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2019-Yusuke-thesis / sotsuron.tex
Yusuke on 31 Jan 16 KB add sotsuron
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\renewcommand{\bibname}{参考文献}
\begin{document}
\begin{titlepage}
  \title{ OpenStreetMap におけるタグ管理アプリケーションの提案}
  \author{廣瀬研究室4年\\c1161255 高橋佑介}
  \date{令和2年1月14日}
  \maketitle
  \thispagestyle{empty}
\end{titlepage}

\begin{center}
  {\bfseries 概要}
\end{center}
OpenStreetMap (以下OSM) は,日本では東日本大震災の際に現在参加しているユーザの
多くが貢献者として登録を行っており,被災状況の情報を地図上で伝える観点から現在も
利用されているオープンデータの地図である。 OSM のようなオープンデータの地図が
情報をより早く,より正確に更新し続けるためには,その情報を加えていく貢献者が各地に
多くの貢献者が存在する必要がある。さらに,災害時であれば被災状況を現地から発信する
貢献者が必要になるため,その存在の必要性は高まる。
しかし, 日本は OSM 先進地域と比較すると,貢献者が少なく普及が遅れているといえるため,
少ない貢献者で現在の成果物を作り上げてきた現状から貢献者にかかる負担が大きいと容易に
想像でき,貢献者の増加あるいは負担の軽減が必要であると考える。本研究では, OSM で
地図に地点を登録するための行程の一つであるタグの付与に関して,負担を軽減するための
タグ管理アプリケーションを提案を行う。(419字)
\clearpage

\tableofcontents

\clearpage

\chapter{はじめに}
本章では研究の背景と目的を述べる。


\section{背景}
 OpenStreetMap\footnote[1]{OpenStreetMap (OSM) は,誰でも自由に地図を
使えるようみんなでオープンデータの地理情報を作るプロジェクトです。プロジェ
クトには,誰でも自由に参加して,誰でも自由に地図を編集して,誰でも自由に地図を
利用することが出来ます。}\cite{1} (以下OSM) は地図上に建物や道などの地理情報
を協力者が載せる際に著作権を放棄するため,OSMと協力者の著作権の表記を行うことで,
いかなる目的でも無料で利用することのできるオープンデータである。
そのため, Googleマップなどの地図の利用に利用規約やガイドラインに従って慎重な
利用が必要である地図に比べて,容易に広告や配布物への地図利用が可能になっている。\par
日本におけるOSMの活動について,文献によると,「日本におけるOSM活動は,東日本
大震災における地図作成を1つの契機として知られるようになった。したがって,東北
地方に関するデータ入力が積極的に行われ,542ユーザー(日本を編集したユーザー
の約2割)の参加が集計より明らかとなった。」\cite{2} とされている。災害が多く
地理情報に大きな変化が生じることのある日本では,一般に考えられるボランティア
とは別に,速やかに被災情報を更新することで情報面の支援を行うクライシス
マッピング\footnote[2]{世界各地の災害や暴動などの際に,ボランティアによる貢献
者らが中心となり,現地の被災状況などの地理的状況を OpenStreetMap によりデータ化
する活動である。被災状況をデータ化することにより,災害対応活動,復興活動,および人道
活動などを支援することを目的とする\cite{3}。}というボランティアが存在し,
今もOSM上で同様の活動が続けられている点もOSMという地図の強みだと考えられる。


\section{目的}
OSM上に地理情報を載せるために必要な情報として,建物や道の位置情報と,その建物
や道に対する情報(タグ付け)が必要である。位置情報は地理院地図を基にするか,
実際にその場所でGPSロガー\footnote[3]{移動した経路をGPS衛星を利用し,記録す
る装置,スマートフォン端末のアプリケーションなどでも代用できる。}\cite{4}を用いることでも
正確な情報が得られる。\par
タグ付けに関しては, OpenStreetMapWiki\cite{5} での一覧などを参考にすることで付与は
できるが,タグが豊富であるために選択が容易ではない。そこで,新規の地図協力者の妨げ
になるであろうタグの選択に対して,それを補助することで地方でも OSM というオープン
ソースの地図の網羅性が高まり,地方の催し物や施設の広告に利用しやすいものにしようと
考える。


\section{研究内容と方法}
先行研究や関連研究を参考にし,タグに関しての統計を取ることによって, OSM の抱える問題点
を明確化する。そのうえで,タグを分類するために調査したことについてまとめる。


\section{本論文の構成}
本文の構成は次の通りである。第2章では OSM が抱える問題点を明確化する。第3章では実装する
システムの基本アイデアを詳細に説明する。第4章では結論と今後の展望について述べる。



\chapter{現状の問題点}
本章では日本における OSM の普及が遅れているといえる根拠と問題点について述べる。


\section{日本のOSM利用者の傾向}
OSM のコミュニティについて分析している文献によると,「表2.1は,オブジェクト密度上位
15地域および震災直前の日本(表2.1(*))の一覧を示す。 OSM 先進地域の多くは,
数千人に1人の割合で貢献者がいるのに対して,日本では64,814人に1人が貢献者である(表2.1(1))。
つまり,日本の OSM は OSM 先進地域と比較して普及が遅れていることは明確である。」\cite{6}
とされていることから,日本が OSM を運用していくうえで OSM もしくは日本特有の新規の
貢献者を阻む障害があると考えられる。

\begin{table}[h]
  \begin{center}
    \caption{貢献者1人当りの人口(2012.4.30時点)}
    \begin{tabular}{|l||l|r|r|} \hline
      & Region & 貢献者 & 人口/貢献者 \\ \hline \hline
      1 & Monaco & 90 & 339 \\ \hline
      2 & Netherlands & 5,069 & 3,311 \\ \hline
      3 & France & 13,409 & 4,684 \\ \hline
      4 & CzechRepublic & 3,590 & 2,842 \\ \hline
      5 & Luxembourg & 639 & 786 \\ \hline
      6 & Belgium & 3,537 & 2,947 \\ \hline
      7 & Germany & 47,207 & 1,732 \\ \hline
      8 & Gaza & 111 & 13,355 \\ \hline
      9 & Slovakia & 1,336 & 4,094 \\ \hline
      10 & Switzerland & 4,776 & 1,596 \\ \hline
      11 & Austria & 4,386 & 1,873 \\ \hline
      12 & Denmark & 2,332 & 2,365 \\ \hline
      13 & Japan & 1,965 & (1) 64,814 \\ \hline
      14 & Europe & 124,907 & 4,003 \\ \hline
      15 & Great Britain & 13,400 & 4,653 \\ \hline \hline
      * & Japan(2011.3.9) & 854 & 149,133 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}


\section{分類タグと住所タグの利用状況に関する調査}
OSM に関してまとめられている「OpenStreetMap Wiki\cite{2}」上で扱われている
タグの種類の総数を数えてまとめたのが表2.2である。これを見ると,OSMで扱われているタグ
は約1,200種類といかに多いかがわかることから,この膨大な数のタグから適切なものを選択し,
ひとつひとつの地理情報に対して付与していくことは OSM への貢献を試みる人にとって
大きな障害になりかねないと考えられる。

\begin{table}[h]
  \begin{center}
    \caption{OpenStreetMapWikiにおけるタグの数 (2020/01/08時点)}
    \begin{tabular}{|l||l|r||r|} \hline
      タグの属性 & 英名 & 値の総数 & 累計 \\ \hline \hline
      主要な地物 &  &  &  \\ \hline \hline
      索道 & Aerialway & 16 & 16 \\ \hline
      航空関係 & Aerodrome & 17 & 33 \\ \hline
      施設 & Amenity & 111 & 144 \\ \hline
      障害物 & Barrier & 46 & 190 \\ \hline
      境界線 & Boundary & 14 & 204 \\ \hline
      建物 & Building & 80 & 284 \\ \hline
      工房 & Craft & 57 & 341 \\ \hline
      緊急設備 & Emergency & 20 & 361 \\ \hline
      地質 & Geological & 4 & 365 \\ \hline
      道路 & Highway & 90 & 455 \\ \hline
      史跡 & Histric & 38 & 493 \\ \hline
      土地利用 & Landuse & 34 & 527 \\ \hline
      娯楽 & Leisure & 40 & 567 \\ \hline
      建造物 & Man Made & 51 & 618 \\ \hline
      軍事 & Millitary & 15 & 633 \\ \hline
      自然物 & Natural & 41 & 674 \\ \hline
      事務所 & Office & 47 & 721 \\ \hline
      地名 & Places & 33 & 754 \\ \hline
      電力関係 & Power & 23 & 777 \\ \hline
      公共交通機関 & Public Tranceport & 5 & 782 \\ \hline
      鉄道 & Railway & 48 & 830 \\ \hline
      ルート & Route & 27 & 857 \\ \hline
      店舗 & Shop & 166 & 1,023 \\ \hline
      スポーツ & Sport & 97 & 1,120 \\ \hline
      観光 & Tourism & 24 & 1,144 \\ \hline
      水域 & Waterway & 30 & 1,174 \\ \hline \hline
      追加のプロパティ &  &  &  \\ \hline \hline
      住所 & Addresses & 19 & 1,193 \\ \hline
      注釈 & Annotation & 23 & 1,216 \\ \hline
      名称 & Name & 13 & 1,229 \\ \hline \hline
      * &  & 合計 & 1,229 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}


OSM上で庄内地域の店舗が密集している「酒田市本町」,「ル・パークみかわショッピングスクエア」
について固有名詞を持つ建物の総数およびそのうち住所タグを付与している総数を調査し,
利用率をまとめたのが表2.3である。これを見ると,調査の対象としたエリアで住所タグが
付与されている建物が僅かであることがわかることから,貢献者が住所タグの必要性を
感じていない,あるいは住所タグを選択する際にも分類タグと同様にタグの付与が困難に
なるような障害が存在していると考えられる。

\begin{table}[h]
  \begin{center}
    \caption{OpenStreetMapにおける住所タグの利用率 (2020/01/10時点)}
    \begin{tabular}{|l||l|r||r|} \hline
      地名 & 総数 & 住所タグを付与している数 & 利用率(%) \\ \hline \hline
      一丁目 & 41 & 0 & 0 \\ \hline
      二丁目 & 60 & 0 & 0 \\ \hline
      三丁目 & 50 & 0 & 0 \\ \hline \hline
      酒田市中町(合計) & 151 & 0 & 0 \\ \hline \hline
      ル・パークみかわ & 15 & 1 & 6.666 \\ \hline
      アクロスプラザ三川 & 13 & 0 & 0 \\ \hline
      イオン三川 & 68 & 2 & 2.941 \\ \hline \hline
      ル・パークみかわショッピングスクエア(合計) & 96 & 3 & 3.125 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}

これらの調査から, OSM の貢献者を新たに増やすためにはタグの付与に関して
経験者による一定のサポートが必要不可欠であるといえる。



\chapter{システムの提案}
本章では第2章で述べた問題点を解決するための方法として,タグを分類する
ことによってタグを付与するための膨大な選択肢を絞ることを提案し,
その提案について詳しく述べる。


\section{住所タグの一覧と分類}
住所をタグとして付与する際のタグと付与した例を示したものが表3.1および表3.2である。
表3.1は現住所として旧地名(字・小字のある住所)を用いていない地域のもの,表3.2は旧地名を
現住所として利用している地域のものになっている。

\begin{table}[h]
  \begin{center}
    \caption{旧地名ではない住所表記}
    \begin{tabular}{|l|l||r|} \hline
      説明 & 付与するタグ & 付与例(東北公益文科大学) \\ \hline \hline
      正式名称 & name & 東北公益文科大学 \\ \hline 
      愛称 & loc-name & 公益大 \\ \hline
      郵便番号 & addr:postcode & 9989580 \\ \hline
      都道府県 & addr:province & 山形県 \\ \hline
      市町村 & addr:city & 酒田市 \\ \hline
      町 & addr:quarter & 飯森山 \\ \hline
      丁目 & addr:neighbourhood & 3 \\ \hline
      番地 & addr:block-number & 5 \\ \hline
      号目 & addr:housenumber & 1 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}

\begin{table}[h]
  \begin{center}
    \caption{旧地名の住所表記}
    \begin{tabular}{|l|l||r|} \hline
      説明 & 付与するタグ & 付与例(庄内空港) \\ \hline \hline
      正式名称 & name & 庄内空港ビル株式会社 \\ \hline 
      愛称 & loc-name &おいしい庄内空港  \\ \hline
      郵便番号 & addr:postcode & 9980112 \\ \hline
      都道府県 & addr:province & 山形県 \\ \hline
      群 & addr:county & 東田川郡 \\ \hline
      市町村 & addr:city & 三川町 \\ \hline
      大字 & addr:quarter & 浜中 \\ \hline
      小字/字 & addr:neighbourhood & 村東 \\ \hline
      番地 & addr:block-number & 30 \\ \hline
      号目 & addr:housenumber & 3 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}


\section{建物を分類するタグの一覧}
建物を分類するタグについてまとめたのが表3.3である。

\begin{table}[h]
  \begin{center}
    \caption{来客や住民が利用する施設のタグ一覧}
    \begin{tabular}{|l|l|l|l|} \hline
      説明 & キー & 値 & 補足 \\ \hline \hline
      バー & amenity & bar &  \\ \hline
      バーベキュー & amenity & bbq &  \\ \hline
      ビアガーデン & amenity & biergarten &  \\ \hline
      喫茶店やカフェ & amenity & cafe &  \\ \hline
      給水所 & amenity & drinking-water &  \\ \hline
      ファーストフード店 & amenity & fast-food &  \\ \hline
      フードコート & amenity & fast-court &  \\ \hline
      アイスクリーム店 & amenity & ice-cream &  \\ \hline
      パブ & amenity & pub & 食料や宿泊設備のあるアルコール販売店 \\ \hline
      (ファストフード以外の)レストラン & amenity & restaurant & 提供される品目は別途タグを付与 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}



\chapter{まとめ}
本章では本研究の結論と今後の展望について述べる。


\section{結論}
本稿では日本における OSM の普及が遅れている根拠と問題点を文献および調査から明らかにした。
本研究ではアプリケーションの開発まで至らなかったため,住所タグに関しての調査内容
および建物の分類タグについて大まかに分類してまとめた。


\section{今後の展望}
今回調査した内容を基に地理情報の編集がPC端末に限られてしまっている OSM において,
スマートフォン・タブレット端末のアプリケーションを開発することで外出先での
地理情報の編集を可能にしようと考える。



\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{1} OpenStreetMap. \par
  \url{https://www.openstreetmap.org/about}(参照 2018-11-20).
 \bibitem{2} 瀬戸寿一,``日本におけるOpenStreetMapを用いたボランタリー地理情報の構築と参加''.
   \url{https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2013s/0/2013s_188/_article}(参照 2020-11-20).
 \bibitem{3} 早川知道,伊美裕麻,伊藤孝行,''東日本大震災のクライシスマッピングの調査分析
   による日本の OpenStreetMap の発展のための課題''.
   \url{https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=147450&item_no=1&page_id=13&block_id=8}(参照 2020-11-20).
 \bibitem{4} GPSデータロガーとは|I.D.A Online. \par
   \url{https://i-gotu.jp/?p=72}(参照 2020-11-20).
 \bibitem{5} OpenStreetMap Wiki. \par
   \url{https://wiki.openstreetmap.org/wiki/Main_Page}(参照 2020-01-06).
 \bibitem{6} 早川知道,伊美裕麻,伊藤孝行,''日本の OpenStreetMap におけるコミュニティの発展と継続のための分析と課題''.. \par
   \url{https://www.jstage.jst.go.jp/article/jima/66/4/66_317/_article/-char/ja/}(参照 2020-01-06).
\end{thebibliography}
 
\end{document}