LibreOffice移行ロードマップ

山形県庁の Microsoft Office 復活ニュースが流れたが、実際には Microsoft のオープン性アピール広告記事で、本当のところはこれまで必要箇所に割り当てていた Microsoft Office(MSO)の更新と追加注文というだけのことで、OpenOffice.org (OOo)が引き続き県庁の「標準ソフト」という位置付けは変わらず、比率ではMSの 倍はあるとのことであった。

本学でもコンピュータ資源の受動的強制更新を余儀なくされる 「プロプライエタリ」なソフトウェアからの制約から外れ、 FLOSS(Free/Libre and Open Source Software)による自由な選択ができる道を選び、 それとともに地域の各機関を先導する立場へと転換していくことを目指す。

かつてこのような試みは前例がない状態で行なわれ、試行機関を十分にとるなど、 慎重に進められていた。現在では先行事例として、 会津若松市( オープンソース)、 山形県、 JA福岡市 などがあり、すでに一定の成果が示されていることから、ある意味うまく行く ことが自明な出来レースとも言える。しかしながら、 よい成果を上げるには起こりうるトラブルの事前把握が重要であることに 疑いはないので、慣らし期間を効果的に設定する必要がある。

本計画では以下のような流れを予定している。

  1. ワーキンググループ結成

    各部署から1名以上の代表者を選び、LO移行ワーキンググループを結成する。 メンバーおよび希望者のPCにLibreOffice(LO)とFirefoxを導入し大体の 操作性を把握する。
    (LibreOffice は MS Office2013よりむしろ2003に近い)

  2. MS強依存業務の抽出(1w)

    約一週間通常の業務をLOとFirefoxで行ない、発生する不都合を以下a, bの二段階に分類する。

    a:弱依存
    • レイアウトの崩れ・ページ境界ずれなどフォントや空白の 調整ですむもの
    • 線の種類や模様などが不足するが別の種類で代用の利くもの
    • 操作手順などが大きく違って戸惑ったもの
    b:強依存
    • 字が化けて読めないなど原型を留めないほど違うもの
    • Office以外の専用アプリケーションと連動するもの
    • 外部私的機関により特定のOfficeバージョン提出を 求められているもの
      (公的機関であればそれを是正する呼び掛けをしていく)
  3. 依存緩和学習会(おおむね3w以内)

    強依存を弱依存に、弱依存を解消する技術を ワーキングループメンバー間で学ぶ。 会津若松市、JA福岡市が出している文書を参考にすることで、 大部分が解決できるはずだが、そうでないものを絞り込む。

  4. 書類作成ルール見直し

    強依存で残ったものについて、その書類・作業形態が 本来の目的達成にとっての必然なのかを吟味し、 変えられるものはより単純な形式に変更する。

  5. 構造文書学習会(春期休業期間)

    LOの使い方を全員で学ぶ。ただし、MSO での操作の置き換えを覚えるのではなく、 構造を意識した文書の作り方、 効率を重視したデータの作り方の要点を理解したうえでの操作方法を学ぶ。

  6. 併用期間(Windows8の次が出る頃まで)

    各自のPCにMSOとLOを両方インストールし、以下のポリシーで使い分ける。

    このポリシーは緩いものから始めて、段階的にLOの比重を上げていく。 この段階でもMSOの強依存が残る作業は、各部署に1台程度の変換専用PCを決 めてそれで行なう。

  7. 完成期

    最後に残った強依存作業を遂行するため、Microsoft Office 2013 の導入を、概ね課ごとに1ライセンスとして計画する。 同時に、Windows7のサポート終了後にも使えるバージョン(おそらく Windows8の次)の導入も併せて行なう。

    また、それまでの活動の記録をまとめ公に発信するとともに、 大学が地域のFLOSS移行アドバイザーとして機能するよう窓口を整備する。

  8. 超越期

    MSO非依存になったPCについて、次期計画の「OSのFLOSS化」を進める。

  9. 理想期

    MS強依存PC以外はハードウェアの寿命まで安心して利用できる状態ならびに、 ソフトウェアライセンス更新の時期や費用の心配とは無縁の運用が続く。

yuuji@koeki-u.ac.jp