%#!platex -kanji=%k %#DVIPDF dvipdfmx -f ipa.map \documentclass{jsbook} %\pagestyle{empty} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} %\usepackage{listings, jlisting} %\usepackage[sectionbib]{chapterbib} \usepackage{float} \usepackage{ascmac} \usepackage[twoside,inner=30truemm,outer=20truemm]{geometry} \usepackage{url} % 文中にURLを書くときは \url{} で括る \usepackage {subfigmat} \geometry{textwidth=160mm, textheight=225mm} \setcounter{tocdepth}{3} % subsectionが目次に出ないとき用 [3]はsubsubまでってこと \renewcommand{\bibname}{参考文献} \title{位置情報システムを活用した\\安否・避難確認システムの提案} \author{広瀬研究室\\C1200713 鎌上朝妃} \date{令和6年1月11日} \begin{document} \maketitle \begin{center} {\bfseries 概要} \end{center} %% 概要 %% 自然災害とは暴風,豪雨,洪水,高潮,地震,津波,噴火,その他の異常な自然現象により生じる被害のことである。 近年,日本では自然災害が多く発生している。それは,日本が自然災害を受けやすい条件が揃っているからである。 洪水・土砂災害は,世界の主要河川と比べると日本の河川は標高に対し河口からの距離が短く急勾配で降った雨が山から海へ一気に流れるため,洪水や土砂災害が発生する。 また,地震・火山活動は環太平洋変動帯に位置していることから地震の発生回数は世界の18.5%と高い割合を占めている。 これらの条件により豪雨災害の危険を及ぼす大雨の発生頻度が増加していると共に土砂災害発生回数も増加傾向にある。 また,今後30年以内の南海トラフ地震(マグニチュード8~9クラス)の発生率は70~80%,相模トラフ沿いのプレートの沈みに伴うマグニチュード7程度の地震の発生確率は70%程度とされている。 そのため,東日本大震災よりも広範囲であることから今後の自然災害で被害や犠牲者が多く出ると考えられる。 過去の自然被害では地震,台風,大雨の死亡・行方不明者が多く見られ,被害にあった年齢層は高齢者に集中している。 原因は逃げ遅れによるもので避難判断に必要な情報伝達の不足や避難先の環境への不安が挙げられる。 そして,オンライン化の進展によりハザードマップがスマートフォン等で参照できるようになっているため認知度と内容理解が低いのが現状である。 初心者でも操作しやすいシステム作成と理解できないという問題の解決を目指す。(642文字) \tableofcontents \chapter{はじめに} 本章では研究を行っていく上での背景や目的について説明する。 \section{背景} 近年,日本では自然災害\footnote[1]{自然災害とは,暴風,豪雨,雪,水,高潮,地震,津波,火その他の異常な自然現象により生じる被害のことである。} が多く発生している。それは日本が自然災害を受けやすい条件が揃っているからである。 洪水・土砂災害は,全国土7割が山地・丘陵地であり、地形の他に地質,気象等の面で極めて厳しい条件が洪水・土砂災害の要因となっている。 世界の主要河川と比べると日本の河川は標高に対し河口からの距離が短く急勾配で降った雨は山から海へ一気に流れるため,洪水や土砂災害が発生する。 その中には山形県の最上川も該当している。 一方,地震・火山活動は活発な環太平洋変動帯に位置しているため,日本の国土面積は世界と比べると小さい面積だが,地震の発生回数は世界の18.5%と高い割合を占めている。 また,日本は世界にある約1,500の活火山のうち,その約1割が日本の活火山であるため,世界有数の火山国といわれている\cite{koku}。 \mbox{}\\ これらの条件から豪雨災害の危険を及ぼす大雨の発生頻度が図\ref{fig:saigai}のように大幅に増加しており,それに伴い土砂災害発生回数も増加傾向にある。 また,地震調査研究本部地震調査委員会の予測によると,今後30年以内の南海トラフ地震(マグニチュード8~9クラス)の発生率は70~80%,相模トラフ沿いのプレートの沈みに伴うマグニチュード7程度の地震の発生確率は70%程度とされている\cite{soumu}。 南海トラフ地震は,静岡県から宮崎県にかけて一部で震度7になる可能性と隣接する周辺の広い地域では震度6強~6弱の強い揺れになると想定されている\cite{nankai}。 南海トラフ地震は,2011年に発生した東日本大震災よりも広範囲であることから今後も自然災害での被害や犠牲者が多く出ると考えることができる。\mbox{}\\ 実際に大きな被害があった過去の自然災害を見てみると地震,台風,大雨の死亡・行方不明者の多さが見られ,被災にあった年齢層で見ると高齢者に死亡・行方不明者が最も多くみられている。 その原因は逃げ遅れによるものである。 東日本大震災では多くの人が津波に流され,岩手県,宮城県,福島県での死亡者数は60歳以上が66%を占めており, 平成30年に起きた7月豪雨では,被害が大きかった愛媛県,岡山県,広島県の死亡者数は60代以上が約70%を占め,岡山県倉敷市真備地区での死亡者数は70歳以上で約80%を占めている\cite{koku2}。 このことから,自然災害での逃げ遅れにより亡くなってしまう人達が多いことがわかる。逃げ遅れの主要因として,避難判断に必要な情報伝達の不足や避難先の環境への不安が挙げられる。 さらにオンライン化の進展により,スマートフォン等によるハザードマップが参照できるようになっているが市民の認知度は低く,専門的で難解な情報も多いため,自宅や滞在場所にどのように影響するのかわからないなど内容理解が進んでいないのも現状である。そのため,図\ref{fig:youbou}の防災に関する自治体への要望でもハザードマップの詳細な説明,解説が多いことが分かる。 これらの背景を踏まえ,情報伝達の不足や避難先の環境への不安が軽減され,避難に対する姿勢も変わり,少しでも死亡・行方不明者が減るのではないかと考える。 \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio, width=7cm]{gazou/saigai.png} \caption{平成26年以降に発生した主な災害}\cite{soumu} \label{fig:saigai} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio, width=7cm]{gazou/youbou.png} \caption{防災に関する自治体への要望}\cite{moba} \label{fig:youbou} \end{figure} \section{目的} 位置情報システムを用いた安否・避難確認システム提案を通し,逃げ遅れの原因である避難判断に必要な情報伝達の不足の知識を身につけ,自然災害に対する情報の理解を深め,被害を少しでも減らすことを目的とする。 また,複雑な操作がなく初心者でも容易に操作ができる安否・避難確認システムの作成とパソコン・スマートフォン等で確認できるハザードマップを解読ができ,見やすいシステム作成を目指す。 \chapter{先行研究と類似サービス} 本章では,システムを作成するにあたり,位置情報システムを利用したシステム作成とハザードマップについて記述している事例を取り上げる。 \section{先行研究} \subsection{津波防災学習用位置情報ゲーム} 三好らは,防災マップを見る住民が少ないため小規模な避難場所に殺到するなど,避難失敗に繋がりかねない状況になることを問題とした。そのため,迅速かつ適切に津波から避難するには,地域の防災マップを見て,避難場所の位置と収容人数を知っておくことが重要であるとした。問題の解決策として,実際に津波避難場所の訪問・観察をすることで場所と収容人数を効率よく記憶させることができる。三好らの研究では,GPSを用いた位置情報ゲームに着目し,楽しみながら実際に津波避難場所を訪れて観察し,気象庁が発表する警報・危険報に応じてプレイを制限して安全性を確保する津波防災学習用アプリ“めぐるRun”を試作し評価実験を行った。\mbox{}\\ その結果,学習者に津波避難場所の訪問・観察を促し,場所と収容人数を効率よく記憶させることが示唆された。また,学習者が安全に津波防災学習を行えることが期待されるとした。一方で歩きスマホや交通事故を防ぐ機能が必要であるとした\cite{tunami}。 \subsection{位置情報の取得ができるリアルタイム災害情報マップ} 飯塚らは,被災経験者からは災害直後に情報を得るのは難しく,東日本大震災においては,「災害直後は自分の目の前の事以外わからない。歩いて少しの距離のところの情報も入らない」ことを問題とした。問題の解決策として,施設内にいる人同士が情報を伝え合い,避難などのために有効な情報を交換することが有効ではないかとした。 飯塚らの研究では,PlaceEngine\footnote[1]{\url{http://www.placeengine.com/show/about/},(参照2024-02-03).} を用いた位置情報取得を可能としたリアルタイム災害情報マップシステムを作成し,実験で想定したケースの妥当性や操作性などを確認するために予備実験を行った。\mbox{}\\ その結果,「実際に避難する情報を探すとアイコンが重なって情報が見づらい」といった機能面の検討事項が見つかった。また,システム利用者が投稿した情報以外にも,一般的に避難の際に避けた方がよいとされている情報についても必要に応じて掲載しておくということも検討課題であるとした\cite{saigai}。 \subsection{洪水及び土砂災害ハザードマップを対象としたハザードマップのデザイン性の研究} 前林らは,地震や風水害などの災害に見舞われていることから災害時に備えた対策を検討する上でハザードや避難場所等の情報が地域別にまとめられたハザードマップを活用することがこれまで以上に求められると言っている。しかし,ハザードマップは基礎自治体である市町村が作成し,住民を対象とし情報発進しているため,地図表現方法が自治体によって異なるということが問題であった。前林らの研究では,ハザードマップの地図面における視覚的な地図表現に着目し,視覚的な地図表現がどの程度統一されているのかを検証した。さらに,地図面の表現について,デザイン性の視点を考慮することの意義について整理し,既存のハザードマップを対象とし,デザイン性を考慮した類型化を試みた。\mbox{}\\ ハザードマップは引っ越してくる者,旅行者,様々な人が見るものとして作成,共有されている。それぞれの市町において,直面しているハザード,基礎となるハザード情報,そのハザード情報に関する図,地図記号,避難記号といったものは統一すること,つまり「地図表現の標準化」が必要であるとした。地図上に独自の表記をするのではなく,地図学や国の基準に準拠し「地図表現の標準化」を行うことで普遍性を備えつつ,各市町が住民の属性や活用の場面に応じて独自の工夫を施した地域性に根差したハザードマップが作成されることが望ましいと考えている。前林らの研究では,基礎自治体が作成した洪水ハザー ドマップについてデザイン性を考慮し,分析をしたうえで地震や津波などのハザードを含めた,基礎自治体が直面しているハザードや人口などの規模を考慮した分析手法,住民への伝達の容易さなどの発展的な内容は,今後の課題とした\cite{haza}。 \section{類似サービス} \subsection{ココダヨ} ココダヨは,2~8人のグループで使用でき,緊急時に登録メンバー間で安否や位置情報を即座に共有できるアプリである。 メニュー欄の災害・警報を開くと4つの種類があり,地震警報,大雨危険度は無料で使うことができる。 災害の他にも登録地点からの気象情報や不審者情報,子供と高齢者の見守りといったシステムもある。 また,災害警報に連動して自動でグループメンバーの位置情報を共有し安否確認をサポートしている。\cite{coco} しかし,アプリを利用するには無料では利用できずプランやグループ定員数によって金額が変動し, プランによってアプリ内に入っているシステムを見ることができないのが課題点である。 \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/kokodayo.jpg} \caption{ココダヨのホーム画面と安否確認画面} \label{fig:kokodayo} \end{figure} \subsection{酒田市ハザードマップ} 酒田市のハザードマップは,酒田市のホームページに飛び,避難所の情報や種別ごとのハザードマップがファイル形式で見られるようになっている\cite{sakata}。 また,紙媒体が酒田市内に配布されている。 しかし,紙媒体のハザードマップであれば追加や訂正した情報に差し替えることができないため, 最新の状態で確認できるWebが確実である。 また,Webで確かめる際に各地区ごとファイル形式になっているため見返すときに時間がかかり不便に感じるのが課題点である。 \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=8cm]{gazou/maplink.png} \caption{酒田市ホームページにあるハザードマップ} \label{fig:mplink} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=10cm]{gazou/sakatamap.png} \caption{リンクから開いたハザードマップ} \label{fig:hazard} \end{figure} \chapter{システム提案} 本章では第2章の内容をもとに本研究において提案するシステムについて示す。 \section{先行研究と類似サービスの課題点を踏まえた改善点} 関連研究では,スマホを操作するうえで歩きスマホ・交通事故を防ぐ機能の導入をする必要があるという課題が挙げられた。また,避難する情報を探すとアイコンが重なり情報が見づらくなることやシステム利用者が投稿した情報以外にも,一般的に避難の際に避けた方がよいとされている情報について必要に応じて掲載しておくという課題が挙げられた。 類似サービスであげたココダヨでは,有料のシステムでできているため利用できる範囲が限られているため利用しにくくなっている。また,酒田市のハザードマップは,紙媒体での確認が主であり,Webではファイル形式になっているため確認する時に見返すだけでも時間がかかりストレスを感じ不便に感じてしまうという課題点が挙げられる。 これらの課題点を踏まえ,本研究ではシステム作成にあたり無料でシステムの利用,一つのページで操作と確認ができるハザードマップを作成することで関連研究の課題解決をすることのではないかと考えられる。 \section{本研究での提案} 本研究では,位置情報システムを用いて無料で利用できる安否・避難確認とハザードマップを一つのページで操作と確認ができるシステム提案をする。 \section{位置情報システム} 位置情報システムは「利用者の位置(場所)をふまえて,必要な情報をやり取りしながら,活用する仕組み」のことであり,この位置情報システムをプラットフォームとして,さまざまな情報サービスが提案されている。このことを位置情報サービス(LBS:Location-Based Service)と呼んでいる\cite{iti}。 位置情報データの取得方法は地球全体をカバーしている人工衛星を用いる方法や広域で利用可能な無線LANを用いる方法があり,例としてGPS,GNSS\footnote[1]{GNSSとは,別名汎地球測位航法衛星システムであり,衛星を用いた測位システムの総称である。\cite{gn}。},Wi-Fiアクセスポイント,基地局等がある。 位置情報の歴史は旧ソ連の冷戦時代から始まりとされている。旧ソ連の戦闘機によってミサイル攻撃を受け墜落した事件をきっかけに船舶や飛行機の安全について位置情報を用いて管理するようになった。そこで開発されたのが人工衛星を利用した測位システムのGPSである。旧ソ連との冷戦時代,米国は航空機や船舶の位置情報をリアルタイムに正確に把握する必要があった。そこで1973年に米空軍と海軍が協力して開発に着手した。 \chapter{システム開発} 本章では,システム開発の内容について記述する。 \section{使用技術・開発環境} システムで使用する技術を示す。 \begin{itemize} \item HTML Living Standard \item CSS3 \item JavaScript ECMAScript2023 \mbox{}\\ JavaScriptは,主にウェブブラウザの中で動きプログラミング言語である。 ウェブサイトで操作をすると表示が書き終わることやウェブサイトのサーバーと通信しデータを取得する等ウェブサイトには欠かせないプログラミング言語である。 また,ウェブブラウザだけでなくデスクトップアプリ,スマートフォンアプリにも使って動かせるため幅広い環境で動いているプログラミング言語である\cite{js}。 \item SQlite 3.45.1 \mbox{}\\ SQliteは,サーバとして動作させるのではなく単独のアプリケーションとして動作させることが可能であり,SQliteを使ってデータベースやテーブルの作成,データの追加,データの取得をすることができる。また,インストールも簡単でコンパクトなため,アプリケーションと一緒に配布するといった利用も数多くされている\cite{sq}。 \item Leaflet 1.9.4 \mbox{}\\ Leafletは,モバイル対応のインタラクティブマップ用の主要なオープンソースJavaScriptライブラリである。 シンプルさ,パフォーマンス,使いやすさを念頭に置き開発されている。 WEB地図の作成のためのオープンソースJavaScriptライブラリである。 使用例はspanやdivなどのHTML要素にLeafletのmapオブジェクトをバインドし,mapオブジェクトにレイヤ―やマーカーを追加することができるシステムである \cite{leaf}。 \item QGIS 3.32.0 \mbox{}\\ QGISは,地理空間情報データの閲覧,編集分析機能を有するクロスプラットフォームのオープンソースソフトウェア・GISソフトであり,無料でありながら,有料・高額なGISソフトに近い機能・操作性を備えており,機能の追加も無料のプラグインで行うことができる\cite{qg}。 \end{itemize} \section{安否・避難確認システム} ここでは安否・避難確認システムについて説明する。 \subsection{安否・避難確認システムの概要} 本システムは,HTML・CSS・JavaScript・Leaflet・SQliteを使用してシステムを作成していく。 Leafletはマップの作成させるのに使用し,HTML・CSS・JavaScriptでwebページの形やデザイン,ウェブ上で動く部分に使用する。 \subsection{位置情報の設定} 位置情報の設定は,ログイン画面の下にある「はじめて利用する人」をクリックし,新規の情報を登録する。 クリックすると登録の入力画面が表示されるので表示されている通りに入力していく。 入力後「登録」を押すと最初のログイン画面に飛ぶことができる。 ログイン画面に飛ばなかった場合は入力内容にエラーがある可能性があり,エラーがあると上にアラームが表示されるためエラー部分を修正してから登録をする。 \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/touroku.png} \caption{安否・避難確認システムの情報登録画面} \label{fig:touroku} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/login.png} \caption{安否・避難確認システムのログイン画面} \label{fig:login} \end{figure} \subsection{登録先} \begin{itembox}[l]{データベース} CREATE TABLE Users( //テーブル作成 \mbox{}\\ id text primary key, \mbox{}\\ name text, \mbox{}\\ age text, \mbox{}\\ lat text, \mbox{}\\ lng text, \mbox{}\\ mail text, \mbox{}\\ password text, \mbox{}\\ name text, \mbox{}\\ ); \end{itembox} \subsection{位置情報の設定後} 位置情報の登録後,ログイン画面が出てくるので登録したメールアドレスとパスワードを入力しログインをする。 ログインをすると登録した位置情報の所にマークが表示されている状態でページが表示される。 その後は,ボタン選択で安否確認ができるため,その状況によって安否や避難の状態の報告をすることができる。 \subsection{画面のマップ表示} \begin{itembox}[l]{マップ表示} \end{itembox} \subsection{位置情報の取得} \begin{itembox}[l]{位置情報取得} \end{itembox} \begin{figure} \includegraphics[width=1\textwidth]{gazou/gainen.pdf} \caption{システム概念図} \end{figure} \section{ハザードマップ} ここではハザードマップのシステムについて説明する。 \subsection{ハザードマップの概要} ハザードマップは,もし災害が起きた時自分の身を守るためにある。 一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で被害想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設などを表示した地図」とされている。 また,ハザードマップは別名防災マップ,被害予測図,被害想定図,アボイド(回避)マップ,リスクマップ等と呼ばれているものもある\cite{h}。\mbox{}\\ 本システムは,HTML・CSS・JavaScript・QGISを使用しシステムを作成していく。 \subsection{ハザードマップの作成} 各地区種別ごとにハザードマップ作成をする。 今回は,宮野浦・十坂地区の津波と洪水のハザードマップと避難所を作成する。 そのため,空間地理情報に特化したQGISを用いて各ハザードマップの作成をする。 QGISに使う津波と洪水の情報は国土交通省が提供している国土数値情報ダウンロードサイトから各種別の情報をダウンロードし入れ込む。 避難所は酒田市ホームページ内にある情報を参考にし作成する。 \subsection{ハザードマップの切り替え} ハザードマップの作成ができた後は,各地区種別ごとにハザードマップの切り替えができるようにした。 種別はWebページ上部にメニューを配置し,地区はマップの下にボタンを配置し同じページでハザードマップが確認できるようにした。 \subsection{ハザードマップの必要な情報} ハザードマップの解読には凡例や想定区域等の情報が必要である。 そのため,マップとは別に凡例,想定区域等の情報を配置し,見れるようにした。 凡例,想定区域等の情報の他に凡例にあるマークの意味も追加し,いつでも確認できるようにした。 また,避難所のマップの時は開いている地区のマップの中でもさらに地区を分け,避難所が確認できるよう表の形にして表示させた。 \chapter{実験} 本章では位置情報システムを用いた安否・避難確認システムとハザードマップを実際に使用してもらいシステムの容易性・使用感を検証し,実験結果からシステムの改善点について考察をする。 \section{実験概要} 実験では,実際に安否・確認システムとハザードマップをそれぞれ使用してもらう。 安否・避難確認システムは位置情報登録から安否確認までのシステム操作, ハザードマップは10分間の時間を設け時間内で確認をしてもらい最後にアンケートを行う。 アンケート内容の項目は2つのシステムで分け,ハザードマップは理解度を見るためにテストと使用感を検証し,安否・避難確認システムは容易性と使用感を検証するためにアンケートを行い,その結果から分析をする。 \mbox{}\\ 安否・避難確認システムの手順は以下の通りである。 \begin{enumerate} \item ログインページにアクセスし,「はじめて利用する人」をクリックする(図5.1a)。 \item 入力フォームに移動したら登録情報を入力する(図5.1b)。 \item 入力ができたら「登録」ボタンをクリックする。 \item その後ログインページに戻るため登録した「ユーザー名・パスワード」を入力する(図5.1c)。 \item 登録した位置情報がマップに表示される(図5.1d)。 \item マップ下にある状況確認「避難・無事・SOS」の選択で現在の状態を表示させる(図5.1e)。 \end{enumerate} \begin{figure} \begin{subfigmatrix}{3} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=4cm]{gazou/start1.png}} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/touroku.png}} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/login.png}} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/map1.png}} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=5cm]{gazou/map3.png}} \end{subfigmatrix} \caption{安否・避難確認システム} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=13cm]{gazou/tezyun.pdf} \caption{安否・避難確認システムの手順} \label{fig:tezyun} \end{figure} ハザードマップの手順は以下の通りである。 \begin{enumerate} \item ログインページにアクセスする。 \item 「事前確認」をクリックする(図5.2a)。 \item ページのメニュー欄で種別と地域を選択する。今回は種別を「津波」にし,地域は「宮野浦・十坂地区」にする。 \item 選択した種別と地域が表示されたら10分間ハザードマップの情報を見てもらう(図5.2b)。 \end{enumerate} \begin{figure} \begin{subfigmatrix}{2} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=4cm]{gazou/start2.png}} \subfigure[] {\includegraphics[keepaspectratio,width=4cm]{gazou/sousa.png}} \end{subfigmatrix} \caption{安否・避難確認システム} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=13cm]{gazou/tezyun2.pdf} \caption{ハザードマップの手順} \label{fig:tezyun2} \end{figure} ハザードマップのテスト内容は以下の通りであり,画像選択問題は画像を省略するため実際の問題文に正当を交えたものを記載する。 \begin{itemize} \item 次の画像(指定緊急避難所)は何を意味するマークですか。正しいものを1つ選んでください。 \item 次の画像(津波最高水位)は何を意味するマークですか。正しいものを1つ選んでください。 \item 次の画像は津波到着時間を意味するマークです。津波到着時間には決まった高さがあります。 \mbox{}\\ 次のうち正しいものを1つ選んでください。 \item 地震が発生し津波警報が発表されました。予想は9m以上です。 \mbox{}\\ 画像(宮野浦地区)の中のどこの避難所に避難しますか。※あなたはマーカーの所に居ます。 \end{itemize} テスト項目以降はアンケート項目で以下の通りである。ハザードマップ、安否避難確認システムの容易性と使用感を見るためにアンケートに答えてもらう。アンケート項目は合わせて8つあり、8つのうち6つは5段階評価で「1.当てはまる」「2.まあまあ当てはまる」「3.どちらとも当てはまらない」「4.あまり当てはまらない」「5.当てはまらない」で評価を行う。他の2つは記述式とする。 \begin{itemize} \item ハザードマップは見やすかったですか。 \item ハザードマップの操作は容易でしたか。 \item 不便に感じたところまたは付けてほしい機能はありますか。 \item 情報登録はスムーズにできましたか。 \item 自分の位置情報は表示することができましたか。 \item 安否確認の表示を変えることができましたか。 \item システムの操作は容易にできましたか。 \item 不便に感じたところまたは付けてほしい機能はありますか。 \end{itemize} \section{実験結果} 今回の実験では,東北公益文科大学の学生8人で実験を行った。テストの結果からハザードマップのマークや状況に応じた避難すべき場所については正答数が多く,理解していることがわかる。しかし,マークの詳しい意味については正答数がまばらである。また,アンケート結果からは「1.当てはまる」の回答が多く見られた。中でもハザードマップの見やすさと操作の容易,安否・避難確認システムの情報登録のスムーズさに多く見られた。その反面,位置情報の表示とシステム操作の容易で「5.当てはまらない」の回答に1人以上いるという結果になった。 \begin{table}[H] \caption{テスト結果} \label{table:data} \centering \begin{tabular}{|l|r|r|} \hline テスト項目 & 正解 & 不正解 \\ \hline \hline 問題1 & 8 & 0 \\ 問題2 & 8 & 0 \\ 問題3 & 5 & 3 \\ 問題4 & 8 & 0 \\ \hline \end{tabular} \end{table} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/testanser.png} \caption{テスト結果} \label{fig:test} \end{figure} \begin{table}[H] \caption{アンケート結果} \label{table:data} \centering \begin{tabular}{|l|r|r|r|r|r|r|} \hline アンケート項目 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ \hline \hline ハザードマップは見やすかったですか & 6 & 1 & 0 & 1 & 0 \\ ハザードマップの操作は容易でしたか。 & 6 & 2 & 0 & 0 & 0 \\ 情報登録はスムーズにできましたか。 & 8 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ 自分の位置情報は表示することができましたか。 & 5 & 1 & 0 & 0 & 2 \\ 安否確認の表示を変えることができましたか。 & 5 & 3 & 0 & 0 & 0 \\ システムの操作は容易にできましたか。 & 4 & 2 & 0 & 0 & 2 \\ \hline \end{tabular} \end{table} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/mapan1.png} \caption{「ハザードマップは見やすかったですか」での回答} \label{fig:an1} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/mapan2.png} \caption{「ハザードマップの操作は容易でしたか」での回答} \label{fig:an2} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/sisan1.png} \caption{「情報登録はスムーズにできましたか」での回答} \label{fig:an3} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/sisan2.png} \caption{「自分の位置情報は表示することができましたか」での回答} \label{fig:an4} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/sisan3.png} \caption{「安否確認の表示を変えることができましたか」での回答} \label{fig:an5} \end{figure} \begin{figure}[H] \centering \includegraphics[keepaspectratio,width=7cm]{gazou/sisan4.png} \caption{「システムの操作は容易でしたか」での回答} \label{fig:an6} \end{figure} \begin{table}[H] \caption{アンケート結果} \label{table:data} \centering \begin{tabular}{|l|l|} \hline アンケート項目 & 解答 \\ \hline \hline 不便に感じたところまたは付けてほしい機能はありますか。(ハザードマップ) & マップの拡大縮小(5) \\ & 避難先の情報表示(3) \\ & マップ上の移動機能(1) \\ & 解読するポイント(2) \\ 不便に感じたところまたは付けてほしい機能はありますか。(安否・避難確認システム) & パスワード再登録(2) \\ & 他の人の位置共有(5) \\ & ハザードマップの設置(2) \\ & 登録情報編集(3) \\ \hline \end{tabular} \end{table} \section{考察} テストとアンケートの実験結果からハザードマップの理解度と使用度,安否・避難確認システムの容易性と使用度を考察していく。 最初にハザードマップのテストでは,4問準備したが4問中3問が100%と問題が解けており正答率が高かった。また,アンケートはどの項目とも「1.当てはまる」の回答が多い結果になった。そこからハザードマップの解読に必要ようである情報やその情報の説明を表示をしている。そのため,理解度の向上と種別ごとにハザードマップを切り替えるためボタン機能を配置したことにより操作の容易性,マップ上に余計な情報を入れず見やすくしたことにより実験結果に出たと考えられる。\mbox{}\\ 次に安否・避難確認システムのアンケートでは,位置表示とシステム操作の容易で「5.当てはまらない」に2人が回答した。原因としては,「位置情報の登録が正しくできなかった」もしくは「正しく表示されなかった」ため位置表示ができなかったと考えられる。その影響によりシステム操作に難しさを感じてしまったと考えた。この問題を解決するには,登録情報が見れるマイページを作成し,登録情報の編集を設置することにより問題の解決ができると考察した。 \chapter{結論} 本章では実験結果と考察を通して,今後の課題についてまとめる。 \section{今後の課題} 実験を通して,システムの課題点を多く発見することができた。今後の課題としては,現時点でのハザードマップは宮野浦・十坂地区の津波・洪水・避難所のみのため,他の地区の種別ごとにハザードマップの作成をしていく。また,実験結果をもとにマップの拡大縮小や避難先の情報表示等のシステム配置をして,より良い環境を構築していく。安否・避難確認システムは,現時点では使っている本人の情報しかまだ入れられないため,実験結果にもあった他の人との位置情報共有ができるように構築していく必要がある。また,マイページで登録情報がいつでも編集できるようシステムの設置をする。他にもハザードマップは事前確認のため安否・避難確認システムとは別ページにしていたが,安否・避難確認システムのページでも確認できるようにしていく。また,安否・避難確認システムは,データ管理や位置情報取得をしているが安全性の面ではまだ安全とは言い切れないため,利用者が安全に利用できるよう安全対策をしていく必要がある。これらの点を今後の課題とする。 \chapter*{謝辞} 本論文の執筆にあたり多くの方々にご協力いただきました。 指導教官である広瀬先生には,いつも丁寧な指導と適切な助言をいただきました。深く感謝いたします。 最後に,本論文を執筆するにあたり協力してくださった全ての方に厚く御礼申し上げます。 \begin{thebibliography}{} \bibitem{koku}国土交通白書2020. ``第1節 我が国を取り巻く環境変化 (1)''. \url{https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1115000.html}, (参照 2022-10-31). \bibitem{soumu}総務省.令和4年版 情報通信白書. \url{https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1115000.html}, (参照 2023-10-20). \bibitem{nankai} 国土交通省.``南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ''. 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