diff --git a/paper/c121119-2023-R.pdf b/paper/c121119-2023-R.pdf index 5ccf773..8c7df68 100644 --- a/paper/c121119-2023-R.pdf +++ b/paper/c121119-2023-R.pdf Binary files differ diff --git a/paper/c121119-thesis.pdf b/paper/c121119-thesis.pdf index 2331760..fbfbc06 100644 --- a/paper/c121119-thesis.pdf +++ b/paper/c121119-thesis.pdf Binary files differ diff --git a/paper/c121119-thesis.tex b/paper/c121119-thesis.tex new file mode 100644 index 0000000..33dfb93 --- /dev/null +++ b/paper/c121119-thesis.tex @@ -0,0 +1,225 @@ +%#!platex -kanji=%k +%#DVIPDF dvipdfmx -f ipa.map +\AtBeginDvi{\special{pdf:mapfile ptex-ipa.map}} +\documentclass{jsbook} +%\pagestyle{empty} +\usepackage[dvipdfmx]{graphicx} +%\usepackage{listings, jlisting} +%\usepackage[sectionbib]{chapterbib} +\usepackage{ascmac} +\usepackage{tabularx} +\newcolumntype{Y}{>{\centering\arraybackslash}X} +\usepackage{geometry} +\usepackage{url} % 文中にURLを書くときは \url{} で括る +\geometry{textwidth=160mm, textheight=225mm} +\renewcommand{\bibname}{参考文献} + +\title{やさしい日本語を用いたWebハザードマップ作成の提案} +\author{広瀬研究室3年 \\C121119A 讃岐春香} +\date {令和5年11月21日} + +\begin{document} +\maketitle +\begin{center} + {\bfseries 概要} +\end{center} +やさしい日本語とは,普通の日本語よりも簡単で外国人にもわかりやすい日本語である。現在やさしい日本語の普及活動が積極的に行われているが,やさしい日本語を用いたWebハザードマップは存在しない。そこで本研究では,在住外国人などより多くの人がハザードマップを利用することができるよう, Leafletを使用してやさしい日本語を用いたWebハザードマップを作成し,提案する。 +\tableofcontents +\chapter{はじめに} +やさしい日本語は,阪神・淡路大震災後に考え出された普通の日本語より簡単で外国人にもわかりやすい日本語である。現在日本ではやさしい日本語の普及活動が積極的に行われており,福井県福井市による『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』\cite{hukuishi}などやさしい日本語を用いたハザードマップも作られている。しかし,現時点ではやさしい日本語を用いたWebハザードマップは存在しない。そこで本研究では,在住外国人などより多くの人がハザードマップを利用することができるよう,やさしい日本語を用いたWebハザードマップを作成し提案する。 + +\section{背景} +やさしい日本語とは,普通の日本語よりも簡単で,外国人にもわかりやすい日本語のことである。1995年1月の阪神・淡路大震災では,日本にいた多くの外国人も被害を受け,その中には日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない人もいた。そうした人たちが災害発生時に適切な行動をとれるようにやさしい日本語が考え出された\cite{tokyo}。 + +2022年の文化庁による「令和3年度各地域における日本語教育に関する取組について【回答一覧】」(図 \ref{figure:image1})において,都道府県・政令指定都市(全67自治体)において「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を活用している自治体は44自治体,独自のガイドラインを作成し活用している自治体は12自治体である。また,やさしい日本語の研修やセミナーの開催,防災などのお知らせのやさしい日本語による発信,ホームページのやさしい日本語化などのやさしい日本語の取組を実施している都道府県・政令市は61事例に及んでいる。このことから,現在やさしい日本語の普及活動が積極的に行われているということができる\cite{kisochosa}。 +\begin{figure}[htb] + \centering + \includegraphics[width=12cm]{image1.png} + \caption{令和3年度各地域における日本語教育に関する取組について【回答一覧】\cite{kisochosa}} + \label{figure:image1} +\end{figure} + +多言語への対応ではなくやさしい日本語を用いる理由としては,外国人を対象として行った国立国語研究所の2009年の調査において,日常生活に困らない言語として61.7\%の人が日本語を,36.2\%の人が英語を挙げており在住外国人の多くが理解できる言語であること\cite{kokugo},松田らの2000年の調査において,日本語能力が初級後半から中級前半程度の外国人の通常のニュースの理解率は30\%程度であるが,やさしい日本語を用いると90\%以上に高まることの2点があり,やさしい日本語での防災情報発信が重要である\cite{jyouhou}。 + +酒田市においては,ハザードマップ・Webハザードマップの地名・災害種別や説明等にふりがながふられておらず漢字によって表記されており,やさしい日本語が用いられていない。 + +以上より,やさしい日本語を用いたWebハザードマップの作成を提案する。 +\section{目的} +本研究ではやさしい日本語を用いたWebハザードマップを作成し,在住外国人などより多くの人にハザードマップを利用してもらうことを目標とする。このハザードマップを作成することによって,より多くの人が災害に対する危機意識を持ち,災害時に安全に,速やかに避難することができるのではないかと考える。 + +\chapter{先行事例と類似サービス} +現在公開されている現在公開されているやさしい日本語普及のためのガイドライン,位置情報を利用したWebハザードマップのサービス,やさしい日本語を用いたハザードマップの一例を以下に挙げる。 +\section{やさしい日本語の先行事例} +\subsection{文化庁による『在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン』} +文化庁による「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」\cite{bunka}は書き言葉に焦点を当てたガイドラインであり,国や地方公共団体,学校,企業がお知らせなどの情報を作るときに,やさしい日本語を用いて在留外国人にも情報がしっかりと届くことを目指して作られた。このガイドラインでは,在留支援のためのやさしい日本語の作り方のポイントや利用することができる書き換えツールについて紹介されている。 +\subsection{静岡県庁による『「やさしい日本語」の手引き』} +静岡県庁による『「やさしい日本語」の手引き』\cite{sizuoka}では,やさしい日本語の説明,やさしい日本語の作り方,活用事例等が示されており,やさしい日本語を使用することを推奨している。 +\section{類似サービス} +\subsection{国土地理院による「重ねるハザードマップ」} +国土地理院の重ねるハザードマップ\cite{tiriin}は,災害リスク情報や防災に役立つ情報を全国どこでも重ねて閲覧できるWeb地図サイトである。住所・現在地,地図,災害の種類から災害リスク情報や防災情報を検索することができる。災害種別を追加選択することにより重ねて表示することができ,詳細を確認したい場所をクリックすることでその場所の災害リスク情報が表示される。また,避難場所のアイコンをクリックすると,避難場所名と対応している災害種別が表示される。 +\section{やさしい日本語を用いたハザードマップの先行事例} +\subsection{福井県福井市による『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』} +福井県福井市による『やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップ』\cite{hukuishi}では,地名や災害種別にふりがなが振られており,やさしい日本語を用いた防災情報も掲載している。 +\section{課題点} +先行事例・類似サービスにおいて,やさしい日本語を用いたハザードマップ,位置情報を利用した災害種別ごとに切り替えられるWebハザードマップは存在するが,双方の要素を組み合わせた在住外国人等へ向けたやさしい日本語を用いたWebハザードマップが存在しないことが課題として挙げられる。 + +\chapter{システム概要} +課題点を踏まえ,本システムでは位置情報を用い,災害種別ごとに切り替えて表示することができるハザードマップの提案をする。また, 防災情報や防災用語の解説等はやさしい日本語で表記する。 + +\section{使用する要素} + +(システム図入れる) + +\begin{table} +\centering +\begin{tabular}{|c|c|} +\hline + コンポーネント & バージョン\\ +\hline + HTML & HTML Living Standard\cite{html}\\ + CSS & CSS3\cite{css}\\ + JavaScript & ECMAScript 2023\cite{javascript}\\ + Leaflet & Leaflet 1.9.4\cite{leaflet}\\ +\hline +\end{tabular} +\caption{使用するプログラミング言語,ライブラリ} +\end{table} + +\section{システムの概要} +本システムの主な機能は,災害種別ごとに切り替えてハザードマップを表示し,位置情報を用いて現在地の周囲の防災情報を確認することができることである。住所の検索も可能である。また,防災情報や防災用語の解説等はやさしい日本語で表記する。災害種別として,現在は洪水浸水想定区域,浸水継続時間,高潮浸水想定区域,津波浸水想定,土砂災害警戒区域(土石流),土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊),土砂災害警戒区域(地すべり)の7つから選んで表示することができる。 + +\begin{figure}[htb] + \centering + \includegraphics[width=14cm]{hazardmap1.png} + \caption{作成したハザードマップ} + \label{figure:image2} +\end{figure} + +\section{マップの設計} +背景地図として国土交通省国土地理院が提供している標準地図\cite{hyoujyunchizu}を用い,同じく国土交通省が提供している洪水浸水想定区域,浸水継続時間,高潮浸水想定区域,津波浸水想定,土砂災害警戒区域(土石流),土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊),土砂災害警戒区域(地すべり)の7つのデータ\cite{data}(図 \ref{figure:image3})を取り込んで背景地図にレイヤとして重ねて表示できるようにする。(図 \ref{figure:image2})標準地図等の地理院タイルやハザードマップポータルサイトにおいて提供されているデータは,誰でも出典の明示のみで利用することができる。 + +\begin{itembox}[l]{main.js} +\footnotesize +\begin{verbatim} +let lat = 38.893287205438; //緯度 +let lng = 139.81894002325; // 経度 +let zoom = 15; // ズームレベル + +var map = L.map("map"); +map.setView([lat, lng], zoom); // 緯度経度、ズームレベルを設定する + +// タイルレイヤを生成し、地図に追加する +// 国土地理院の標準地図を表示する +var tizu = new L.tileLayer('https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/{z}/{x}/{y}.png', +{ +attribution: '© +国土地理院 contributors' +}).addTo(map); + +var Overlay_Map = []; + +Overlay_Map[1] = L.tileLayer('https://disaportaldata.gsi.go.jp/raster/01_flood_l2_shinsuishin_data/ +{z}/{x}/{y}.png', +{  +opacity: 0.5, maxNativeZoom: 17, attribution: '国土地理院:洪水浸水想定区域(想定最大規模)' +}); + +(省略) + +var overlay = { + 'ハザードマップ 洪水浸水想定区域': Overlay_Map[1], + 'ハザードマップ 浸水継続時間': Overlay_Map[2], + 'ハザードマップ 高潮浸水想定区域': Overlay_Map[3], + 'ハザードマップ 津波浸水想定': Overlay_Map[4], + 'ハザードマップ 土石流': Overlay_Map[5], + 'ハザードマップ 急傾斜地の崩壊': Overlay_Map[6], + 'ハザードマップ 地すべり': Overlay_Map[7] +}; + +L.control.layers(overlay).addTo(map); +\end{verbatim} +\end{itembox} + +\begin{figure}[htb] + \centering + \includegraphics[width=12cm]{layer2.png} + \caption{レイヤの詳細} + \label{figure:image3} +\end{figure} + + +片仮名や漢字が用いられている部分には,マウスオーバー時にやさしい日本語での説明が出るようにしている(図 \ref{figure:image4})。 + +\begin{figure}[htb] + \centering + \includegraphics[width=14cm]{hazardmap2.png} + \caption{やさしい日本語を用いた説明} + \label{figure:image4} +\end{figure} + +また,ハザードマップからやさしい日本語を用いた防災マニュアルである『防災の本』(図\ref{figure:image5})や国土交通省観光庁が監修する訪日外国人向けの災害時情報アプリであるsafety tips\cite{safetytips}のWebサイトへアクセスできるようになっている。 + +\begin{figure}[htb] + \centering + \includegraphics[height=12cm]{hazardmanual2.png} + \caption{やさしい日本語を用いた防災マニュアル} + \label{figure:image5} +\end{figure} + +\chapter{結論} +\section{結論} + +\section{今後の展望} +住民が地域の防災情報を入力できる入力フォームの実装により情報を収集し,坂道・段差・道の細さなど,災害時に避難するときに役立つ地域に即した詳しい情報を見ることができる機能を加えること, やさしい日本語を用いて文字数が多くなっても見やすいように情報を簡略化することを通し,システムの改良を行っていく。また,ハザードマップへ誘導するためのシチュエーションに応じた前置きの作成を検討している。 + +\begin{thebibliography}{} +\bibitem{hukuishi} + 福井市建設部河川課. ``やさしい日本語版 洪水・土砂災害ハザードマップのダウンロードについて''. 福井市役所ホームページ. 2022. \url{https://www.city.fukui.lg.jp/kurasi/koutu/kasen/p024169.html}, (参照 2023-10-31). +\bibitem{tokyo} + 東京都オリンピック・パラリンピック準備局. ``「やさしい日本語」について''. 東京オリンピック・パラリンピック準備局. + \url{https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/multilingual/references/easyjpn.html}, (参照 2023-05-28). +\bibitem{kisochosa} + 文化庁. ``令和3年度各地域における日本語教育に関する取組について【回答一覧】(令和4年1月時点)''. 文化庁ホームページ. 2022. \url{https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/todofuken_renrakukaigi/pdf/93785401_01.pdf}, (参照 2023-09-12). +\bibitem{kokugo} + 国立国語研究所. ``「生活のための日本語:全国調査」結果報告 速報版''. 国立国語研究所. 2009. + \url{https://www2.ninjal.ac.jp/past-projects/nihongo-syllabus/research/pdf/seika_sokuhou.pdf}, (参照 2023-05-28). +\bibitem{jyouhou} +松田陽子, 前田理佳子, 佐藤和之. ``災害時の外国人に対する情報提供のための日本語表現とその有効性に関する試論''. 日本語科学, 2000, 7, 145-159. +\bibitem{bunka} + 文化庁. ``在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン''. 文化庁. 2020. + \url{https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/92484001_01.pdf}, (参照 2023-05-29). +\bibitem{sizuoka} + 静岡県庁. ``「やさしい日本語」の手引き''. 静岡県庁. 2018. \url{https://www.moj.go.jp/isa/content/930005563.pdf}, (参照 2023-10-31). +\bibitem{tiriin} + 国土地理院. ``重ねるハザードマップ''. 国土地理院. \url{https://disaportal.gsi.go.jp/maps/}, (参照 2023-05-30). +\bibitem{html} +WHARWG. ``HTML''. HTML. \url{https://html.spec.whatwg.org/multipage/}, (参照 2023-11-21). +\bibitem{css} +World Wide Web Consortium. ``CSS とは何か''. W3C. \url{https://www.w3.org/TR/css3-namespace/}, (参照 2023-11-21). +\bibitem{javascript} +MDN. ``JavaScript の基本''. MDN. \url{https://developer.mozilla.org/ja/docs/Learn/Getting_started_with_the_web/JavaScript_basics}, (参照 2023-11-21). +\bibitem{leaflet} +Volodymyr Agafonkin. ``Leaflet''. Leaflet. \url{https://leafletjs.com/}, (参照 2023-11-21). +\bibitem{hyoujyunchizu} +国土交通省国土地理院. ``地理院タイル一覧''. 国土交通省国土地理院. \url{https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html}, (参照 2023-11-21). +\bibitem{data} +国土交通省 水管理・国土保全局 防災課, 国土地理院 応用地理部 地理情報処理課. ``オープンデータ配信''. ハザードマップポータルサイト. \url{https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmapportal/hazardmap/copyright/opendata.html}, (参照 2023-11-21). +\bibitem{kouzi} +国土交通省. ``洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ''. 国土交通省. +\url{https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/tisiki/syozaiti/}, (参照 2023-12-5). +\bibitem{shinsuisoutei} +国土交通省. ``浸水継続時間''. 国土交通省. +\url{https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001330092.pdf}, (参照 2023-12-5). +\bibitem{takashio} +国土交通省. ``高潮浸水想定区域図作成の手引き Ver.2.11''. 国土交通省. +\url{https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kaigan/takashioshinsui_manual.pdf}, (参照 2023-12-5). +\bibitem{tsunami} +国土交通省. ``津波浸水想定の設定の手引き Ver.2.11''. 国土交通省. +\url{https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kaigan/tsunamishinsui_manual.pdf}, (参照 2023-12-5). +\bibitem{tsunami} +国土交通省. ``土砂災害防止法の概要''. 国土交通省. +\url{https://www.mlit.go.jp/river/sabo/tokushu_dosha/tokushu_dosha1_sanko2.pdf}, (参照 2023-12-5). +\bibitem{safetytips} +国土交通省観光庁. ``災害時情報提供アプリ「Safety tips」の対応言語を14か国語に拡大''. 国土交通省観光庁. 2020. \url{https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000325.html}, (参照 2023-10-31). +\end{thebibliography} +\end{document}