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labo / resume.tex
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%\pagestyle{empty}
\title{2段レジュメテンプレート\\と見せかけて卒論執筆時の注意}
\author{広瀬研究室}
\begin{document}
\twocolumn[
\maketitle
\begin{center}
 {\bfseries 概要}
\end{center}
 理工学系研究の発表では,発表内容を的確にまとめたレジュメを
 配布する。体裁は種々あるが,ここでは,2段組出力のレジュメの例を示し,
 今後の発表の際の参照資料とする。この\LaTeX{}ソース自体が2段組レジュメの
 サンプルとなっている。卒論執筆時の注意は第\ref{checkit}節を熟読すること。
 \vspace*{2em}
]
%\thispagestyle{empty}

\section{はじめに}
	研究の成果は他人に伝えて初めてその価値が現れる。伝えることがなけ
	ればそれは単なる自己満足で終わる。自己満足で終わらないよう,効果
	的な手法を以って公表したい。レジュメは卒論の要約であり,プレゼン
	シートとは違う。聴取者が短時間で理解できるよう論旨の流れに注意
	し,ポイントを絞って記述する。

%\section{卒業研究の流れ}
%	一般的な理工学研究は,内容の新規性と論理的矛盾がないことが重視さ
%	れる。しかし卒業研究では研究期間の短さゆえ新規性の確保は難しいた
%	め,新規性は乏しくても研究手順・論理展開の正確性があれば十分であ
%	る。卒業研究では…………

\section{卒論の構成}
	卒論自体は章構成全体で起承転結を成すようにする。流れの一例として
	は,

	\begin{quote}
	 研究テーマを選んだ背景\\
	 現状の問題点の分析\\
	 解決方法の提案\\
	 提案したものの詳しい解説\\
	 実験の説明と結果\\
	 結果に対する分析とさらなる提言\\
	 結論
	\end{quote}
	という流れを汲む章の構成にする。レジュメもこれを踏襲した,よきダ
	イジェスト版になるよう章立てを設計する。

\section{文の体裁上の注意}
\label{checkit}
	卒論は科学技術論文の一つである。主観にしかよりどころのないことは
	避け,全て事実にもとづく記述のみを示す。そのためたとえば,「おそ
	らく」や「〜らしい」のような伝聞推定の文や,「とても」や「かなり」
	のような主観にもとづく形容詞は使わない。そのような表現がまずいの
	ではなく,あいまいなことを記述することがそぐわないということであ
	る。

	以下,典型的な注意点をいくつか挙げる。
	\begin{itemize}
	 \item すべての文に主語と述語は必ずつける。1つの文に1つずつ。
	 \item 長くなる文章は,主語と述語が近い位置に来るように工夫する。
	       そうしないと読んでいて分からなくなる。
	 \item 「〜で,〜で,〜で,」とか,「〜だから,〜だから,〜だか
	       ら,」\\
	       と文をだらだら続けない。
	       読んでる方は何が書いてあるか不明になる。
	 \item 「〜が」,の「が」を順接続の意味で使わない。
	       \begin{quote}
	× 「日本で一番高いのは富士山だが,世界で一番高いのは?」\\
	○ 「〜と一般に言われているが,それは間違いだ」
	       \end{quote}
	       読み手は「〜〜が,」と書いてあると,そのあとに逆のことが
	       来ると予想して読む。それが裏切られると理解しにくくなる。
	       簡単な文ならよいが,論文のような誤解をされてはいけない文
	       章では「〜が,」は逆接だけで使うべき。

	 \item 否定の比喩は使わない。「〜のように〜〜ない」
	       \begin{quote}
		× 「彼のように僕は速く走れない」\\
	    →	「彼も速く走れない,僕も速く走れない」とも\\
		「彼は速く走れるが,僕はそれほど速くない」とも取れる
	       \end{quote}
	       「〜のように〜〜ない」
	       は日本語として使ってはいけない表現。
	 \item 全部常体で書く(である調)。ですますは使わない。「である」
	       と言い切る。言い切れないような自信のないことは書くな。

	 \item 本文にあいまいな修飾語,語尾は使わない。
	       \begin{quote}
		だいたい,おそらく,たぶん,すこし,たくさん,
		かなり,とても,非常に,
		〜かもしれない,〜だと思う,〜だろう。
	       \end{quote}
	       など,全部不可。
	 \item 主観にもとづく表現(人により判断が違う表現)は避ける
	       \begin{quote}
		×「〜がきれいだ」	\\	
		×「〜分かりやすくした」\\
		×「〜してしまう」	→ 「する」
	       \end{quote}
	       (〜してしまう,は自分にとって都合悪いという主観。
	       都合よいひともいるかもしれない)\\
	       「きれい」,「わかりやすい」と表現するのではなく,
	       被検者に判断させる実験を行ない,何パーセントの人がきれい
	       と判断したかの絶対量を記述する。筆者の主観で決めない。
	 \item 感情にもとづく表現も避ける\\
	       〜してほしい,〜してもらいたい
	 \item 丁寧語は使わない。「Aさん」とか「方々」などの敬称も使わな
	       い(論文の本文中のみ)。
	 \item 副詞/接続詞等はひらがなにする
	       \begin{quote}
		×「然し」	→ ○「しかし」\\
		×「出来る」	→ ○「できる」
	       \end{quote}
	 \item 助動詞の「〜おく」,「〜みる」,「〜いる」,「〜いう」は
	       ひらがなにする。\\
		×「やって置く」	→ ○「やっておく」\\
		×「書いて見る」	→ ○「書いてみる」\\
		×「そう言うこと」	→ ○「そういうこと」\\
		×「かも知れない」	→ ○「かもしれない」\\
		×「〜し易い」		→ ○「〜しやすい」
	 \item 動詞の「いう」は「言う」と漢字でもよい。
	       逆に言うと本動詞だけが漢字にしてよい。
	 \item 「私は」を主語にした文を書かない。
	       日記を書いてるのではない。「本研究では」とする。
	 \item どうしても「私」を主語にしないとおかしい文を書く必要が出た
	       ら,「われわれ」または「著者」,「筆者」を主語にし,脚註な
	       ど論旨と関係ない場所に記述する。
	 \item 省略語は,正式名称を最初に書いてから使う。
	例:\\
		「パーソナルコンピュータ(PC)は安い。PCで使えるUnixは………」\\
	「迷惑メイルのことをUBE(Unsolicited Bulk Email; 望まれない大量の
	電子メイル)という。本研究ではUBEの効果的な撃退を……」
	 \item 参考にした文書は必ず参考文献に入れる。
	 \item 参考文献は巻末にまとめて「著者,タイトル,発行所,発行年,
	       ページ」を一定の書式でまとめる\cite{SIST02}。
	 \item \LaTeX では \verb$\bibitem$ を bibliography 環境内に列挙する。
	 \item URLは \verb$\footnote{}$ でもよい。
	 \item \verb$\footnote{}$ は多用しない。1ページに1〜2個程度。
	 \item \verb$\footnote{}$ は該当する単語の直後につける。
	 \item 図や表は,ページの上か下にまとめる。文章の途中にいれない。
	 \item 「図:1」 という番号は図の下に,「表:2」という番号は表の上
	       につける。
	 \item 図表番号,章・節番号には \verb$\label{}$ を打ち,
	       参照するときはそのラベルで
	       \verb$\ref{...}$(番号の場合),\verb$\pageref{...}$(ページ
	       番号の場合)を使う。生の番号で参照しない。
	\end{itemize}


また,科学技術文特有のこととして以下の表記規則にも注意する。
	\begin{itemize}
	 \item カタカナ単語の最後に来る「ー」は省略する。\\
	       例:\\\nopagebreak
		×「サーバー」		→ ○「サーバ」\\
		×「コンピューター」	→ ○「コンピュータ」
	 \item 句点は「,」(全角カンマ),読点は「。」(マル)で。
	 \item 英数字は必ずASCIIで書く。
	\end{itemize}

\begin{thebibliography}{}
 \bibitem{SIST02} 科学技術振興機構. 参考文献の役割と書き方.
	 SIST 02/05/06 2007年版. 独立行政法人 科学技術振興機構. 2007年.
	 p.9-15
\end{thebibliography}
\end{document}