \hline 書籍&可能 \\ \hline 定期刊行物&可能 \\ \hline レポートとプレゼン&可能 \\ \hline ガイドブック&不可能 \\ \hline 物品&不可能 \\ \hline 印刷広告&不可能 \\ \hline \end{tabular} %\caption{出典:Google\cite{google}} %\end{table} \end{itembox} \end{enumerate} \par 「公開範囲の制限」に関しては公開できるような媒体を用意することが必要であると考えられる。「利用時の制限」に関しては、そういった利用規約の生じない媒体を利用することで解決できる。\par 本システムの作成に直結する本学プロジェクトで取り組んできたことは次章で述べる。 \chapter{日向地区での取り組み} 本システム作成に至った経緯に日向地区での取り組みが大きく関わっている。そのため、本学プロジェクトで行った内容及び日向地区での取り組みを記す。 \section{本学プロジェクトでのマップ作成方法} マップ上に表示される情報はuMapを使用して作成している。uMapとはサイト埋め込み用の地図を作 成できるサービスである(uMap-project 2018)。%~\cite{umap}。 地域の危険箇所と水路の情報を地図上にはマーカーとラインで表示し、マーカーの情報には 危険箇所の設定理由と危険箇所の写真を表示している。図\ref{hukuyama}と図 \ref{kuma}で示しているのは本学プロジェクトの調査(後述)で得られた日向地区福山の情報とマー カーが置かれている場所についての説明と写真である。マーカーもしくは水路 の種類は色と形で分けている(表\ref{maker_hyo})(表\ref{line_hyo})。 \begin{figure}[h] \begin{tabular}{p{0.5\textwidth}p{0.5\textwidth}} \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 400 600,scale=0.25]{./pdf/hukuyama.pdf} \end{center} \caption{福山地区 (除雪水路マップ 2018)}%\cite{josesui}} \label{hukuyama} & \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 400 460,scale=0.3]{./pdf/hyoji_rei.pdf} \end{center} \caption{表示される情報例 (除雪水路マップ 2018)}%\cite{josesui}} \label{kuma} \end{tabular} \end{figure} \begin{table}[h] \caption{マーカーと対応する意味 (除雪水路マップ 2018)}%\cite{josesui}} \label{maker_hyo} \begin{tabular}{|c|c|c|c|} \hline 色・形状&意味&色・形状&意味 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_red_kiken.pdf}} \\ Red \end{minipage} &死亡事故が起きた場所 & \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_yellow.pdf}} \\ Yellow \end{minipage} &死亡ではない事故が起きた場所 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_defo.pdf}} \\ DarkBlue \end{minipage} &事故の起きていない危険箇所& \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_pink.pdf}} \\ Lightpink \end{minipage} &歴史的な建物、事物 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_green.pdf}} \\ Lime \end{minipage} &湧水 & \begin{minipage}{25mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_gray.pdf}} \\ Darkslategrey \end{minipage} &水の管理に関わる事物 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{../report_pic/maker_red_hinanjo.pdf}} \\ Red\\(しずく型) \end{minipage} &避難所 & \begin{minipage}{20mm} \centering \scalebox{0.6} {\includegraphics[bb=0 0 100 70]{./pdf/hoshi.pdf}} \\ 星マーク \end{minipage} &写真の入っているマーカー \\ \hline \end{tabular} \end{table} \begin{table}[h] \caption{ラインと対応する意味 (除雪水路マップ 2018)}%\cite{josesui}} \label{line_hyo} \begin{tabular}{|c|c|} \hline 色・形状&意味 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} %\centering \scalebox{0.2} {\includegraphics[bb=0 0 50 80]{../report_pic/line_red.pdf}} \\ Red \end{minipage} &流雪溝(除雪した雪を捨てる場所) \\ \hline \begin{minipage}{20mm} %\centering \scalebox{0.2} {\includegraphics[bb=0 0 50 80]{../report_pic/line_tyairo.pdf}} \\ Brown \end{minipage} &下水 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} %\centering \scalebox{0.2} {\includegraphics[bb=0 0 50 80]{../report_pic/line_defo.pdf}} \\ Darkblue \end{minipage} &農業用水 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} %\centering \scalebox{0.2} {\includegraphics[bb=0 0 50 80]{../report_pic/line_water.pdf}} \\ Cyan \end{minipage} &沢 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} %\centering \scalebox{0.2} {\includegraphics[bb=0 0 50 80]{../report_pic/line_green.pdf}} \\ Lime \end{minipage} &生活用水 \\ \hline \begin{minipage}{20mm} %\centering \scalebox{0.2} {\includegraphics[bb=0 0 50 80]{./pdf/hasen.pdf}} \\ 破線 \end{minipage} &蓋の空いている水路 \\ \hline \end{tabular} \end{table} \clearpage \section{使用している情報} 本学プロジェクトでは、日向地区の住民に水路についての聞き取り調査を行った。聞き取り調査では、5つの地域に分かれて危険箇所の場所と水路の流れを紙の地図に付箋とペンを用いて描いた。図\ref{kami_suiro}は、聞き取り調査の結果を表した紙の地図である。付箋にその時聞いたことを書き、地図上に直接水路を描いている。その後、水路の場所と水の流れる方向、聞き取り調査で挙げられた危険箇所の実地調査を行い、水路マップ上に反映した。\par \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 500 2000,scale=0.05]{./pdf/syasin.pdf} \caption{升田地区の水路の様子について聞き取りしたもの (除雪水路マップ 2017)}%\cite{josesui}} \label{kami_suiro} \end{center} \end{figure} 本学プロジェクトとは別に2018年2月15日に行った水路の流れの速さの調査で撮影した動画も載せている(図\ref{suiro_map})。また、追加で行った 調査の際に撮影した写真も使用している。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 600,scale=0.3]{./pdf/nagare.pdf} \caption{水路の流れの様子を動画にしたもの (除雪水路マップ 2018)}%\cite{josesui}} \label{suiro_map} \end{center} \end{figure} \section{克雪体制支援調査での発表} 2018年3月13日に東京都浜松町で行われた「H29年度克雪体制支援調査活動報告会(公益社団法人 中越防災安全推進機構 2018)」%\cite{anze-n}」 にて水路マップの活動の発表を行った。日向地区コミュニティ振興会工藤志保事務局長が中心となって話し、筆者は学生代表として発表を行った。筆者は学生が作成したマップの作成方法を説明し、実際に作成したマップをモニター上に映し、動いているところを見てもらった。 \section{水路マップの課題} 本学プロジェクトで作成した水路マップの課題を以下にまとめる。 \begin{itemize} \item 水路マップ作成の継承 \par \ \ \ 本学プロジェクトは、2017年度のみの開講となっていて、今後水路マップの 作成は地域住民が行う。 マップ作成は、「写真・動画撮影」「写真・動画編集」「uMapによるマップ作成」 「位置情報の確認」等多岐に渡る。 しかし、現状作成を行っている人は地域に一人しか居ない。そのため、マップ作成 の方法を多くの方に知ってもらうような取り組みが必要となっている。 \item 色覚多様性への対応 \par \ \ \ 水路マップでのマーカーの分類方法は色によって分けている。この分類方法 は色覚多様性の方への対応が考えられていない。そのため色覚多様性への対応を考 えたマーカー表示を考えなければならない。 \item 危険箇所として扱われる水路 \par \ \ \ 今回水路を危険箇所として扱っているが、このことで地域の水路への関わり 方が変わってしまう恐れがある。 日向地区の水路は除雪時の雪を捨てる排雪溝としての役割の他に 火事の消火活動にも使われているということが聞き取り調査で明らかになっている 。日向地区に水路が多いのは過去に起きた大規模な火事が背景にある。水路が危 険箇所としてのみ認識されると、水路は近づいてはいけない場所となりかねない。 こういった別視点からの冬以外の情報も季節で確認できるようなマップ作りが必要 である。 \end{itemize} \par これらの課題から水路マップの表示やGISに機能を追加していく必要がある。しかし、uMapでは使用できる機能に制限がある。次節では課題を解決する本システムについて提案を行う。 \chapter{提案} 本学プロジェクトで作成した水路マップは、共有時に便利だと日向地区で好評だった。その一方で、作成したマップでは、多くの者にとって見やすいものであると言い切れないこともわかった。そのためここでは多くの者が見やすい「ユニバーサルデザイン\footnote{アメリカのノースカロライナ州立大学ロナルド=メイス博士が提唱した。「製品や環境のデザインを、すべての人が使いこなせるものとすることを目指す概念」(教育出版 CUD事務局 2012)}」 %\cite{cudo}}」 に留意したマップ作成を提案する。特に共有を目的とした地図として高齢者が見やすいマップ、色覚多様性への対応を行う「カラーユニバーサルデザイン」のマップの作成を目指す。また、除雪中に起こる事故防止のため本システムの機能を追加することで何度でも使ってもらえるようなマップにしていく。 \section{共有時のマップ表示} 危険箇所の情報をいつでも確認できるよう危険箇所の情報を載せたマップの表示において図\ref{kuma}のようなポップアップでの表示は文字が小さく、また表示される写真の大きさも限られてくる。また、動画の再生も小さい表示でのみ可能なため画面によって大きさを変えられる表示を行う。\par マーカーの色によって場所の種類を分けているがカラーユニバーサルデザインの観点では不利となる者がいる。そのため色だけではなく種類ごとにマーカーの形状を変えることで対応を行う。 \section{事故防止のための機能} 第一章であげたように除雪中の事故防止には複数人による除雪作業が求められているが、人口減少の著しい地域ではそういった共同の除雪作業はもはや困難となっている。そのため、今回水路マップで表示されている危険箇所に関してはその場所に近付いたら危険を知らせる機能を加える。こうすることで事故を未然に防げる他、マップの表示以外の機能を使うことで何度も使ってもらえるようなシステムとして利用する。 \chapter{本システム開発に使用したもの} 本システムの開発に使用したものを以下に示す。 \begin{itemize} \item プログラミング言語 JavaScript 1.8 \par \ \ \ インタプリンタ型のプログラミング言語でWebページでよく使用される(MDN 2018)。 %~\cite{mdn}。 \item 使用ライブラリ Leaflet.js(Vladimir Agafonkin)\par%~\cite{Leaf} \par \ \ \ Web上で地図を表示するマップクライエントライブラリである。 マップを用いた様々な機能が作成されていて、それらを組み合わせることで多様な表現ができる。 \item 使用ライブラリ sidebar-v2(Tobias Bieniek 2018)\par%~\cite{sidebar-v2} \par \ \ \ 地図上にメニューを表示するLeafletのプラグインである。マップ上にあるマーカーをクリッ クするとそのマーカーの位置に関する情報を表示する。 \item 使用ライブラリ leaflet-mapkey-icon(mapshakers 2018)\par%~\cite{mapkey} \par \ \ \ マップ上に表示されるマーカーの形状を変えることができるLeafletのプラグインである。 マーカー内のアイコンは、Filip zavadilの作成したMapkeyIconsが用いられて いる(Filip zavadil 2018)。%~\cite{filip}。 \item 使用ライブラリ Font Awesome(Fonticons, Inc. 2018)\par%~\cite{font} \par アイコンを文字として扱うものである。今回は、マーカー内のアイコンを変えるために用いる。 \item 使用ライブラリ colorbox.js(Jack Moore 2018)\par%~\cite{colorbox} \ \ \ Webページ上にモーダルウィンドウ\footnote[2]{何らかのウィンドウの子ウィンドウとして表示するもの。今回は動画を表示するのに用いる。}を 表示するjQuery ライブラリのひとつである。 \item 使用Webサービス OpenStreetMap \par \ \ \ 道路地図などの地理情報データを自由に利用できる地理情報データの使 用と作成ができるプロジェクトである(OpenStreetMapJapan 2018)。%~\cite{osm}。 \item 使用Webサービス uMap \par \ \ \ OpenStreetMapの地図を使い、サイト埋め込み用の地図を作成できるサービス である(umap-project 2018)%~\cite{umap} 。本学プロジェクトで作成したデータを本システムにも利用する。 \item 使用アプリケーション 色のシュミレータ \par \ \ \ 様々な色覚を持つ人の色の見え方を知るための色覚シミュレーションツール である。画像を加工し、4つの色覚タイプからどう見えるのかを確認することがで きる(浅田一憲 2018)。%~\cite{iro}。 \end{itemize} これらはオープンソース\footnote[3]{ソフトウェアなどの内容を無償で公開し、誰でも自由に改良・再配布ができるもの}であるため閲覧範囲に制限を与えるものではない。利用についても\verb|MIT License|であるため著作権表示がなされていれば問題なく使用できる。そのためこれらは先行事例で挙げた課題である「閲覧範囲の制限」「利用時の制限」を克服するものとして考えられる。 \chapter{日向地区水路ナビ} ここでは、本システムの機能について記す。 \section{ユニバーサルデザインの観点} 多くの者にとって見やすいデザインのマップとして作成を行った。特に文字サイズの設定や制限された範囲内での表示や色覚多様性に対する対応を考えた。 \subsection{マーカーの形状} これまでマーカーは色によって種類分けを行ってきた。しかし、本学プロジェクトで作成 した水路マップは色覚多様性への対応が課題として挙げられている。そのため色による分 類だけではなくマーカーの形状を変えることでカラーユニバーサルデザインを実現する。 色覚多様性の把握については、「色のシュミレータ」によって筆者が確認を行い、マップ へ反映した。図\ref{hikaku_map}と図\ref{mapkey_map}はそれぞれ色のシュミレータに よって加工された画像である。4つの色覚タイプ(それぞれ左上は一般型色覚、右上は1型2 色覚、左下は2型2色覚、右下は3型2色覚)からどのように見えるかが判断できる。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 600,scale=0.3]{./pdf/umapis.pdf} \caption{マーカーの色ごとに種類を分けている水路マップ (除雪水路マップ 2018)}%\cite{josesui}} \label{hikaku_map} \end{center} \end{figure} \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 700 1000,scale=0.3]{./pdf/leaf.pdf} \caption{マーカー内のアイコンとマーカーの色によって種類を分けている日向地区水路ナビ(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{mapkey_map} \end{center} \end{figure} 図\ref{hikaku_map}では、特に1型2色覚でわかりづらい黄色のマーカーと緑色のマーカーの判別も図\ref{mapkey_map}のようにマーカーの形やマーカー内のアイコンによってわかりやすく種類分けを行っている。 \subsection{マーカー内容の表示} 図\ref{mzs}は、本学プロジェクトで作成した内容をそのまま反映したものである。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 700,scale=0.3]{./pdf/mapkey_suiro.pdf} \caption{マーカー群の表示(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{mzs} \end{center} \end{figure} マーカーにマウスカーソルを合わせるとそのマーカーの内容が何に関するものなのかを表示してくれる(図\ref{tools})。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 500 400,scale=0.5]{./pdf/tool.pdf} \caption{内容の種類について表示(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{tools} \end{center} \end{figure} マーカーをクリックすると画面左側にあるサイドバーが開き、その位置に関する内容が表示される(図\ref{mz})。これは文章の文字サイズを大きく表示できるようにしている。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 600,scale=0.3]{./pdf/click_keysuiro.pdf} \caption{危険箇所の情報を写真と文章で伝える(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{mz} \end{center} \end{figure} \clearpage \subsection{動画の再生} マーカーをクリックするとその位置の動画がモーダルウィンドウ内で再生される(図~\ref{saisei})。 再生終了後そのマーカーのある位置をマップの中心とするためどこで行ったことなのかを明確にして いる(図~\ref{sei})。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 700,scale=0.3]{./pdf/keymovie.pdf} \caption{水路の速さを確認するための動画が再生される(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{saisei} \end{center} \end{figure} \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 500,scale=0.3]{./pdf/m_key_suiro.pdf} \caption{動画再生後の表示(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{sei} \end{center} \end{figure} \clearpage \section{危険箇所接近時通知機能} 危険箇所通知を行う機能について記す。 現在地情報を取得し、最も近い危険箇所からどれくらいの距離があるかを表示 する(図\ref{mg})。 現在地から最も近い危険箇所が半径5メートル以内にあった場合、スマートフォンのバイブレーションで注意を促し、危険箇所の詳細を文章で表示している(図\ref{mk})。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 500 500,scale=0.5]{./pdf/tikasii.pdf} \caption{一番近い危険箇所までの距離を表示(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{mg} \end{center} \end{figure} \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 500 250,scale=0.5]{./pdf/kiken_key.pdf} \caption{注意画面。バイブレーションによって危険箇所に近付いていることを指摘(日向地区水路ナビ 2018)}%\cite{suironavi}} \label{mk} \end{center} \end{figure} \chapter{結論} 今回作成した機能についての結論と機能並び表示における今後の展望を記す。 \section{本論文の振り返り} 本論文では、積雪時の水路への転落事故を未然に防ぐため水路の位置を共有するGISを用いた水路マップの必要性について論じた。また、見ることだけにとどまったGISの提供ではなく、動的に作用するシステムとして本システムを提案した。\par 第一章では、積雪による事故の中から特に除雪中の事故を取り上げ、事故の原因として地域の高齢化・過疎化や人力での除雪の負担、危険箇所等の共有不足を挙げた。また、事故を未然に防ぐために用いられるハザードマップにも触れ、ハザードマップの課題である地域での周知の方法の改善を図るために本学プロジェクトで水路マップを作成したことを明らかにした。\par 第二章では、水路マップ作成に関する先行事例を3つ挙げた。それらの事例から課題として「公開範囲の制限」「利用時の制限」があると考えた。その課題を解決するにはどのような仕組みが必要か述べた。\par 第三章では、本システム作成に関わる本学プロジェクトでの水路マップ作成についてまとめている。主に本学プロジェクトで行った調査やマップ作成の手法について述べた。また、克雪体制支援調査での発表等で得られた課題を取り上げそれらを解決するために本システムの作成を行ったことを記している。\par 第四章では、本学プロジェクトで作成した水路マップの課題について解決案を二点提案した。一つは共有時のマップ表示についての機能に関する提案で、もう一つは除雪中の事故を防ぐための機能として位置情報を使った危険箇所への接近を注意する本システムの提案を行った。\par 第五章では、本システム開発にあたり使用したソフトウェアなどをまとめた。また、使用するソフトウェアに第二章の事例であったような課題が発生しないことを述べた。\par 第六章では、本システムで完成した点について述べているユニバーサルデザインの観点から考えたマップ表示や位置情報の取得で危険箇所への接近時に注意を促す機能についても述べている。\par 次に本システムの有用性について以下に示していく。 \section{システムの有用性} 実際にシステムを使用した結果として有用性をここに示す。 \subsection{多人数での共有} 今回作成した本システムは、多人数での共有において有効であると考えることができた。 特に本学プロジェクトで行った地域の者への水路マップの発表では、 どこに何があるのか、どういったものがあるのかをモニターに映し、共有を行った。その際にはネットワーク機器を持たない方でも見れるような資料を配布した(図~\ref{butu})。これも自由に印刷することができるからこその強みであると考えられる。\par \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 500 450,scale=0.3]{./pdf/monorei.pdf} \caption{配付した資料例 (筆者作成 2018)}%\cite{siryo}} \label{butu} \end{center} \end{figure} %次にユニバーサルデザインの観点を考えた機能の有用性ついて述べる。 また、本システムの機能の有用性について証明するものとして 2018年10月28日に山形県酒田市八幡地区にて行われた「防災楽習フェス」で展示された「大雨災害マップ」が挙げられる。 「大雨災害マップ」とは、2018年度山形県で起きた大規模な大雨災害による被害を受けた山形県酒田市大沢地区の大雨当時の様子や被害の様子が写っている写真や 動画をマップ上に表示したものである。「大雨災害マップ」は本システムで使用したソフトウェア等を使用していて、マーカーをクリックすることで動画が再生さ れること(図\ref{rain_movie})や配置されたマーカーに関する情報についてサイドバーでの表示(図\ref{rain_side})を行っていた。 \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 550,scale=0.2]{./pdf/do_movie.pdf} \caption{大雨災害マップでの動画再生 (大沢地区大雨災害マップ 2018)}%\cite{oosawa}} \label{rain_movie} \end{center} \end{figure} \begin{figure}[h] \begin{center} \includegraphics[bb=0 0 1000 650,scale=0.3]{./pdf/side_ward.pdf} \caption{大雨災害マップでのサイドバーでの表示 (大沢地区大雨災害マップ 2018)}%\cite{oosawa}} \label{rain_side} \end{center} \end{figure} このシステムは撮影された動画と写真が「どこで起きたことなのか」を伝えるツールとしてその役割を果たしていた。 そのため共有時に利用するものとしてマップによる支援は有効であると考えられる。 \subsection{危険箇所接近通知機能について} 危険箇所の通知に関しては、日向地区の除雪ボランテイアの際に使用し、危険箇所への接近 で鳴るバイブレーションが服の上からでもわかるものだと認識できた。 その一方で、使用しているスマートフォンをサイレントマナーにしてしまうとバイブレーシ ョンがならないなどの課題が挙げられた。 \section{水路マップ作成} 課題として挙げられた水路マップ作成の継承については、2018年12月現在筆者が日向地区に水 路マップ作成の指導をしているが、さらに本学プロジェクトで利用したuMapの使用方法につ いてまとめた冊子も作成している。 \clearpage \section{今後の展望} 機能とマップでの表示についての展望を以下に示す。 \subsection{危険箇所接近時の機能についての展望} \begin{itemize} \item 注意を促すべき範囲の調査を行う \par \ \ \ 今回、半径5メートル以内に近付くと危険を知らせる機能を作成した。 しかし、主観的に設定している数値なため使用者の安全が必ず 確保できる距離であると言い切れない。使用者の安全を確保できる距離 についても考える必要がある。 \item 危険箇所で事故が起きた場合の機能を追加する \par \ \ \ 本アプリケーションでは実際に事故が起きた場合の対応も必要と考える。 危険箇所で事故が起きた場合に地域住民へ連絡が届く機能をつけたい。 \item 正確な位置情報取得を行う \par \ \ \ 位置情報取得において、ネットワークの通信が届かない者は位置情報を取得できなかったり、正確な位置情報を取得できなかったりした点が問題として挙げられ た。そのため位置情報取得だけではなく距離センサーなどを用いた位置情報の取得を目指す。 \end{itemize} \subsection{マップの表示} \begin{itemize} \item 写真を積雪時のものに変換できるようにする \par \ \ \ 現在、マーカーに貼られる写真は積雪していない状態のものである。 しかし、危険箇所の積雪した状態を知らない使用者にとって危険箇所 であるということへの認識にズレが生じる。そのため写真での表示を 積雪時と通常時を比較を行えるようにすることでどのように危険であ るかという認識を共有できるようにしたい。 \item 偏った視点での提供について \par \ \ \ 今回水路を危険箇所として扱っているがこのことで地域の水路への関わり方 が変わってしまう恐れがある。日向地区の水路は除雪時の雪を捨てる排雪溝として の役割の他に火事の消火活動にも使われているとのことだった。 また、日向地区に水路が多いのは過去に起きた大規模な火事が背景にもある。 こういった「危険箇所」としての側面以外の情報を冬以外の季節では「水資源マッ プ」と言うような形で表示することで日向地区の水路へのイメージの悪化が避けら れる。偏った視点ではなく、地域資源としてのマップ作りが必要である。 \end{itemize} \chapter*{謝辞} \addcontentsline{toc}{chapter}{謝辞} 本システムは、日向地区コミュニティ振興会工藤志保事務局長を始めとした多くの地域の方 のご協力とマップ作成に携わった本学プロジェクトを受講した学生との共同作業 、澤邉教授、小関講師、広瀬准教授のご指導、助言によりできたものである。ここに感謝の 意を表す。 \renewcommand{\bibname}{参考文献} \begin{thebibliography}{99} \addcontentsline{toc}{chapter}{参考文献} \bibitem{1}Filip zavadil Filip zavadil 2018 \url{http://www.filipzavadil.com/ }(2018/12/8 閲覧 ) \bibitem{2}Google Google マップ google earth ストリートビューの使用 2015 \url{https://www.google.co.jp/intl/ja/permissions/geoguidelines.html }(2018/12/8 閲覧 ) 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