1

鳥海葵はあの3人の中で歌やダンスの能力は劣ってはいない。
しかしネガティブな性格ゆえそれらが控えめになってしまい、
彼女の本当の力が発揮できていないように見える。
そんなことを考えていると、ステージ裏の簡易控え室の扉がゆっくりと開かれ葵が戻ってきた。

2

「初めてのライブお疲れ様。飲み物とか用意してあるから次のライブまで休憩しようか」
「あ、ありがとうございます」

3

飲み物とタオルを手渡しながら葵の様子を伺う。
葵の顔からは疲労と、なにより後悔していることが見て取れた。

4

「ライブ、どうだった?」
「緊張しました。それで、練習の時より声とか小さくなっちゃって…」
そう言うと顔を俯かせた。
飲み物の入った容器を持つ手に力が入り、体が小刻みに震え出す。
そんな彼女の手に自身の手を重ね落ち着かせるように言う。

5

「直さなければいけないところがわかっているなら大丈夫だよ。次は今回よりもいいものにしていこう」
葵は俯かせた顔を少しばかり上げて言った。

6

「はい、プロデューサー」
小さく頼りない声だったが、彼女とならこのライブフェスで優勝を目指していけると思った。