yatex

annotate docs/yatexadd.doc @ 52:5d94deabb9f9

Set YaTeX-indent-line to 'indent-line-function. Revise fill features.
author yuuji
date Sun, 22 Jan 1995 14:20:46 +0000
parents eb0512bfcb7f
children 2d45e43fb35f
rev   line source
yuuji@6 1 ------------------------------------------------------------------------
yuuji@6 2 野鳥用付加関数の作成方法
yuuji@6 3 ------------------------------------------------------------------------
yuuji@6 4
yuuji@6 5
yuuji@6 6 【付加関数とは】
yuuji@6 7
yuuji@49 8 begin 型補完で、「tabular 環境を入力している時に、わたしの好み
yuuji@49 9 のスタイルが入らないなあ」などと思うことはありませんか。tabular
yuuji@49 10 環境に限らず、LaTeX の環境の引数には、各人お決まりのフォーマット
yuuji@49 11 があるものです。たとえば凝った表を書く時の tabular環境の引数は、
yuuji@49 12 かなり複雑なので、デフォルトの自動入力関数よりも、
yuuji@6 13
yuuji@8 14 "{@{\vrule width 1pt\ }|||@{\ \vrule width 1pt}}"
yuuji@6 15
yuuji@6 16 を挿入するだけの単純な関数のほうが、嬉しい人もいるでしょう。あるい
yuuji@6 17 は、「そんなの要らない。他の tabular をコピーして来たほうが早い。」
yuuji@6 18 と思う人もいるでしょう。
yuuji@6 19
yuuji@6 20 YaTeX の付加関数は、あらかじめ○○環境用のお仕着せの特別関数を用
yuuji@6 21 意しておくのではなく、○○環境用の特別関数が欲しくなったら独自の関
yuuji@6 22 数を定義する、というコンセプトに基づくもので、付加関数の登録のため
yuuji@6 23 の手続きをすることなく、関数を定義したその瞬間から使えるようになり
yuuji@6 24 ます。「必要なのは、defun だけ」です。
yuuji@6 25
yuuji@6 26
yuuji@6 27 【準備】
yuuji@6 28
yuuji@6 29 さすがに、関数を書くだけでは使えません:-)。yatex-mode 起動時には、
yuuji@8 30 その関数を定義したファイルがロードされていなくてはなりません。関数
yuuji@25 31 を定義するファイル名を yatexhks.el(またはバイトコンパイルした形式
yuuji@25 32 の yatexhks.elc)にし、そのファイルを load-path 中に置いておけば、
yuuji@8 33 野鳥が自動的にロードします。それ以外のファイル名にする場合は、
yuuji@16 34 yatex-mode-load-hook に付加関数を定義する Emacs-Lisp ファイルをロー
yuuji@16 35 ドするような仕掛けを書いておくのがよいでしょう。
yuuji@6 36
yuuji@6 37
yuuji@12 38 【関数定義】
yuuji@6 39
yuuji@12 40 付加関数には、各LaTeXコマンドのオプション引数を返す形式のもの、
yuuji@12 41 section型補完の引数を返すもの、の二種類があります。
yuuji@12 42
yuuji@12 43 前者は、以下の例のように、begin型補完では\begin{環境名}の直後に
yuuji@12 44 付加する文字列、section型補完では LaTeX コマンド名と第一引数の間に
yuuji@12 45 位置する文字列、maketitle型補完では LaTeX コマンド名の直後に位置す
yuuji@12 46 る文字列を返すような関数です。便宜上この形の付加関数を、追加型付加
yuuji@12 47 関数と呼ぶことにします。
yuuji@12 48
yuuji@12 49 (例) \begin{table}[ht] (付加関数名 YaTeX:table)
yuuji@12 50 ~~~~
yuuji@12 51 \put(100,200){} (付加関数名 YaTeX:put)
yuuji@12 52 ~~~~~~~~~
yuuji@12 53 \sum_{i=0}^{n} (付加関数名 YaTeX:sum)
yuuji@12 54 ~~~~~~~~~~
yuuji@12 55
yuuji@12 56 追加型付加関数は『LaTeXコマンド名の前に YaTeX: をつけた名前』で定
yuuji@12 57 義します。
yuuji@12 58
yuuji@12 59 後者は、以下のようにsection型コマンドの引数となる文字列を返す
yuuji@12 60 関数です。この形の付加関数を引数型付加関数と呼ぶことにします。
yuuji@12 61
yuuji@12 62 (例) \newcommand{\foo}{bar} (付加関数名 YaTeX::newcommand)
yuuji@12 63 ~~~~ ~~~
yuuji@12 64
yuuji@12 65 引数型付加関数は『LaTeXコマンド名の前に YaTeX:: をつけた名前』で定
yuuji@16 66 義します。また引数型付加関数が呼ばれる時にはsection型コマンドの何
yuuji@16 67 番目の引数を入力しているのかが関数への引数として渡されます。したがっ
yuuji@16 68 て、引数型付加関数は整数の引数を一つ取るものとして定義し、その引数
yuuji@16 69 の値により処理を決定することになります。
yuuji@12 70
yuuji@12 71
yuuji@12 72 【定義例】
yuuji@12 73
yuuji@12 74 例えば、tabular環境のフォーマットとして、いつでも {|c|c|c|} を入
yuuji@12 75 れるだけで良いのなら、
yuuji@12 76
yuuji@12 77 (defun YaTeX:tabular ()
yuuji@12 78 "{|c|c|c|}")
yuuji@12 79
yuuji@12 80 とだけ書けばよく、前述の、複雑な定型 tabular フォーマットを挿入す
yuuji@12 81 るための関数を定義する場合は次のようにします。
yuuji@12 82
yuuji@12 83 (defun YaTeX:tabular ()
yuuji@12 84 "{@{\\vrule width 1pt\\ }|||@{\\ \\vrule width 1pt}}")
yuuji@12 85
yuuji@12 86 この時、Emacs-Lisp 中の文字列では、\ 自身は \\ と表記することなど
yuuji@12 87 に注意して下さい。
yuuji@12 88
yuuji@12 89 また、{} の中を、補完時に直接キーボードから読み込ませたい時は、
yuuji@12 90
yuuji@12 91 (defun YaTeX:tabular ()
yuuji@12 92 (concat "{" (read-string "Rule: ") "}"))
yuuji@12 93
yuuji@12 94 などとすれば良いでしょう。
yuuji@12 95
yuuji@12 96 次に、引数型付加関数として \newcommand の引数を読み込む関数を定
yuuji@12 97 義する場合を例示します。\newcommand の第一引数は新たに定義するコマ
yuuji@12 98 ンド名なので、必ず先頭に \ が来ます。第二引数はたいていの場合ミニ
yuuji@12 99 バッファでは編集しづらいような複雑な定義を書くので、何も補完しない
yuuji@12 100 方が良いでしょう。これを考慮して付加関数を定義すると以下のようなも
yuuji@12 101 のになるでしょう。
yuuji@12 102
yuuji@12 103 (defun YaTeX::newcommand (n) ;nは引数の位置
yuuji@12 104 (cond
yuuji@12 105 ((= n 1) ;第一引数ならコマンド名
yuuji@16 106 (read-string "Command: " "\\")) ;\を初期入力とする
yuuji@16 107 ((= n 2) "") ;第二引数なら何もしない
yuuji@12 108 (t nil)))
yuuji@12 109
yuuji@12 110 なお、引数型付加関数が nil を返した場合は、通常の引数入力関数が呼
yuuji@12 111 ばれます。
yuuji@6 112
yuuji@6 113
yuuji@6 114 【呼ばれ方】
yuuji@6 115
yuuji@8 116 野鳥本体は、begin型補完とsection型補完、およびmaketitle型補完の
yuuji@8 117 入力時に付加関数の存在を調べてから呼び出します。begin型補完の場合
yuuji@8 118 \begin{環境名} が自動入力された直後に呼び出されます。section型補完
yuuji@8 119 では第一引数の補完の直前、maketitle型補完の場合は、コマンド名の直
yuuji@12 120 後(一つのスペースを挿入する直前)に呼び出されます。引数型付加関数は、
yuuji@12 121 section型コマンドの引数の入力時にその都度呼ばれます。
yuuji@6 122
yuuji@6 123
yuuji@6 124 【参考】
yuuji@6 125
yuuji@6 126 付加関数の定義の例を yatexadd.el に用意しました。実際に独自の付
yuuji@6 127 加関数を定義する時の参考として下さい。
yuuji@6 128
yuuji@8 129 有用と思われる関数について、簡単に説明します。
yuuji@8 130
yuuji@8 131 ・関数 YaTeX:read-position
yuuji@8 132 引数 [] の中に入れてもよい文字を羅列した文字列。
yuuji@8 133 説明 [htb] などのような location 指定を作成します。何も入力せず
yuuji@8 134 リターンを押すと、[]自体も省略されます。[]の中に来るべき文
yuuji@8 135 字が htbp に限られているなら、(YaTeX:read-position "htbp")
yuuji@8 136 と呼び出します。
yuuji@8 137
yuuji@52 138 ・関数 YaTeX-cplread-with-learning
yuuji@52 139 引数 プロンプト
yuuji@52 140 デフォルト補完テーブル変数シンボル
yuuji@52 141 ユーザ補完テーブル変数シンボル
yuuji@52 142 ローカル補完テーブル変数シンボル
yuuji@52 143 説明 「プロンプト」というプロンプトを出し、補完入力を行います。
yuuji@52 144 三つの変数のテーブルの値を結合したものが補完候補として用
yuuji@52 145 いられ、新しい単語を入力すると自動的に学習されます。学習
yuuji@52 146 結果は ~/.yatexrc か ./.yatexrc に保存されます。使用例と
yuuji@52 147 して YaTeX::documentstyle 関数の定義をごらんください。
yuuji@52 148
yuuji@52 149 ・関数 YaTeX:check-comletion-type
yuuji@52 150 引数 'begin または、'section または、'maketitle
yuuji@52 151 説明 付加関数が呼ばれる時に、行われている補完の形式が、引数で与
yuuji@8 152 て、X座標を読み込み、「基本プロンプト Y座標プロンプト:」を
yuuji@8 153 出して、Y座標を読み込み、(X座標,Y座標) の様な形式を作成します。
yuuji@8 154 何も入力せずリターンを押しても、(,)が返されます。
yuuji@8 155 各プロンプトのデフォルトはそれぞれ、Dimension, X, Y です。
yuuji@8 156
yuuji@8 157 ・関数 YaTeX:check-comletion-type
yuuji@8 158 引数 'begin または、'section または、'maketitle
yuuji@8 159 説明 付加関数が呼ばれる時に、行われている補完の形式が、引数で与
yuuji@8 160 えたものであるかどうか調べ、そうでない場合にエラー終了する。
yuuji@8 161 なお、変数 YaTeX-current-completion-type に現在の補完の型
yuuji@8 162 を表わすシンボル(この関数の引数と同様)が格納されています。
yuuji@8 163
yuuji@6 164
yuuji@6 165 【最後に】
yuuji@6 166
yuuji@6 167 快適な関数を定義したなら、そしてそれを公開してもよいと思われたな
yuuji@6 168 ら、筆者までお送り下さい。次の yatexadd.el に取り込んで行きたいと
yuuji@6 169 思います。
yuuji@6 170
yuuji@6 171
yuuji@14 172 広瀬雄二
yuuji@14 173 yuuji@ae.keio.ac.jp
yuuji@14 174 pcs39334@asciinet.or.jp