情報提供マップの作成者の意図に応じた
動的レイヤ生成システムの開発
東北公益文科大学
本間可楠 大谷宏行 佐藤直人 広瀬雄二
https://www.yatex.org/koeki/2018-1208-ipsj-IS/
背景
- Web地図の普及
- オープンデータの価値向上
- 地域ごとの資源マップ活性化
山形県酒田市の例
- 2014年度
酒田市庁内GIS更新に伴い本学との「市民目線のコンテンツ作成」を
目的とした委託研究開始
- 2014-2015年度
「ランニングコース」や「冷たいラーメン」まっぷなど
親しみのあるテーマのマップを作成
- 2016年度
- 酒田市全域小中学校の「通学路安全マップ」を集積した
Web地図を作成
- コンテンツ作成工程定式化
cf) 酒田市
地理情報システム「さかたまっぷ」
コンテンツ作成工程
- 取材と撮影
(施設・店舗等は事前許可を得て)現地に行き状況を記録し、
必要な箇所では写真撮影
- 加工処理
- 画像へのGeoTag埋め(同一地点の写真は同一緯度経度で統一)
- リサイズ(現在は長辺1920px)
- 透かしロゴ(watermark)埋め
- 現地に関する記述(メタデータ)との関連付け(※1)
- レイヤ分け
- 変換処理
酒田市の利用システムでImport可能な形式(KML+JPGファイル)に変換
- 確認とリリース
工程を通じての教育という観点
作業はPBL授業にて学生が行なう
- 電話交渉の技術(社会経験)
- 写真撮影に対する最低限の技術
- 画像加工の基礎知識(Exif, アスペクト比…)
- 著作権関連の知識適用(地図の著作権、オープンデータ)
- XMLを中心としたファイル構造とテキストフォーマット
※1 地点と記述の関連付け
- 掲載地点の現地記述と写真の関連付けには
uMap を利用
- uMapポイントには「さかたまっぷ」本体システムに必要な属性を付与
- 地点の概要記述でuMap固有のWikiStyle記法を用いて外部画像をリンク
データ構築で明白化した問題
- GUIは画像と地点の結び付けにはよいが
地点レイヤの振り替えは面倒
- 同じ地点を複数のレイヤに入れたいときに困る
- 複数のレイヤに同一地点を入れると更新が困難になる
- [1]小中学校の学区境界問題
- [2]立場による見せ方問題
[1]学区境界問題
小中学校の学区オーバーラップ
酒田市の場合:
実際にはもっと複雑
学区の秘密性
食い違いは「繊細な理由」によるもの...
境界の曖昧さを容認するデータ構造設計
[2]立場による見せ方問題
- 問題A: 閲覧者の予備知識による地図の切り替え
→ セミダイナミック
- 問題B: 同一閲覧者に対する漸進的情報提示
→ フルダイナミック
A: 閲覧者予備知識に応じたレイヤ構築(セミダイナミック)
(酒田市の場合)
- 初訪問で行きたいところ
- 山居倉庫(県,
市,
観光物産協会)、
さかた海鮮市場、
みなと市場
- 2度目くらい
- 川柳(街中のラーメン屋)、海向寺(即身仏)
- ベテラン
- ト一屋
(普通のスーパー)、
大台野(蕎麦:OSM,
Google)
- ガイドブックやwww.○○mapには全部載っている
- 訪問経験値に応じた適所は現地人の知見
- 地図作成者の「様々な経験値の人に楽しんでもらいたい」意図を反映するレイヤを生成
一般化すると……
ある地点がどの地図(レイヤ)に入るかはその地点が持つ属性である
B: 漸進的情報提示(フルダイナミック)
(情報科高校生の課題学習の例)
GPSに反応する観光ガイドを作りたい!
- 当該地点に近づくと案内文がポップアップ
- でも毎回同じ文だとつまらない!
- 接近した回数によってメッセージを変えたい
個別に切り替えるプログラムを書けば解決するが……、
データ構造として一般化できないか。
ある地点の案内文にそれが開示される状態による判定条件を持たす
以上をまとめると
- 曖昧な境界に対応したレイヤ生成
- 動的アクションを可能にする表現の導入