diff --git a/c116041-thesis.pdf b/c116041-thesis.pdf index 7569dc8..cc3aa31 100644 --- a/c116041-thesis.pdf +++ b/c116041-thesis.pdf Binary files differ diff --git a/c116041-thesis.tex b/c116041-thesis.tex index e827a91..1b59da7 100644 --- a/c116041-thesis.tex +++ b/c116041-thesis.tex @@ -197,7 +197,7 @@ \subsection{Geolocation API} GPS(Global Positioning System)とは米軍が運用している衛星測位システムの略称である。Geolocation APIは「Webの規格団体であるW3Cが使用をすすめる規格であり、JavaScriptで位置情報を取得することが出来る仕組み」である。Geolocation APIを扱うには、「navigator.geolocation\footnote[5]{Webがデバイスの位置情報を読み込む際に必要なプロパティ。このオブジェクトが存在しない場合はGeolocation APIに対応していないということになる。}」オブジェクトを使用する。 \subsection{位置情報を読み込む過程} -GPSを読み込む方法には2種類あり、「携帯電話の基地から送られる衛星軌道データとGPSの時刻信号を複合させて位置を特定する」ものと、「衛星から送られてきた軌道データとGPSの時刻信号を用いるスタンドアロン」なものがある。スタンドアロンとは、ネットワークに依存せずに単体で動作する方法である。このハザードマップで取得できているのは前者であり、多少の時間のズレはあるものの、位置を取得しているのがわかる。 +GPSを読み込む方法には2種類あり、「携帯電話の基地から送られる衛星軌道データとGPSの時刻信号を複合させて位置を特定する」ものと、「衛星から送られてきた軌道データとGPSの時刻信号を用いるスタンドアロン」なものがある。スタンドアロンとは、ネットワークに依存せずに単体で動作する方法である。このハザードマップで取得できているのは前者であり、多少の時間のズレはあるが、位置を取得することができる。 \section{印刷機能} 情報機器を扱いにくい方々でも用いやすいように、印刷機能を実装した。印刷にはJavaScriptのメソッドの一種のprintを指定し、スクレイピングという機能を用いてWebページの全体を指定することで、ページ全体の印刷を可能にした。スクレイピングとは、Webページから情報を集めて加工し、新たな情報として生み出す技術のことである。 %\begin{center} @@ -215,7 +215,7 @@ \end{figure} \end{center} \subsection{津波到達予想範囲の可視化} -津波や最上川の洪水がどの周域まで及ぶかを表示するのに用いている。ここではポリゴンが使われており、このポリゴンもleafletのレイヤー機能の一種であるとされる。このポリゴンには様々な色の種類がある。 +津波や最上川の洪水がどの周域まで及ぶかを表示するのに用いている。ここではポリゴンが使われており、このポリゴンもleafletのレイヤー機能の一種である。ポリゴンはfavicon.ioという \begin{center} \begin{figure}[htp] \includegraphics[clip,scale=0.4]{newmap2.png} @@ -231,11 +231,23 @@ \caption{マーカーで避難所を表している。色によって避難所の危険度が表される。} \end{figure} \end{center} - +\subsection{スマートフォンへの対応} +日本国内のスマートフォンの普及率は2019年2月時点で85%とされている。そのため、スマートフォン向けの画面に設定した。スマートフォンに特化したアプリケーションを作成するのであれば、Android Studioや、IphoneであればXcodeやReact Nativeが挙げられる。まずはこれらの作成ツールについて説明する。 +\begin{description} +\item Android Studio \par +Googleが2014年12月に発表したAndroidスマートフォンの開発ツールである。開発言語にはJavaを用いる。メリットはテストを行うためのツールが豊富に存在し、アプリケーションのテストを短時間で実行することができる点である。不具合を短期間かつ容易に発見し、修正できるため、不具合を最小限に抑えながら開発を進めることができる。またスマートフォン以外にも、タブレット用のアプリケーションやカー・ナビゲーション・システムを作成することもでき、汎用性が広いのも特徴である。しかし、動作が遅いという欠点も併せ持っている[20]。 +\item Xcode \par +Appleが2003年に開発したMacOS、IOS専用のアプリケーション制作ツールである。Apple Storeから無料でダウンロードでき、動作が軽いのが特徴である。開発にはSwiftという言語を用いている。SwiftはMacOSで開発するほか、Linuxでも開発が可能な言語である。デメリットはMacOS以外は開発が不可能なことと、コンフリクトが多いという点である[21]。 +\item React Native \par + Facebookが2015年に開発したオープンソースの開発用フレームワークである。開発言語はJavaScriptを元に、Reactという言語が組み合わさった形をとっている。特徴としてはAndroid、iOSの両方に対応している点である。Android、iOSはそれぞれ異なる構造をしており、同じOSや言語では開発できない環境となっている。異なる環境でも同じコードを扱うことを可能にしているのがReactの持つ実行環境を駆使する機能である。Reactは「JSX」と呼ばれるHTML言語に類似した記法を持ち、実行時に開発環境に沿ったUIの描画を行うことで、コードの変換を可能にしている。(Androidであればandroid.view.View、iOSであればUIViewに変換される。)そのため、Web開発者にとっては扱いが容易な言語である。デメリットはエラー表示が難しいことと、習得が難しいことである[22]。 +\end{description} +本研究でAndroid StudioやXcode等を用いると研究が長期化するおそれがあるため、作成ツールを用いずにviewportを変更することで、スマートフォンに対応するようにした。viewportとは画面の表示領域を指し、パソコンのデスクトップ画面もこれに相当する。スマートフォンは幅が小さいので、幅に合わせると文字が小さくなるが、パソコンでの表示と同じ見栄えを保つことが可能となる[23]。 +\subsection{文字の大きさ} +情報機器を扱うことが難しい使用者でも扱えることを考慮し、文字の大きさを大きめに設定する。文字の大きさは一度目の実験でかなり指摘があったため、HTML言語のfont要素のsize属性を用いて文字の大きさを2から4に引き上げた。また、特に重要な箇所は文字の色を変えることとした[24]。 \chapter{考察} ハザードマップは避難活動を助けるツールであるため、使用者の視点にならないと評価がしにくい。そこで、親族や教員、友人10人を被験者として、作成したハザードマップを評価してもらう。スマートフォンの使用が分からない人には、パソコンを用いて実験を行っていただいた。 \subsection{実験方法} -実際に地震が発生したことを想定して実験を行う。想定した地震は「震央が山形県沖北緯38.6度、東経139.5度、最大震度7、震源の深さは14km、津波の高さおよそ2m」とする。被験者には実際にURLを入力、あるいはQRコードを読み取ってもらい、5分ほど使用させてみて、評価と意見を言ってもらうという方法を取った。 +実際に地震が発生したことを想定して実験を行う。想定した地震は「震央が山形県沖北緯38.6度、東経139.5度、最大震度7、震源の深さは14km、津波の高さおよそ2m」とする。被験者には実際にURLを入力、あるいはQRコードを読み取ってもらい、5分ほど使用させ、評価と意見を言ってもらうという方法を取った。 \section{評価} これらの意見を元にグラフを作った。 \begin{center} @@ -248,9 +260,9 @@ まずひとつ目は、津波の到達する可能性がある範囲が目立つ青色で表示されていて分かりやすい。そして、津波や土砂崩れの危険がある避難所が色で表されていたので、どこに避難すれば良いのかが理解できる。という評価が多かった。 二つ目は、「マーカーが分かりにくい」という意見が多かった。マーカーが表しているのが避難所というのが理解できるが、色が異なるのはなぜなのかが分からないという意見と、初めに何かマーカーに関する記載が欲しいという意見が多かった。 \section{まとめ} -本研究の実験において,被験者は「地図の表示がわかりにくい」と意見を出していた。そこで私はこれらの意見に対し,「ハザードマップは防災上必要とメディアが話していても,一般人は実際にどう使用すればいいのか分からない」という仮説を打ち立てた。解説書を載せても,見る側が理解できるように避難所の危険度を色で表しても、ハザードマップの使い方が分からなければ意味がない。なので、今後は解説書の強化をしていく必要があると思った。 +本研究の実験において,被験者は「地図の表示がわかりにくい」と意見を出していた。そこで私はこれらの意見に対し,「ハザードマップは防災上必要とメディアが話していても,一般人は実際にどう使用すればいいのか分からない」という仮説を打ち立てた。解説書を載せても,見る側が理解できるように避難所の危険度を色で表しても、ハザードマップの使い方が分からなければ意味がない。そこで、解説書を簡易に表すようにして、文字を大きくし、スマートフォンに特化した画面に整えることで、 \chapter{今後の展望} -本研究では範囲を酒田市のみと定めてハザードマップを作成したが,山形県全域を含めたハザードマップを作成していきたいと考えている。特に内陸では火災や土砂災害が二次災害として発生する傾向にあるのでこれらを考慮したマップを作成することを考えている。また,今回使用した位置情報読み取り機能は自然災害だけでなく,行方不明者を捜索する際に,スマートフォン等に埋め込むことによって行方不明者を軽減することができると考えられる。警察庁の統計によれば行方不明者は2018年時点で男女約9万人いるとされ,20代が多いといわれている[20]。20代であればスマートフォンを所持している可能性が高いため,彼らの捜索にも活かされるだろうと考えられる。 +本研究では範囲を酒田市のみと定めてハザードマップを作成したが,山形県全域を含めたハザードマップを作成していきたいと考えている。特に内陸では火災や土砂災害が二次災害として発生する傾向にあるのでこれらを考慮したマップを作成することを考えている。また,今回使用した位置情報読み取り機能は自然災害だけでなく,行方不明者を捜索する際に,スマートフォン等に埋め込むことによって行方不明者を軽減することができると考えられる。警察庁の統計によれば行方不明者は2018年時点で男女約9万人いるとされ,20代が多いといわれている[25]。20代であればスマートフォンを所持している可能性が高いため,彼らの捜索にも活かされるだろうと考えられる。 \section{作成物紹介} ハザードマップは使われてもらわないと意味がない。そこでGitHubに自分のプログラムを移行し,公開することとした。下のURLを各情報端末のURL欄に入力してEnterを押せば地図が表示される。ページを開いてすぐ位置情報を読み込むか否かを問われるので,「はい」を入力すれば位置情報の読み込みが可能となる。 @@ -299,7 +311,16 @@ \bibitem[18]{key18}小口貴宏(2019)「日本のGoogleマップが近日刷新 徒歩ナビゲーションなどが進化」,engadget日本版,\url{https://japanese.engadget.com/2019/03/06/google/} \bibitem[19]{key19}国土交通省(2019)「わがまちハザードマップ」 \url{https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/bousaimap/index.html?code=1}(参照2019-12-11) -\bibitem[20]{key20}警察庁生活安全局生活安全企画課(2019),「平成30年における行方不明者の状況」,警察庁,pp.1-7 +\bibitem[20]{key20}Android(2019)'Android Studio',Android Developers, + \url{https://developer.android.com/studio?hl=ja}(参照2019-12-26) +\bibitem[21]{key21}Apple(2019)'Xcode11',Apple Developer, + \url{https://developer.apple.com/xcode/}(参照2019-12-26) +\bibitem[22]{key22}Facebook(2019)'React Native 0.61', + \url{https://facebook.github.io/react-native/}(参照2019-12-26) +\bibitem[23]{key23}Microsoft(2016)'9 Visual formatting model',W3C Recommendation,\url{https://www.w3.org/TR/CSS2/visuren.html#viewport}(参照2019-12-26) +\bibitem[24]{key24}Chris Lilley(2018)'CSS Fonts 3 is a W3C Recommendation',W3C, + \url{https://www.w3.org/blog/2018/09/css-fonts-3-is-a-w3c-recommendation/}(参照2019-12-26) +\bibitem[25]{key25}警察庁生活安全局生活安全企画課(2019),「平成30年における行方不明者の状況」,警察庁,pp.1-7 \url{ https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/H30yukuehumeisha.pdf} \end{thebibliography}